■Armillaria tabescens (ナラタケモドキ)

■ 2019年09月16日 撮影

地元でキノコ狩りを始めた際にメインのフィールドとした自然公園に大発生する本種。 あまりにも見慣れすぎて写真撮影が疎かになるのは考えものかも知れませんね。 夏から秋にの長期間、広葉樹の腐朽材から発生する「楢茸擬」です。 地面から生えているように見えますが、埋もれた枯木の根から出てます。 本種は和名を見ても分かるように、ナラタケに極めて良く似た姿。 本来は枯木の少し高い場所からも生えますが、不思議と地際から出る姿を良く見ます。 今回は新発生地を発見したので大幅更新!

和名に「モドキ」とありますが、ナラタケには束生している点以外は意外と似ていません。 ちなみに種小名の「tabescens」は「痩せ衰えた」と言う意味。 恐らくナラタケの重厚さと比較しての命名でしょうね。


■ 2019年09月16日 撮影

子実体は全体的に黄褐色系統で統一されています。 ナラタケ同様に束生で多数の傘を1ヶ所から大量に伸ばすのでかなり存在感があります。 ナラタケに比べて細身のためか逆に密度は高く、塊のように見えます。


■ 2019年09月16日 撮影

傘は蜜色で繊維状。傘の中央部に繊維が集中して表面が荒くなるのが特徴です。 ナラタケのような暗褐色の鱗片は見られず、ツルッとした質感です。


■ 2019年09月16日 撮影

柄はかなり強靭な繊維状で傘と同色ですが、基部に向かいほど暗色になります。 ひだは柄に対してやや垂生し白色でやや褐色みを帯びて肌色っぽく見えます。 最大の特徴は無印ナラタケとは異なりつばが存在しないと言うことです。 ナラタケのつばはかなり強靭でそうそう脱落しないので、柄を見れば区別は容易です。

ナラタケには流石に風味で負けますが、本種も食菌です。地方は「オリミキ」。 古くから食されてきたキノコで、ナラタケ同様地方名が数多く存在しています。 ただし本種は極めて消化が悪く、食べ過ぎると消化不良を起こすので注意が必要です。 特に繊維質の柄が曲者なので、柄の上方から傘にかけてだけを食べたほうが安心かも知れません。 私は柄の大半を切り落として汁物にして頂いたりしますが、体調不良を起こしたことはありません。

■ 2007年07月31日 撮影

あまり良い写真が無かったのでコレが長い間TOP写真でした。 発生規模は中々のものなのですが、如何せん株の状態日差しが宜しくありませんでして。 本種の傘は成長不良だとこんな感じで厚みだけが増加して逆三角形になります。

■ 2007年07月31日 撮影

木漏れ日と草むらに隠れていました。ここ光を遮る木々が無いので日差しが厳しいです。 本種は朽木生のキノコなので本来は材上に発生します。 しかし水分が好きなのか、それとも乾燥気味の場所に出やすいからなのか、保湿力の高い材の地際に良く出ます。 こんな感じで地面を這った枯れた木の根から発生しています。


■ 2007年07月31日 撮影

ナラタケに似ていることは似ているのですが、つばが無いので見分けるのは非常に容易です。 あと全体的にヒョロっちいですね。

■ 2007年07月31日 撮影

・・・イソギンチャク?幼菌の時はこんな感じで若干キモいです。 傘は沢山出しますが、地面付近の傘は不稔のまま朽ちてしまうみたいですね。 確かにエノキとかブナシメとかにも基部にこんな残骸残ってますもんね。

■ 2007年08月04日 撮影

大きな切り株の根元、シダの葉に守られるように生えていました。 ちなみに状態が良かったので勇気を出して味噌汁にしてみました。 味噌汁にして食ったんですが、個人的には全然悪くないですね。ダシも出て美味い! ただナラタケに比べると・・・うん、負けてますね。 ただ、相当煮立たせたんですが、柄が凄いシャキシャキで繊維感は全く失われません。 これは食べすぎると消化不良を起こすと言うのもうなずけます。

■ 2007年08月04日 撮影

踏みそうで恐いです。立ち枯れた木の根元にはほぼ確実に生えています。 考えてみれば1種類を食べすぎるほど食えるほどキノコってそうそう採れないんですよね。 ただ本種「」採れる。マジ採れる。一ヶ所に相当な量出ますから。 普通に食べる分には1〜2束(?)で十分です。ちなみにコフキサルノコシカケがオマケで生えてました。

■ 2007年09月24日 撮影

ちょっと手前の葉っぱが邪魔だったかな?でも自然体が好きなのでまぁ良いか! 深い森の中、朽ちて折れた木の周囲の放射状に広がった根の上に群生していました。 どう見ても地面から生えているようにしか見えませんけど朽木生です。 こう言う小型のキノコが群生する様子って、いかにも「キノコっぽい」ので好きですねぇ。 味噌汁にして食べましたが、優しいダシが出て美味しく食べれました。

■ 2007年10月02日 撮影

仕事に行く途中に良い感じの雑木林を横目に見ていました。 行って良かった、凄かった。まさにナラタケモドキの楽園でした。 少し開けた場所に枯木が多く残っているのですが、数え切れないほどの大群生です。 これはその一つ。採り切れないなコレは。

■ 2008年09月14日 撮影

今まで木に生えている姿をあまり見ていないので、本来の姿が逆に新鮮でしたね。 丁度横でカタツムリさんがお食事中でした。やっぱり美味しいんでしょうね。 ただし朽木上に生えるにしても、本種は比較的低い場所に子実体を作りますね。

■ 2010年07月30日 撮影

2007年以降はあまり綺麗な成菌が見れてなかったナラタケモドキも今年は好調です。 毎年同じ朽木の周囲に出ますが、今年は天候にも恵まれ傷みの少ない状態でした。 このフィールドでは近所の方も採取して食べてるそうです。

■ 2010年10月06日 撮影

良く行く公園は毎年モドキが大発生。写真のほとんどがココだったりします。 直射日光ガンガンの場所にも出ますが、乾燥しすぎて傘の周囲がこげ茶色になってます。

■ 2011年10月01日 撮影

夏の初めと終わりに発生するみたいですね。この年は本種の当たり年だったようです。 と言うのも写真は撮影してないんですが、至る所で立派な本種を目にしました。 撮影していないのはあまりにも多すぎて良いアングルの写真を撮ってないから。 コイツらの周囲にも株径20cmを超える個体群が複数見られました。

■ 2012年09月15日 撮影

毎年良く見るキノコなんですが、今年はビックリするほど見かけませんでした。 初夏に見た個体はどれも貧弱で、普段とは異なる自然公園でやっと立派な個体に出会えました。

■ 2013年09月12日 撮影

とても綺麗で傷みの少ない個体に出会えました・・・が驚いたのは周囲です。


■ 2013年09月12日 撮影

大発生です。ここまでの個体が集中して生えてるのは久々に見たかも。 しかもこれでもまだ写真に納まり切らないくらい周囲に出ているからビックリです。 すぐ近くに巨木の切り株があり、そこから伸びた根に菌糸が侵入しているのでしょうね。

■ 2013年09月13日 撮影

綺麗な個体に出会ったのでパシャリ。スマホのカメラでも撮れるもんですね。 実は上2枚の前日に撮影したものもスマホ備え付けのカメラで撮影しています。 この頃はさほど性能が良かったワケではありませんが、時代は進んでいると感じます。

■ 2013年09月22日 撮影

そりゃあここまでバカでかい株になってたら車で走ってても気付きますって。 キノコ狩り実況の下見で向かった途中の立ち枯れに大群生を作ってました。 やや古めの個体なので下の方の傘には真っ白に胞子が降り積もってましたね。

■ 2019年09月16日 撮影

TOP写真と同じフィールドです。大きな立ち枯れの周囲に大発生していました。 この立ち枯れはカエンタケが発生しており、それを探していてのこの出会いでした。 まぁ大丈夫だとは思いますが、場所が場所だけに食べる気は起きないなぁ・・・。

■ 2019年09月16日 撮影

正直今まで見た中で一番大きい子実体でした。 株の直径が30cm超えのビッグサイズ!正直ここまで大きいと気持ち悪いです。 流石に成長しきってしまったのか老成して傘が傷んでしまっています。 この場所は近くに沢が流れているためか常時湿度が高く、本種の成長に適しているのかも知れません。 てか乾燥した場所に良く出るだけで、これが本種の本来のポテンシャルなのかもですね。


■ 2019年09月16日 撮影

すぐ隣に出ていた子実体もこれまた大きいですね。胞子が降り積もっています。

■ 2020年10月11日 撮影

あー遅かったー!良く行く自然公園の大きなコナラの切り株の周辺に大群生! あと1週間早ければとても状態の良い群生を撮影できたでしょうね。 本種は随分前から食用を意識して採取はしていませんが、見栄えは良いので被写体として優秀なんですよね。
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