■Agaricus subrutilescens (ザラエノハラタケ)

■ 2023年10月14日 撮影

初発見は2006年だったのですが、状態が悪く2014年にそれっぽい子実体を発見して全差し替え。 しかしそれも少し同定に不安があったので、2023年に見付けた良個体群に再差し替えです。 和名は「粗柄原茸」で「ザラザラした柄のハラタケ」と言うそのまんまの意味です。 各種林内地上に発生する腐生菌なのですが、属そのものの性質的に富栄養な土壌を好みます。 比較的ありふれたキノコなのですが不思議と出会いが少なかったんですよねー。

属名からも分かるようにマッシュルームと同属菌です。 外見が似た種や他種との中間的な個体が多く、これだ!と言う子実体に中々出会えませんね。 ちなみに種小名は「やや赤みを帯びる」と言う意味なのですが、どこが赤いんだろう?


■ 2023年10月14日 撮影

子実体はいかにもハラタケ属だなぁと感じる大きな傘に細い柄と大型のつば。 もうこの角度から柄の特徴が見えちゃってます。


■ 2023年10月14日 撮影

傘は最初マッシュルームのような丸みを帯びた形状ですが成長するとほぼ平らに開きます。 注目すべきは表皮で、ベースは白色なのですが表面を紫褐色の鱗片が覆っています。 傘の展開に伴い鱗片は分散しますが、傘中央部には鱗片がバラバラにならずに残ります。


■ 2023年10月14日 撮影

裏返してみました。柄の中ほどに大きな白い膜質のつばを持ち、 つばより下の柄がササクレるのが最大の特徴であり和名の由来でもあります。 ひだは最初は白色なのですが、やがて赤みを帯び、最終的にはピンク色からほぼ黒色になります。 この子実体はひだが完全に成熟しているので、白系の傘には似合わないほどの暗色の裏側をしていました。

一応食べることもできるようですが、基本的には胃腸系の毒キノコと思っておきましょう。 毒性は致命的と言うほどではありませんが、類似種が多くその中に猛毒菌が居ないとも限らないので、 正解でも腹壊してハズレなら最悪死とか嫌でしょう?


■ 2023年10月14日 撮影

最後は裏表のツーショットで締めです。本当に久し振りの出会いとなりました。 この写真の左の子実体は柄のササクレが凄く綺麗に出ていますね。 ワリと普通種みたいな扱いの本種ですが、個人的には信じられないくらい出会いません。
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