■Amanita sychnopyramis f. subannulata (テングタケダマシ)

■ 2022年09月03日 撮影

毎年地元フィールドに安定して出るも、綺麗な被写体に恵まれなかった本種。 そのため私の脳内「撮り直したいリスト」にずっと入っていました。 少し前に別のフィールドで発生を確認。2022年にやっとしっかり撮影することができました。 夏から秋にかけて広葉樹林針葉広葉混合林に発生する「天狗茸騙」。 以前見たのは標高の高いカラマツ林でしたが、ここは低地の家から近いシイカシ林です。 その名を見ても分かるようにテングタケのソックリさんです。

非常にネット上に誤同定が多い種です。 その多くは外皮膜の破片の形状からイボテングタケと判断している例です。 実際には柄の基部やつば、判断基準ともなった外皮膜の破片の形状が全く異なります。 逆にテングタケとはあまり間違われていないような気が・・・?


■ 2022年09月03日 撮影

全体的な雰囲気を眺めてみると、確かにテングタケに似ているっちゃぁ似ています。 そしてイボテングタケにも似ているっちゃぁ似ています。 要は2種の中間的な形状と言えなくもないですね。 ただ注目すべきはその大きさ。本種はかなり小型種で、傘の直径が5〜6cmほどなんです。 大型化するイボテンはともかく、無印よりも遥かに小さいのです。


■ 2022年09月03日 撮影

傘は灰褐色で周囲には溝線があります。ここらは無印テングタケに似ています。 決定的な違いは傘表面の外被膜の破片が褐色を帯び錐形で尖っていることでしょう。 テングタケの外皮膜の破片は白色で色を帯びず、破片状で不規則な形状です。 またイボテンと比べても先端が鋭角的でより尖っている点で異なります。


■ 2022年09月03日 撮影

裏返してみると柄は細くて短く、コンパクトにまとまっている感じがします。 ひだは白色ですが柄は若干褐色を帯びることがあります。 また柄の基部が膨らむこともチェックポイント。 テングタケ属は大体基部が膨らみますが、本種は細い柄に似合わず急激に太くなるのが特徴です。 あと基部に外被膜の破片のトゲが沢山付いているのも独特かな?


■ 2022年09月03日 撮影

ひだは白色で密。柄に対して離生。つばは膜質で脱落しやすいです。 裏向きに置いたことでつばが重力に負けているあたり、そのか弱さが見て取れます。 つばが脱落すると雰囲気がガラリと変わりますし、傘のトゲが脱落するともう分かりません。 ただ本種は柄が緩やかに下方に太まる傾向があり、注意深く観察すると分かったりします。

テングタケ同様、本種も毒キノコだと考えられています。 死亡例があると言われていますが、出典が不明なので詳細が掴めません。 ただ紛らわしいテングタケも毒キノコなので、最初から警戒しておいて良いでしょう。 ただかなり比較的小型なので採取対象にならないのか事故例はあまり聞きません。

■ 2015年07月11日 撮影

地元観察会で訪れるフィールドで、毎年同じ場所に小群生を作ります。 ただ川沿いのためか増水時に水に濡れて汚れていることが多いのが玉に瑕。 そのため今までずっと写真に恵まれず、長い間「差し替えしたいなー」と思っていた種です。

■ 2010年07月18日 撮影

夕暮れで暗くなっていたので、色合いがやや侘しいのはご容赦下さいませ。 毎年同じ場所に決まって10株程度発生しており、出会うのは比較的容易。


■ 2010年07月18日 撮影

テングタケとの最大の違いは傘の白いつぼの破片の形状。本種はトゲ状です。 傘の色は褐色で中心に行くほど濃色になります。傘の周囲には条線があります。 雨が降っておらず、細かいつぼの破片が流されずに残った典型的な姿です。


■ 2010年07月18日 撮影

柄は白色で中程に白い膜質のつば。基部はボール状に膨らんでいます。 つばは膜質で脆く、柄のほぼ中央に申し訳程度に付いていることが多いですね。 またこれは個人的な感想ですが、本種は何だか全体的に茶色っぽい印象を受けますね。

■ 2014年07月08日 撮影

毎年観察会で訪れる林道脇の決まった場所。今年も安定して発生です。 ですが、これ以降発生が途絶えました。 時期を逃しているのかも知れませんが、ナラ枯れが進んで近くの樹が枯れたのが影響しているかも?

■ 2020年07月12日 撮影

今まで安定して出ていた地元フィールドから姿を消してしまい、途方に暮れて数年。 全く別の場所で冬虫夏草を探していたら偶然再会!嬉しかったですね。 ですがこの日は良い被写体が無いのでTOP差し替えは叶いませんでした。


■ 2020年07月12日 撮影

この日見付けることができたのは幼菌2個体と真横に伸びたこの成熟個体のみ。 そのため全体図、傘、裏側と撮影するのはちょっと物足りない感じ。 なのでこの裏側写真を幼菌の横に置いて撮影だけしておきました。 その2年後の2022年に同じ場所で出会ったのがTOP写真となったあの見事な子実体達でした。

■ 2020年07月12日 撮影

ただしこの日見付けた幼菌2個体のうち、1個体は非常に特徴が確認しやすい素晴らしいもの! 幼菌の傘は丸く、錐形の外被膜の破片が非常に綺麗に残っています。 砕いたピーナッツと表現されるこの形状は、一見するとイボテングタケに似ています。 ですがイボテンの場合はもっと背が低く、ここまでトゲトゲして見えません。
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