★Aureoboletus mirabilis (オオキノボリイグチ)

■ 2014年08月30日 撮影

富士山のコメツガ林にていきなり出迎えてくれた大物! 非常に美しい子実体だったので多くのキノコ狩り参加者さんが撮影されていましたね。 和名「大木登猪口」・・・なのですがキノボリイグチとは属が異なります。 亜高山帯針葉樹林内で材上生のような発生形態を取るユニークなイグチです。 何ともメルヘンな傘の持ち主で、イラストなどにも時たま登場することもあります。 ちなみに「mirabilis」は「驚異の」の意。確かに凄い傘の持ち主です。

以前はキクバナイグチ属でしたが、現在はヌメリコウジタケ属に変更されています。 擬人化娘の胸元に溶け崩れた菊の御紋があるのは、この属名変更の経緯を示しています。 ちなみに奥に見える黄色いものは・・・ヒトです。


■ 2014年08月30日 撮影

傘は暗赤褐色で黄色い斑点が出来ると言う超印象的なカラーリング。 表面はビロード状で細かな鱗片が覆っており、ポフポフした触り心地です。 このような特徴の傘を持つキノコは国内じゃ本種だけでしょうね・・・。


■ 2014年08月30日 撮影

裏側です。管孔はオリーブ色がかった黄色で、擦るとからし色に変色します。 柄の上部は管孔と、下部は傘と同色。表面に強い網目を持っています。 また基部が大きく肥大し、成長し切ったこの状態でも膨らみが確認できます。 この子実体も樹上生ですが本種は菌根菌で周囲の木にと共生しています。 菌糸が材の中を駆け上り、少しでも高いところで胞子を飛ばそうと言う工夫ですね。

外見的にそんな気がしませんが美味な食菌です。 同行したキノコ狩りの方も率先して採取。結構美味しいとのことでした。 ただ撮影勢としては見た目が良すぎるんですよね。採るのが勿体無くなっちゃって・・・。

■ 2013年10月05日 撮影

少し古いけど立派な個体を発見。この個体は完全に地面から発生しています。 腐朽材上に発生するのが和名の由来ですが、地面からも普通に出ていますね。 そもそも本種は針葉樹と共生している菌根菌なので当然のことなのですが。

■ 2014年08月30日 撮影

大きな立ち枯れの根本から細身だけど特徴が分かりやすいオオキノさんが! 傘が水で湿気っていますがビロード状のためこんな感じで粘性は無し。 柄は子実体によってかなり差がありますが、基本は上部が淡色のようです。

■ 2014年08月30日 撮影

本種はあまり群れない種だと思ってましたが、なぜか大発生してました。 手前ほど老菌で、ムラサキヤマドリみたいに全体に色ムラが広がってます。 古い子実体は傘の周囲がめくれ上がり、裏側の管孔が大きく見えるようになります。

■ 2015年09月05日 撮影

富士山のコメツガ林なら当然のように生えている、そんな印象の本種です。 傘の模様が毎回違うので撮ってて飽きないですね。被写体として優秀だと思います。

■ 2015年09月05日 撮影

アカネアミアシイグチのすぐ近くに生えていた非常に愛らしい子実体です。 恐らく共生樹種が同じなのでしょう。周囲の雰囲気も良く似ていますしね。 このフィールドでは本種はかなり普通に生えており相当な数を目にしました。

■ 2016年09月25日 撮影

今まであまり「木登り」らしい写真が無かったのでちゃんと撮りましたよー。 この木は普通に生きています。菌糸は幹に付いたコケの内部を進んだ模様。 コイツ自体は菌根菌なので栄養は地面の下で貰えば問題ありませんからね。

■ 2023年09月09日 撮影

その後何度も富士山へは足を運びましたが、その際はあまり状態の良い子実体に出会えず、 そうこうしている内にコロナ禍が起き、長くお邪魔できませんでした。 しかし2023年に本当に久し振りにもろぞー氏主催のオフ会が開催! 生憎の雨模様でしたが、久し振りに出会えて嬉しいサイズの子実体に再会できました!


■ 2023年09月09日 撮影

周囲にはアワタケヤドリタケに感染した子実体が多かったですが、未感染のものもちゃんと居ました。 雨に濡れても傘表皮の質感と個性的な斑点模様は健在で、非常に満足感がありました。 晴れているとまた見た目が違うので、来年もまた撮影に挑みたいものです。

■ 2023年09月09日 撮影

珍しく愛らしい幼菌を発見。傘が小さいので柄のカラーリングが良く分かる子実体でした。 しかしこのサイズからもうちゃんと斑点模様があるんですね。何て可愛いキノコなんだお前は!
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