■Amanita vestita (アマニタ ヴェスティタ)

■ 2022年08月11日 撮影

やっとこさ本種の種小名が判明しましたので不明種扱いから昇格しました。 ただ諸事情により和名無しでの掲載としています。 こげ茶色の鱗片を付けた傘に綿毛だらけの柄。何とも特徴的なキノコです。 発見当時は情報がほとんど得られず、コナカブリテングタケだと思っていました。 夏にシイやカシなどの広葉樹林に発生する特徴的なAmanitaです。 ちなみに種小名の「vestita」は「被包ある、軟毛で被われた」の意味です。

仮称として「マクツバコナカブリテングタケ」と呼ばれているそうですが、 調べてみると広い範囲で用いられている仮称ではないような印象です。 ただ、ネット上では雰囲気が某お菓子ににているため「ティラミステングタケ」の愛称もあります。 私自身、呼びやすいのでもっぱらこの名前で読んでいます。ごめんなさい・・・。 外見が似たコナカブリテングタケは外被膜の破片の付き方が異なります。

ちなみにティラミステングタケの愛称の提唱者はgajin氏です。


■ 2022年08月11日 撮影

傘はこんな感じ。一面がこげ茶色の綿毛状鱗片で覆われていて、触れるとしっとりした独特な手触り。 良く似ているコナカブリテングタケの鱗片は灰色で綿毛状なので全然違います。 傘の周囲にはベールのように白色の綿毛状鱗片が。これは中々魅力的であります。 この見た目が非常にティラミスっぽいのが愛称の由来ですね。


■ 2022年08月11日 撮影

1本引っこ抜いてみました。テングタケ属菌にしては細身でスラリとした外見です。 柄は基部と上部以外は傘の鱗片と同じ焦げ茶色で白色の綿毛がまばらに付着します。 また膜状のつばが綿毛状になって柄の上部に残るのが仮称の由来です。 このようなつばはコナカブリテングタケには存在しません。


■ 2022年08月11日 撮影

ひだは白色で密、小ひだが目立ちます。ちょっと粉臭い気がしますね。 また傘の周囲に綿毛状のつばの名残りが垂れ下がっているのが良く分かります。

テングタケ属菌ですので、念のため赤文字の食毒不明or毒としておきましょうかね。 見付けている方は他にも沢山居られますが、研究されている様子は感じられません。 まだ情報が少ないので困りますね。海外のこの学名のものとも少し違う気もしますし。

■ 2006年09月22日 撮影

かなり離れた別のフィールドでキノコ趣味を始めた最初期に発見していました。 うん、これは確かにティラミスだ・・・。 傘が大きく開いて裂けた部分の白さが余計にお菓子っぽさを醸し出してますね。 雨で表面の鱗片は流れますが、意外としっかり付いているのか多少残ります。


■ 2006年09月22日 撮影

下から覗いてみました・・・。ちょっと弱々しいですが薄いつばがあります。 これが和名(仮称)の由来のようですね。コナカブリには無い特徴でもあります。 ただこのつばは早落性で極めて脱落しやすく、残っていない個体も多いですね。

■ 2013年07月15日 撮影

旧TOP写真です。実はこの写真、無理矢理背景を縦に引き伸ばしています。 ウチのサイトはデザインの関係で一番上の写真を縦構図にしています。 しかし本種は縦に撮った写真が全く無く、やむを得ず編集していました。 2022年にそれを自覚した上でしっかり撮影したのでようやく差し替えできました。


■ 2013年07月15日 撮影

う〜ん、これはまさにティラミス!それ以外に表現しようがありません。 色合いは淡色なんですが、質感が凄いココアパウダーっぽいんですよね。


■ 2013年07月15日 撮影

地面に這いつくばって裏側を撮影してみました。凄く・・・テングタケ属菌です・・・。 海外の同じ学名の写真を見るともう少し太くて基部も肥大する傾向が見られます。 もしかするとこの学名の種そのものではないのかも知れませんね。可能性の話ですが。

■ 2013年07月15日 撮影

今まで見た中でもとりわけ大きくて、しかも傘がまだ開いてない個体を発見! この段階では傘全体がこげ茶色で白い隙間がほとんど見えていませんね。 書いてて気付きましたが、傘と柄とで下地と鱗片の色が逆転してるんですね。

■ 2013年09月23日 撮影

今までの写真でお気付きのように本種は不思議と群生しないテングタケです。 ネットで画像検索しても不思議と間を空けて発生していることが多いのです。 なのでこのように3株が寄り添うように立っている姿に凄い違和感が・・・。


■ 2013年09月23日 撮影

側面から見てみました。このつばは何というか膜を通り越してですね。 脆いなんてもんじゃありません。天候に関係無く大抵はボロボロになってます。

■ 2014年09月06日 撮影

本種は近所に安定して発生するフィールドがあるのですが、今年も順調のようで。 しかも今回はほぼ傷みの無いパーフェクトな状態の親子を発見できました。 本来脱落しやすいはずの柄の綿毛状の鱗片がほぼ無傷のまま残っています。

■ 2015年07月20日 撮影

テングタケ科菌が賑わうこの暑い暑い季節、本種もまた例外ではありません。 いつものフィールドに足を運ぶと他のAmanitaと混ざって群生していました。 しかし同じ科でもここまで形状が違うとは・・・進化とは不思議なものです。

■ 2015年07月20日 撮影

完全にティラミスじゃん!愛称を流行らせ隊、活動を続けますよー。

■ 2015年07月20日 撮影

この日見た中で最も美しかったのをパシャリ。テングタケ科らしいお姿です。 仮称にも採用されている膜状のつばも奇跡的に脱落せずに健在でした。

■ 2016年09月10日 撮影

最近Twitterとかで皆さんティラミステングタケと呼んでいるのが嬉しい。 だってティラミスなんですもん。この愛称のインパクト相当大きいですよね。 一目見てすぐ名前が浮かぶのは良い名前だと個人的には思うんですが・・・。

■ 2020年07月11日 撮影

雨の後はこんな感じでココアパウダーが流失してしまいます。 すると褐色の細鱗片に覆われた傘が現れます。これが本来の本種の傘なんでしょうね。 それでも雨の当たらない柄は綿毛状の鱗片で覆われたままです。

■ 2020年09月21日 撮影

約2ヶ月後、秋の気配も感じ始めた頃に2度目の発生があります。 この子実体は表面の鱗片が妙に暗色と言うかダークグレーで、まさかコナカブリテングタケか?と疑いました。 しかしコナカブリの傘表皮の鱗片はもっと全体的に満遍無く覆うハズで、個体差であると結論付けました。 でもこの色だとティラミスっぽくないですね。

■ 2022年08月11日 撮影

非常に美しい幼菌を発見しました。この色は正しくココアパウダー! 本種は傘が開く頃にはこの粉状の外被膜の破片が色褪せていることが多いです。 しかし幼菌の頃は彩度が失われておらず、完全に洋菓子状態です。

■ 2022年08月11日 撮影

今までTOPを飾れそうな写真が無かったので、2022年は狙っていました。 今回無事に差し替えができました。またこの年は状態の良い子実体が多かった気がします。 これでもかなり写真を選別しましたから。
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