★Amanita neoovoidea (シロテングタケ)

■ 2020年09月26日 撮影

いつもキノコ観察に訪れる自然公園を歩いて遠くからも薄暗い森の中に真っ白な異物が。 コナラやアカマツが入り交じるごく普通の雑木林の遊歩道の草むらに佇んでいました。 全体的にとてつもなく「粉っぽい」。周囲に雪が降ったように積もっているのはいつものこと。 和名はそのまんま「白天狗茸」。と言っても和名のテングタケとはちょっと縁遠い感じ。 今まで綺麗なTOP写真が撮れなかったので、良い機会だと撮りまくりました。 本種は何となく全体的に「幽霊」みたいだと言われますが、分かりますねぇ!

種小名に「o」が連続していて変な響きに聞こえますが、これは「neo」と「ovoidea」に分かれます。 実は海外に「Amanita ovoidea」と言う種が存在しています。「広楕円体の」の意味です。 似たように白い粉状鱗片に覆われる種ですが、コチラは淡黄色の被膜を持ちません。 その後本種が見つかったので「新しい」の意味を付したこの種小名が与えられました。


■ 2020年09月26日 撮影

子実体の形状は典型的なテングタケ属菌のものですが、真っ先に目に入るのがこの白い粉です。 怪しい意味ではなく、子実体全体を白い粉状物質に覆われているのです。 これはしっとりとしていて触ると手にべっとりと付きます。 この傘の周辺にでろんと垂れ下がる感じが本種らしさと言って良いでしょう。 また幼菌時は黄色く薄い外皮膜に覆われており、成長するとこれが傘上部と柄の基部に残ります。 パッと見は理解しづらいですが、これが本種の「つぼ」ですね。


■ 2020年09月26日 撮影

裏返してみました。ひだは真っ白ではなく若干肌色っぽく見えます。 若い時はつばがあるのですがつばが脆すぎるので成長と共に粉々になって周囲の地表に降り注ぎます。 傘の周囲のヒラヒラはその名残ですね。なので本種の周囲は雪が降ったようになっていることが多いです。 見た目のインパクトが強く、キノコ観察会などでは人気がありますね。

大体想像できるんですが、毒キノコです。そりゃそうですよねー。 胃腸系の中毒の他に、神経系にも作用し、幻覚等を症状が出るそうです。 粉が落ちると判別しにくいので、つぼの有無等、確認を怠らないよう注意が必要です。 地方によっては「シラフタケ」と呼び、食用としているそうです。 ただこれは本種に毒性の弱い別種が存在すると言う説があり、実際には真偽不明なので要注意。 また本種の毒は致命的ではないですが、鱗片が落ちると猛毒のフクロツルタケに似るので食べないのが無難です。

■ 2008年09月14日 撮影

2008年から2022年までTOP写真を務めた我が家の近所で見かけた子実体群です。 非常に美しくてそのままでも良かったんですが、非常に小さかったのと縦構図撮ってなかったんです。 これ以降ここまで小さい子実体には出会ってないんですよね。何だったんだろう?


■ 2008年09月14日 撮影

一株抜いてみました。予想はしてましたが、手にべっとり白い粉が付きましたよ。 しかもしっとりしていて擦ると伸びます。そして粉臭い!結構強烈です。 裏側は薄いつばに覆われていてひだが見えませんが、やがて破れてひだが露出します。 つばの表面も粉状物質に覆われているので一見するとつばに見えませんね。

■ 2008年09月14日 撮影

かなり立派な大型個体を発見!このサイズだと流石に迫力がありますね。 地方によっては「シラフタケ」と呼び、毒抜きして食す地域もあるとか無いとか。 一応テングタケ属で、化学分析によって毒素も検出されているので食べちゃダメ。 あと、フクロツルタケに似てる場合は肉の赤変性で判断しましょう。

■ 2008年09月20日 撮影

何度も成菌を見たのですが、どうもこの特長のせいか傷みが速くて酷い個体ばかり。 晴れ続きだったために雨で傘や粉末が傷んでおらず。やっと良い個体に出会えました。 傘の周囲にまるで「つらら」のように下がったつばの破片が何とも妖しげで美しい! 見渡せば周囲に驚きの40株。大群生でしたが、これがベストショットでしたね。

■ 2009年07月05日 撮影

感動しました!!!周囲の落ち葉のサイズから見てもその大きさが分かります。 夏の日差し照りつける雑木林の中で今までで最高の個体群に出会えました。 まだ傘に完全に皮膜を被った幼菌が落ち葉を持ち上げて顔を出していました。 大きさも凄いですが、傘の皮膜にテングタケ属らしい模様が浮き出ている! 多湿時には見えなかった模様です。やっぱり仲間なのだなと感じましたね。

■ 2009年11月07日 撮影

確か本種は夏のキノコだと記憶してますが・・・今は11月なんですけど。 しかもかなり大型の個体です。何か変だな今年。色々とイレギュラーが多いな。

■ 2012年07月22日 撮影

久し振りに綺麗な個体に出会えて綺麗に撮れた気がします。はぁ・・・。 以前のカメラだと色合いが自然に写らなかったので、以前のモノは削除しました。


■ 2012年07月22日 撮影

やっぱ俯瞰で見るとまるで幽霊みたいでギョッとしますね。怪しげで素敵です。 擬人化に幽霊っぽさをもう少し盛り込めば良かったと若干後悔しているくらい。 この傘の周囲に綺麗に垂れ下がるレースの美しさはAmanita属でも特に魅力的。 擬人化も初期から居るくらいですからね!

■ 2012年10月20日 撮影

秋の日差し降り注ぐ自然公園。その道端にギョッとする巨大な白い不審物。 近付くと柄もごんぶとの立派なシロテングタケ二人組。周囲に漂う独特な粉臭。 以前も11月に見ましたが、本種は意外と秋遅くまで発生を続けるようですね。

■ 2013年09月22日 撮影

久し振りに綺麗で大きな個体に出会えました。巨大な頭が出て来たトコです。 ただ大きすぎたのか周囲の石や枝にぶつかって大きなキズが付いていました。

■ 2014年09月06日 撮影

ソライロタケを一通り見て回り、周りに何か無いかな?と踏み込んだらあった! 蚊の猛攻に耐えながら撮影した真夏の幽霊の大群生!久々に綺麗な群生です。 はやり本種はこのように傘の周囲に垂れ下がる皮膜が最大の魅力ですよね。 何か最近はこの白い傘に黄色い外被膜が形が崩れた目玉焼きに見えるんですよね。

■ 2020年09月26日 撮影

やっとTOP写真差し替えに相応しい子実体に出会えたこの日、シロテングタケが大フィーバーしていました。 以前も数十株の大発生に出会っていますが、本種は出る時はとことん出ます。 ただ自然公園だといつも子供達のキックの的なのですが、深い茂みの中では手が出せまい!あ、脚か。

■ 2020年09月26日 撮影

完全にマトリョーシカ人形ですね。薄皮の中に別の白いキノコの姿が入ってるあたりも。 こうして見るとちゃんと外皮膜してるのが分かります。上部には鱗片らしきものも見えますし。

■ 2020年09月26日 撮影

TOP写真と迷った個体群です。ただ手前に直射日光が差し込んでいて良い感じに写らなかったんですよね。 この日は非常に美しい子実体ばかりを目にして眼福眼福。 ちなみに茂みの後ろの白いのも全部本種です。どれだけの大発生だったかが良く分かります。
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