■Aschersonia aleyrodis (アスケルソニア アレイロディス)

■ 2020年01月12日 撮影

一週間前にすぐ隣の沢でツゲに付いているのを見ていましたが、小さい上に時間も無くてスルー。 その翌週にサカキの葉裏に発生しているのを発見しました。 植物病原菌じゃないですよ?主にコナジラミの幼虫を宿主とする極めて小型の冬虫夏草です。 害虫のミカンコナジラミがお好きで、園芸方面でも知られていたりします。 生物農薬として有効かと思いきや、あまり抑制効果は無いようです。

Aschersonia属はHypocrella属のアナモルフとされています。 本種のテレオモルフは「H.libera」だとされていますが、完全世代はめったに見られません。 と言うかHypocrella属のアナモルフとしてはMoelleriellaも存在するので良く分かりません。 とりあえずコレ系のアナモルフはAschersoniaと考えておきます。


■ 2020年01月12日 撮影

裏返してみました。正直この実を見るまでサカキかどうか不安でした。 樹種も覚えないといけないってのは分かってるんですけどね・・・。


■ 2020年01月12日 撮影

一枚葉を採取しました。これだけ見ると植物寄生菌類に見えます。


■ 2020年01月12日 撮影

拡大してみるとこんな感じ。宿主は菌糸に覆われて全く見えません。 と言うか崩して内部を見てみても宿主はほとんど分解されていて痕跡を見付けることも困難です。 ざっと見た感じだと宿主のコナジラミは見当たらないかな?


■ 2020年01月12日 撮影

子実体は宿主を完全に包み込んで盛り上がっています。色は黄色〜オレンジ色。 葉の裏面に広がる菌糸は白っぽいです。これだけ見ても冬虫夏草には見えませんねぇ。 表面に赤色の濃い部分がありますが、ここに分生子が形成されます。


■ 2020年01月12日 撮影

構造が分かりやすいように若い子実体を拡大してみました。 先ほどの色濃い部分は実はくぼみになっています。 本種はこの内壁に分生子を形成するアナモルフ菌類なんですよね。 子嚢殻を形成するテレオモルフも存在しますが、かなり珍しいみたいです。


■ 2020年01月12日 撮影

子実体が小型なので分生子が見れるかどうか不安でしたが、杞憂にもほどがありました。 子実体周辺に水滴を1滴ポタリ。それをスライドガラスに受けて顕微鏡観察すると・・・。 何が何だか分からないレベルの量の分生子ががが。


■ 2020年01月12日 撮影

やはり分生子は小さいですね。油浸対物レンズが必須です。


■ 2020年01月12日 撮影

流石にこれだけ密集していると何が何だか分からないので切り出してみました。 分生子は両端が細まった紡錘形で、内部には複数の油球が一直線に並んでいます。 長さは10μm前後で、とても魅力的な姿をしています。 ツバキコナジラミに発生する類似種の分生子とは全く異なる形状ですね。

食えるもんなら食ってみろ。いや多分食わないほうが良いですマジで。


■ 2020年01月13日 撮影

日付が変わって翌日。何気無しに残してあった葉をルーペで観察していたら、宿主居るじゃん! 透明なので全然気付かず、ライトの反射でその存在を知りました。 いやぁ〜気付いちゃったら観察せねばなるまいて!


■ 2020年01月13日 撮影

てことでマクロレンズの最大倍率で撮影してみました。宿主のコナジラミの幼虫です。 twitterで発信したところ、その名もKonajirami-ya氏よりタイワンコナジラミモドキではないかとのご意見を頂きました。 以前はミカンコナジラミ属だったそうで、そう言う意味では図鑑の表記とも整合性が取れますね。

■ 2015年07月18日 撮影

夏に行われたどろんこ氏主催の冬虫夏草調査にて遭遇。これが初見でした。 図鑑で見た冬虫夏草が目の前に居る衝撃は今でも鮮明に覚えています。


■ 2015年07月18日 撮影

宿主が大型だったためか、子実体が大きいです。 てか後で気付いたんですが、右上に冬虫夏草のハダニベニイロツブタケが居たんですね。 同じく見たかった種に気付いたのが帰宅後の写真整理中だったとはお恥ずかしい限り。


■ 2015年07月18日 撮影

宿主が大型のためか、拡大してみると凹みが非常にハッキリしています。 右上に写っている黒い楕円形のものが宿主のコナジラミの幼虫ですね。 付いているのがクスノキ科の幼木ですし、この白い模様からしてヤスマツコナジラミかな?
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