■Arcyria obvelata (キウツボホコリ)

■ 2020年08月30日 撮影

2010年を最後になぜか全然見かけなくなってしまい、撮り直しを切望していました。 それから10年経って地元の良く訪れるフィールドに突如出現!様々な朽木上に発生します。 夏場になると活発に活動し、子実体を形成する粘菌の一種「黄靫埃」です。 「靫」は矢を入れる容器のこと。恐らく子実体の形状からその名が付きました。 肌に感じないほどの微かな風でゆらゆら揺れ、撮影が地味に大変でした。

ちなみに「黄」と付くことからも分かりますが、同属に色んなウツボホコリが存在します。 その中でも黄色い本種と赤いウツボホコリ、白いシロウツボホコリの3種は普通種でどこでも見られます。 中にはかなり珍しい種も存在するんですけどね・・・。


■ 2020年08月30日 撮影

子実体のタイプは1つ1つの子嚢体が分離している単子嚢体。 成長初期は何の変哲も無い円錐に細い柄が付いたような姿ですが、成熟するとその姿が一変! 細毛体が一気に広がって目の荒いスポンジのように長く伸びます。


■ 2020年08月30日 撮影

拡大してみました。この網目の内部には胞子が存在し、風に揺られることで撒き散らされます。 構造上非常に軽く僅かな風でも揺られるため、胞子の飛散にはうってつけと言うワケ。 色はと言いたいところですが、正直出会うのはどれも黄土色ですね。 ウツボホコリやシロウツボホコリと比べると確かに黄色いとは言えますが。

食おうとか思いもしません。スッカスカのパッサパサですよ。

■ 2007年07月05日 撮影

公園の隅の方、腐りかけた木の椅子にひっそりと生えていました。 これが最初の出会い。この頃は変形菌のことを全くと言って良いほど知りませんでした。 フィールドブックスで調べてこんなのもあるんだ〜程度に思っていましたね。 かなりじめじめした場所で、あまり使われていない机と椅子の残骸が・・・。


■ 2007年07月05日 撮影

拡大してみました。周囲に散っている黄色い粉末が本種の胞子です。 指で突付いたり、息をふっと吹きかけると、黄色い粉末がぱっと舞います。 最初は小さい釣鐘状ですが、その状態からなんと5倍ものサイズに膨らみます。

■ 2007年07月05日 撮影

粘菌と言うと、もっとネバっこい印象があるんですが、本種はパサパサしてそうですね。 実際は結構ねちゃっこいんですが、子実体がスカスカなので軽そうな見た目です。 図鑑で見るともっと鮮やかな色合いなんですが、鮮度が低いのかな・・・? この子実体はあまり長く伸びなかったようです。

■ 2010年07月17日 撮影

亜高山帯のブナ林でも発見しました。 朽ちたブナの倒木上に小さな群生を作っていました。


■ 2010年07月17日 撮影

拡大してみました。手前に見えるのが伸長する前の細毛体。ちゃんと撮っとけば良かった・・・。 これがスポンジ状に伸び、後ろに見える網目状になると言うのは驚きです。 この状態だと図鑑にも記載されている灰褐色の柄が観察しやすいです。

■ 2021年08月28日 撮影

キノコを探して湖畔の遊歩道を歩いていて不自然なものを発見。 最初は花が咲いているのかと思いましたが、良く見ると久々のキウツボホコリ。 高い場所を目指して目線の高さまで登って来たようです。 良く見ると幹表面に変形体の這い跡が見えてますね。
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