★Boletus violaceofuscus (ムラサキヤマドリタケ)

■ 2008年09月06日 撮影

毎年近所の公園に大量発生します。これほど嬉しいことはないでしょうね。 そんな状態なので知りませんでしたが、出会えない時は本当に出会えない種のようです。 夏にシイやカシの照葉樹林地上に発生する非常に特徴的な大型のイグチ「紫山鳥茸」です。 その名の通りの見事な紫色!ヤマドリタケ属なだけあって形状だけなら似ていますが・・・。 ちなみに種小名は「violaceo-(紫紅色の)」と「fuscus(暗赤褐色の)」がくっ付いたもの。

国内で見られるイグチ類の中でも特に美しい種だと思っています。とにかく気品に溢れる外見です。 本種があまり見付からないとされる理由は発生時期が真夏だからでしょう。 梅雨時を過ぎて種数が減る頃合いに発生のピークを迎えますからね。


■ 2008年09月06日 撮影

傘と柄は濃紫色で、これが学名および和名の由来です。 傘には黄色い斑点がはいるのが特徴ですが、この斑点の頻度にはかなりの個体差があります。 全く斑点の無いものや、傘全体がほとんど黄色に侵食されたものも。 柄には白い網目模様があり、いかにもヤマドリタケ属と言う外見です。

管孔は白色で、幼菌時は白色菌糸に覆われているのが理由です。 実際の管孔は黄色であり、成熟すると白い菌糸が消失して本来の色になります。

異質な色合いに傘や柄の不気味な模様、いかにも毒っぽい外見ですよね? とんでもない!知る人ぞ知る極めて美味な食菌です。「極めて」です。 味も香りも食感もピカイチ!しかも発生量が少なく希少価値も加わります。 不思議と虫の侵入が少ない気がしており、中の肉は真っ白で緻密。 私もバター炒めにして頂きましたが、香りが良く見事な食感です。 オススメはパスタで炒めてからソースと和えると贅沢な味わい。


■ 2008年09月06日 撮影

オマケですぐ隣に生えていた幼菌たちです。ホント独特な色合いですよね。 こんな外見ですが肉は全く色の無い純白でしっとりしっかりした質感です。 ちなみにこの群生は斜面に大発生した群生のごく一部。少し採取してパスタにしました。

■ 2006年09月21日 撮影

キノコ趣味を始めて最初の地元フィールドに指定した公園に発生していたので出会いは早かったです。 ちなみにこの写真を見てどう思われますか?この立派な株、側溝の中に生えてるんですよ。 菌根菌って共生さえしていれば強いですね。

■ 2006年09月21日 撮影

珍しかったので撮影したキノコonキノコ。ヤグラタケみたいに傘からキノコが生えてます。 チビキノコもちゃんと柄に網目があります。恐らく傷付いた部分が刺激となって再度子実体として生育したのでしょう。 似たような減少はベニタケ科菌とかでもたまに見られます。

■ 2006年09月21日 撮影

傘が成長に伴って裂けたので断面が偶然見やすくなっていました。 管孔はかなり厚みがあり、白色から黄色へ変化します。 また管孔表面を白い菌糸が覆っているので、孔口部に白い層があるのも分かりやすいですね。

■ 2007年06月30日 撮影

あまりにも綺麗な個体だったので夢中でシャッター切りまくりました。 痛んでない個体の柄とはここまで綺麗に網目模様が入るんですね。 この見た目だけでは本種が「美味な食菌」だとは思えないでしょうねぇ。

■ 2008年09月07日 撮影

歩いていて踏みそうになりました・・・。ここ普通のじゃり道ですよ。 去年はそれこそヘコむくらいに発生量が少なかったのに、今年は掃いて捨てるほどの大発生。 この個体は傘の淡い斑点部分が鮮やかな黄色です。淡い黄色のことが多いので新鮮な見た目でした。

■ 2009年07月05日 撮影

日陰だと淡色になるのは虚の中のエノキタケなんかで見ますが、本種もそうなのですね。 堆積物の少ない地面が好きなようで、斜面を好むためか日陰になっていることが多いです。 奥に見えるちっこいのは同じ環境に良く出るニオイコベニタケですね。


■ 2009年07月05日 撮影

1本ひっくり返してみました。見ての通り管孔部が白色菌糸に覆われています。 これは本属菌に良く見られる特徴ですね。 ヤマドリタケやヤマドリタケモドキ、シロヤマドリタケでも同じ現象が見られます。 変色性はありません。

■ 2009年07月05日 撮影

非常に愛らしい形状の個体を発見!傘の厚みがあるのか丸っこさ2割増しです。 こう言う姿になられてしまうと採って食べるのが勿体無いです。食べましたけど

■ 2009年07月11日 撮影

旧TOP写真にしていた非常に美しい子実体です。子実体の色濃さも斑点の鮮やかさもパーフェクト! ただこの時は傘の拡大や裏側を撮り忘れていました。勿体無いことしたなぁ。

■ 2009年08月06日 撮影

今年は本当に雨が少なく夏から初秋にかけてがピークのキノコは大迷惑! 本種もまた夏のキノコであり、夏場に姿を見たのはこの個体群が最後でした。 それにしても色が濃いですね。今までここまで濃い個体は見たこと事無いかも。


■ 2009年08月06日 撮影

ホントに暗色ですね。これもまたカッコイイですわ。 本種の傘はこんな感じで表面がデコボコしているものが多いです。

■ 2010年06月29日 撮影

相変わらず良い雰囲気のヤマドリタケ属ですよね。ほぼ傘に黄色い斑点が無いです。

■ 2010年06月29日 撮影

発生量はそこそこ多いのですが、昨年ほどの大発生は無かったようです。 撮影日時を見ればお分かりかと思われますが、本種は真夏を挟んで2回出ます。 まずは6月終りから7月初め。次に8月終りから9月初め。近所じゃそんな感じです。 ぶっちゃけ一番熱い時期を避けて2回出ると言う感じでしょうか? 第一期は逃した感があるので、第二期の発生に期待して待ちましょうかね。

■ 2010年08月22日 撮影

宣言通り8月下旬になってま夏の間に絶えていた発生がまた再開。 ただ周囲の状況を見れば一目瞭然ですが、地面もキノコも乾燥していますね。 今年の夏は雨が少なかったので、本種も含めてキノコには打撃だったようですね。

■ 2011年08月01日 撮影

相変わらず人が山に入りたがらない時期を好んで出て来ますね。 かなりの個体数を確認できたので、若い個体を選んで持ち帰ったのですが・・・。 その内の一株がアワタケヤドリにやられてた!完璧に油断しましたね。 翌日取り出してみるとボウルの中身は真っ白!そして漂う不快臭・・・涙を飲んで廃棄しました。

■ 2011年09月18日 撮影

蒸し暑く乾燥した日々。久々に訪れてみると自治会の方が里山の掃除をされていました。 地面はカラカラに乾いており、諦めて帰ろうとしました。 そしたらあるじゃないか!非常に立派なムラサキヤマドリ!汗かいた甲斐があったと言うもの。 ちなみに個体数が少なく採取は断念。2011年は食べれない年となりました。

■ 2012年07月14日 撮影

今年は不作でしたね・・・例年に比べると発生量は2〜3割程度じゃないかな? 丁度本種が最も多く出る時期にあまり雨が降らなかったのが原因でしょうか。

■ 2012年07月14日 撮影

今年も結局食べれてませんね。秋に綺麗な個体が出るので、それに期待かな。 にしても柄が長い。ホントはもっとずんぐりむっくりな姿をしてるんですけど。 やっぱり光が当たらない場所だとエノキタケみたいに細長くなるんでしょうか? ちなみに手前の成熟個体は管孔が黄色く、奥の若めの子実体との色の違いが分かりやすいですね。

■ 2013年09月12日 撮影

この子実体が今年見た中では最も綺麗だったと思います。 ただカメラを持っておらず、やむなく写メったため画質と色合いが残念ですが。 毎年たんまり生えてるんですが、今年は探して何とか見付かるって感じでした。 また弱々しい個体が多く、夏場の降水量の少なさが影響しているかも知れません。 本種は夏の本当に暑い時期に出るので、水不足はさぞ本種には応えたでしょう。


■ 2013年09月12日 撮影

抜いてみると・・・何と美しい柄なのか!色が濃いので白い網目が映えます。 本種は傘と柄の色濃さと管孔の白さが、キノコらしくない色合いを醸し出します。 立派な個体でしたが量が無いので放置。また来年に期待したいと思います。

■ 2014年07月05日 撮影

可愛い子実体を発見!実にキノコらしい姿で撮影し甲斐があります。 ただこの時期は本種とは言え中が酷いことになってそうで採る気しません。 指で柄をつまんで変なフワフワ感があったら十中八九中は惨劇です。

■ 2014年07月05日 撮影

見付けた瞬間は目が変になったんじゃないかと思って、つい目を擦りましたよ。 でも見間違いじゃなかったです。気持ち悪いくらいの超巨大ムラヤマさんだー! 基本的に控え目サイズで出ることが多いイグチなのでこれは衝撃でしたね。


■ 2014年07月05日 撮影

拡大してみると変に育ちすぎたのか傘全体にシワが寄ってしまっていました。 でも周囲の子実体はいつも通りのサイズで、これだけ巨大化した理由は不明です。

■ 2014年07月13日 撮影

ヤバいくらい良い写真が撮れました。これはムラヤマベストショットかも知れません。 立ち姿も大小2株が寄り添うように生えていて、傘には傷みも無い・・・パーフェクトだムラヤマ。 傘の周囲の適度なヒビ割れも、寄り添うような生え方も、斑点の少ない傘も良い感じですね。

■ 2014年07月16日 撮影

何だ何だ今年はムラヤマ当たり年か?良い被写体が多くて最高だぜまったく! 竹林と雑木林の境目なのですが、斜面に格好良く出ていて興奮しましたね。 どちらかと言えばヒョロいんですが、柄も色濃く完璧な被写体ですね。

■ 2014年07月18日 撮影

やはり美しい・・・ソレ以外の言葉が出て来ない。何だこの芸術的なデザイン。 これで食菌でしかも美味しいとかどんだけオーバーキルなキノコなんだよ。 美しさの最大の要因はやはり暗色の柄に走る白い網目模様なのでしょうね。

■ 2014年08月29日 撮影

この年で一気に良い写真が増えましたね。被写体的にも当たり年でしたわ。 不思議とペア、しかも適度な身長差が有るペアが多くて撮り甲斐が有ります。

■ 2020年07月05日 撮影

今年はあまりいつものフィールドに行けなかったので発生状況は掴めませんでした。 辛うじてこの場所で見られたのは地面を破って出て来たばかりの幼菌だけ。 しっかりと柄に網目がある辺り、流石と言うべきか。

■ 2020年07月12日 撮影

個人的には傘に色ムラが無いタイプが好きなんですが、このバランスも良いですね。 やはり紫色と黄色の比率が逆転すると雰囲気が劇的に変わります。 あと本種は基部に白色菌糸が見られ、分かりにくいですが擬人化のデザインにも取り入れています。
■図鑑TOPへ戻る