■Boletellus aurocontextus (コガネキクバナイグチ)

■ 2006年09月15日 撮影

初発見はキノコ探しを初めて2ヶ月ほど経った頃でした。 見付けた時はその美しさに息を呑みましたね。本当に枯木に花が咲いているようでしたから。 まるでキクの花のように見える和名はその名も「黄金菊花猪口」です。 以前は広義のキクバナイグチとされていたものが大きく3種に分けられた内の1種。 その中でも最も目にする機会が多い種だと思われます。 コナラとアカマツの混合林に出ることも大きな特徴と言えます。

以前キクバナイグチとされていたものはキクバナイグチと本種、ヒビワレキクバナイグチの3種に分類されました。 その中でも本種は最も際立った外見的特徴を持っており、比較的区別しやすいと思われます。 また他の2種が広葉樹林に発生するのに対し、本種はマツの交じる混合林を好むことも大きいです。


■ 2006年09月15日 撮影

傘は幼菌時美しい赤褐色の鱗片に覆われており、傘の成長とともにひび割れます。 鱗片のサイズや厚さは個体差がありますが、注目すべきはひび割れた肉が黄色だと言うこと。 無印とヒビワレは傘の肉が白いため、この黄色さは決定打となります。 また肉が黄色いため、全体的な雰囲気も他の2種と比べて色鮮やかでオレンジ色っぽく見えます。


■ 2006年09月15日 撮影

見上げてみました。管孔は黄色なのですが傘表皮に覆われるため幼菌時は隠れています。 つばと言うワケではなく、袋を上からすっぽり被せたような感じですね。 柄は全体的にワインレッドでかなり赤黒く見えます。 また肉には比較的強い青変性があります。

こんな派手な見た目で食べられるの?と思われそうですが、普通に食菌です。 傘はフワフワしていて大きく開いたものは食用に適しませんが、繊維質の柄は食感が良いそうです。 ただ見た目の綺麗さもあって、採取よりは撮影に力が入っちゃいますね。

■ 2007年09月24日 撮影

もうすぐ10月、秋が近付くこの時期は様々な林内で菊の花を見かけます。 鱗片がびっしり付いた皮膜が破れて持ち上がり、管孔面が見えてます。 この傘の周囲の肉と管孔部が分離する様子は本種らしいなぁと感じます。

■ 2008年09月20日 撮影

何かいい雰囲気だったのでパシャリ。カタツムリがムシャムシャ食べていました。 ナメクジに食われると腹が立つのに、殻があるだけで何この愛らしさ。 ナメクジやカタツムリはキノコが大好きで毒キノコまで食べる美食家?ですからね。先客は大切にしないと。

■ 2009年08月08日 撮影

かなり黄色くて鱗片の小さい子実体を発見。コガネで良いんでしょうけど随分雰囲気が違いますね。 どうも赤い傘表皮が発達する時期に雨が降らないなどで生育不良を起こしてるっぽいです。 表皮は発達せずとも傘は成長するので、表皮が取り残されてこうなるようです。 これはこれでカッコイイかもですね。

■ 2012年07月16日 撮影

学名変更後初更新です。相変わらずどここででも見れるキノコですねコイツは。 でも最近なぜか傘の色がピンクっぽい無印キクバナイグチばかり見ていたので、この姿は久々かな? ちなみに倒木の上に生えています。オオキノボリイグチみたいな真似を・・・あ、同属だわ。

■ 2013年09月13日 撮影

・・・木の上に生えてんですけど。見た時は何かの実が乗ってるかと思いました。 高い場所の方が胞子拡散には有利ですが、まさか朽木をこんな上までよじ登ってくるとは。 これキノボリやオオキノボリよりよっぽど高さありますよ。

■ 2016年09月10日 撮影

この木、上の2013年によじ登ってたのと同じで、毎年本種が登って来て傘を広げるんですが、今年は無い? と思ったら亀裂に隠れて赤い傘が見えてました。今年はシャイなのかな。 そんなんじゃ遠くまで胞子を運べないぞー?

■ 2020年07月18日 撮影

マツの立ち枯れによじ登っていました。 周囲の雰囲気も含めて良い感じの光景だったのでパシャリ。 こうして見ると初発見の2006年の段階でマツの立ち枯れの途中に出てたんですね。 基本的に高さのある場所を好むようですので。

■ 2020年09月13日 撮影

gajin氏とすず姉氏と一緒に訪れたオフ会が見事なまでのイグチ天国! 一年分のイグチを見たんじゃないかってくらいに色んな属のイグチを見ました。 そこでやっとキクバナイグチが3種に分かれることを意識し始めました。 ちなみに奥に見えるのはクロアザアワタケっぽいです。


■ 2020年09月13日 撮影

やっぱり美しいですね・・・菊の花に例えられる理由がまさにコレ。 鱗片が傘中央は立ち上がり、傘周辺では横に寝る・・・まさに菊の花の構造ですよね。 表皮が傘周辺で大きく裂けて傘の直径より広がるのがまた花っぽい!

■ 2020年09月13日 撮影

幼菌の傘はまだひび割れていないので綺麗な赤色です。 やっぱり下地が黄色いためか純粋に彩度が高いですね。

■ 2020年09月13日 撮影

TOP写真にしようか迷いに迷った超綺麗な子実体です。 と言うかTOP写真にするつもりで撮影しましたからね。 2006年の初発見個体がここまで綺麗じゃなかったら迷わずTOPにしてましたね。


■ 2020年09月13日 撮影

すっごい赤いよ!ここまで赤い傘は珍しいんじゃないでしょうか。 湿度の高い急斜面に出ていたためか全体的にしっとりしており、傘表皮がほとんどひび割れていません。 恐らくコレがパーフェクトコガネキクバナイグチでしょう。 と言うかここまで傘がひび割れていないと菊の花に見えないんですが・・・。


■ 2020年09月13日 撮影

この傘縁部で管孔部と傘表皮が分離する感じ、いかにもキクバナ一族って感じですね。 コガネキクバナイグチの特徴として柄の配色が挙げられます。 本種の柄はワインレッド〜赤紫色と他の2種に比べて濃色です。 また柄の上部だけが黄色くなるとされ、確かにその特徴がバッチリ出ています。
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