■Amanita citrina var. citrina (コタマゴテングタケ)

■ 2009年11月03日 撮影

このキノコに一つ言いたいことがあります。テングタケ科のくせに出るの遅いわ! テングタケ科と言えば夏のキノコってイメージですが、本種を見たのは晩秋がほとんど。 肌寒くなって来た頃にシイやカシなどのブナ科広葉樹林地上に発生する「子卵天狗茸」です。 和名に反してタマゴテングタケよりもコテングタケに近縁です。 ちなみに種小名と変種名の「citrina」は「レモン色の」と言う意味です。納得ですね。

なぜか学名が変種になっている国産キノコとして珍しいパターン。 変種ではない「Amanita citrina」は「false death cap」と呼ばれています。 直訳すると「偽タマゴテングタケ」であり、和名もそれに沿ってるんでしょうかね? 実際にはタマゴテングタケには近縁ではないようで、毒性も異なります。


■ 2009年11月03日 撮影

傘は基本的に白色で少しレモン色を帯び、表面にはレモン色のつぼの破片が残っています。 遠目では白に見えるんですけどね。寄ってみると確かに全体的に黄色っぽく見えますね。 ただ単なる黄色ではなく、蛍光ペンの黄色みたいなレモンイエロー寄りかな?


■ 2009年11月03日 撮影

可哀想で裏返せなかったのでしゃがんで撮影。ひだは白色で密。 膜質のつばは大型で縁部にレモン色の外被膜の破片が付着しているので黄色っぽいです。


■ 2009年11月03日 撮影

やはり印象的と言うか違和感があるのはこの柄の細さに不釣合な大きな浅いつぼです。 同系統のつぼを持つ種としてはコテングタケやイボコガネテングタケなんかがありますね。 半球状と言うか、見慣れたタマゴタケのような膜質のつぼとは全く異なる構造です。 すっくと立ち上がり細くなる柄は他の同属菌を見ていると違いが良く分かります。

想像は付くかと思われますが、毒キノコです。デスヨネー。 最強毒と言われるタマゴテングタケと学名的にも和名的にもは似てますが、致命的ではない模様。 ただ微量にアマニタトキシンを含み、神経系に作用する毒素も有するので注意してください。

■ 2009年11月22日 撮影

2回目の出会いでしたが、12月手前だと言うのにAmanita属に出会えたことに驚きました。 ただ調べてみるとこれくらいの発生時期が普通だったようです。 そう言えば近縁なクロコタマゴテングタケも早春とかの時期外れに出ますよね。君ら異端児ばっかか?


■ 2009年11月22日 撮影

引っこ抜いてみましたが、まだ傘が開き切っていないのでつばが垂れていない状態でした。 この状態だとつばがひだを塞いでいたなーってのが良く分かりますね。

■ 2018年10月07日 撮影

亜高山帯のミズナラ林にて久々の出会いです。元々涼しいのでこれくらいがシーズンなんでしょうね。 もう少し掘って浅いつぼを見たかったんですが、保護区なのでその辺の確認は断念しました。 特徴的なつぼを見なくても本種は色合いで何となく分かるようになって来ました。

■ 2022年09月25日 撮影

本種は発生が遅い印象だったんですが、亜高山帯とは言え9月は最速記録でしたね。 ただ今まで見た中では一番華奢だったので、時期外れの発生だったのかも知れません。 元々本種って小型でもどっしりと安定した子実体ですもんね。


■ 2022年09月25日 撮影

このつぼの形状、何か既視感があるなぁと思ってましたが、アレですね。こんにゃく芋ですね。 膜質のつぼは縦長のものばかりなので、横方向への広がりがある浅いつぼは新鮮味があるのでしょう。


■ 2022年09月25日 撮影

掘り返して裏側を撮影してみました。華奢ではありましたが鮮度が良かったのでレモン色が素晴らしい! このレモン色の外被膜の破片は傘表面とつば、柄の基部に多く付着しているようですね。 あと俺はこの柄の基部の曲線美が好きだったみたいです。 徐々に太くなって最下部で一気に太くなる、このバランスが良いんだと思います。

■ 2022年09月25日 撮影

すぐ近くに傘が開く前の幼菌がありましたが、これもやっぱりちょっと細めです。 つぼは凄い大きいんですが、そこから伸びて来た子実体がヒョロっちいのがちょっと面白い。
■図鑑TOPへ戻る