■Aschersonia kawakamii (アスケルソニア カワカミイ)

■ 2018年07月16日 撮影

ガガンボ氏主催の岡山冬虫夏草オフ。その最終日にまさかの出会いがありました。 コノイデオクレラやハガクレシロツブタケなどが見付かり盛り上がる中、ふと上を見たらツバキの枝に憧れた姿が。 カイガラムシを宿主とする気生型のアナモルフ菌類なのですが、その姿は同属菌の中でも異質です。 一見すると冬虫夏草に見えず、参加者全員初見だったので狂喜乱舞しました。和名?は以下で紹介するもので良いのかな?

和名としては「川上橙色虫生菌」と言うのがあるのですが、学名読みで掲載することにしました。 これをカタカナで表記している文献やネット上の記事も見たことが無いので・・・。 ちなみに国内で見られる本属菌の中では発生量が少ない種のようです。


■ 2018年07月16日 撮影

枝に付いている赤茶色の塊が本種です。 しかしこの姿だけ見ていてると、教えてもらわない限り冬虫夏草だとは気付けないなって思います。


■ 2018年07月17日 撮影

帰宅後にクリーニング・・・は要りませんね。黒バック撮影してみました。 宿主はカイガラムシなのですが、元がどんな大きさだったか分からないほどに巨大化しています。 実際に中を割ってみても宿主はほぼ完全に消滅しています。 あまりにも質量保存の法則を無視したサイズのためか、枝に刺したままの口針から植物体の栄養を摂っているのではないかとの説も。 しかし必要とする栄養素的に、水分はともかく養分を利用できているかは微妙?


■ 2018年07月17日 撮影

拡大してみました。子実体は赤橙色で、宿主のサイズからは想像もできないほど大きく盛り上がっています。 分かりにくいですが分生子は側面にある凹み内部の表面に形成されます。 ただ凹みの境界も分かりづらく、適当に表面をカリカリして分生子を採取しました。


■ 2018年07月17日 撮影

分生子はこんな感じです。図では両端に隔壁が1つずつ有るような描かれかたですが、単細胞の分生子に隔壁は有りえません。 見れば内部に大きな油球が存在しているので、その境界が隔壁のように見えているのだと理解できました。

食えるワケないです。まぁ中に虫の残骸も無いですし、生理的にはマシですけど。 ちなみにこれ大きくても直径5mmくらいしか無いので、無毒でも「カリッ」で終わりだと思います。ワリと硬いですし。

■ 2022年07月03日 撮影

4年振りのガガンボ氏主催の岡山オフにて全く同じ場所で出会いました。 前回は最終日の思いがけない出会いでしたが、今回は初日に安定して出会えました。 本種はあまり話題に上がることがありませんが、個人的には結構珍しい種だと思っています。


■ 2022年07月03日 撮影

今回は前回より開催時期が早かったためか未熟な子実体が多かったです。 でもこの独特な色合いが良いんですよね。本種を知らないと冬虫夏草とは思えないでしょう。 恐らくその理由は枝に沿って菌糸が広がらないためでしょう。 なので菌類っぽくないんですよね。

■ 2022年07月03日 撮影

ボケていますが左奥にも1個体あります。右手前の子実体は成熟してるかな? 本種は材に菌糸が広がらないので簡単な衝撃で脱落してしまうので注意が必要です。 え?何でそんなことこの写真で言うかって?さて、何ででしょうね・・・?

三脚伸ばしすぎたなー・・・。
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