★Astraeus sp. (ツチグリ)

■ 2007年10月27日 撮影

高原地帯をドライブ中に大雨に襲われ道路脇で車を停めて一休みと思ったら綺麗な発生に遭遇。 足元にワラワラ生えてました。キノコの少ない時期に見付けるとは思いませんでしたよ。 流石は基本種の風格と言うか。かなり特徴的で間違える方が難しいキノコです。 調べてみましたが和名は「土栗」になるみたいです。外見が由来でしょうね。 各種林内地上、と言うか崩れやすい斜面など遷移が起きやすい地上に多く見られます。

以前は海外の「A. hygrometricus」と同種とされていましたが別種であることが判明しました。 それ以降情報が無いので今でも種小名未決定状態で掲載を続けています。何か分かったのかな?


■ 2007年10月27日 撮影

本種の特徴は何と言っても花弁のように裂けた独特な外皮です。 幼菌時は外皮が胞子を蓄えた中央の内皮を覆っており、成熟すると熟すと7〜10枚くらいに裂けます。 空中湿度を感じ取って開裂するので「きのこの晴雨計」とも言うそうです。 結果、中央に胞子の入った丸い袋があるような、独特な形状になります。 特に外皮内側の白い層が開裂後に亀甲状にヒビ割れて特徴的な模様が浮かび上がるのが特徴的ですね。

この見た目からは想像もできませんが本種は可食です。 と言っても普段目にする姿になってからでは手遅れ。 切断して内部が白いような本当に若い幼菌だけは食べることができます。 ただし本種は埋もれているような状態でも内部が熟していたりするので、そんな子実体を探すほうが大変。

■ 2006年12月15日 撮影

初めて撮影した写真はコレかな?正確には全体像を撮ってましたが手ブレで使い物にならず。 乾燥時に木の枝で突付いてみると褐色の胞子がポフポフ舞います。 本種が雨を感知して開裂するのは雨粒落下の衝撃で胞子を噴出するため。 実際に雨天で観察すると時たまポフッっと上に胞子を吹き上げる様子が見られます。 撹乱地を好むのも雨粒を邪魔する草本が居ない場所を選んでいるからでしょうか?

■ 2009年07月11日 撮影

最初何なのかサッパリ分かりませんでしたが、どこかで見た記憶はあったんですよね。 これ実は顔を出したばかりのツチグリの幼菌なんです。 表面は黄土色で、大きな暗色の鱗片があるのでデコボコしています。


■ 2009年07月11日 撮影

切断してみました。胞子が熟しているので内部は見事に真っ黒です。 このように地表に頭を出している時点で既に食用には手遅れなんですよね。 雨を感じ取って外皮を裂く準備が整っちゃっているワケですので当然っちゃ当然です。 食用にする場合はまだ地面に埋まっている幼菌を掘る必要がありますね。

■ 2009年07月11日 撮影

今はツチグリ最盛期なのでしょうか?色々なフィールドで幼菌を目にします。 幼菌は今まで一度も見たこと無いのに。意識するようになったのかな?


■ 2009年07月11日 撮影

この幼菌の独特の模様、どっかで見たなと思ってたらアレだ、マツタケの幼菌だ。 繊維状の鱗片が圧着するのは構造的には同じですもんね。

■ 2010年10月30日 撮影

静かな湖畔の森の陰にて発見。普通なら載せませんが、コイツは違った。 とにかく異常に大きいんです。今まで見た物と比べると2倍近くはあったかも。 他に見た観察会参加者の方も「オオツチグリ?」などと言ってました。個体差でしょうか?

■ 2013年10月27日 撮影

芦生原生林にて非常に美しい子実体に出会えました。力強い生え方ですね。 地面に埋まった状態で裂開したため、上手く包まれて内部が綺麗に残ってます。 ちなみにこの後雨が降ったもは言うまでもありません。やな予報士だ・・・。

■ 2014年06月08日 撮影

色合いは地味ですが、その不自然な形のせいで案外気付く事ができます。 この日はやや不作の観察会だったので、本種でも嬉しい出会いでした。

■ 2019年10月20日 撮影

実はこの少し離れた場所に顕微鏡観察しようと採取したハラタケ型のキノコがありました。 しかし帰宅後に顕微鏡を覗いてみたらトゲがビッシリ生えた球形の胞子がチラホラ。 まぁ犯人はコイツですね。噴出した胞子が付着していたようです。 物理的なエネルギーを利用して胞子を飛ばすだけのことがありますね。今度ちゃんと観察しようかな。
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