■Calvatia cyathiformis (スミレホコリタケ)

■ 2009年07月03日 撮影

地元の畑のあぜ道に毎年安定して発生しています。 「ムラサキチドメ」や「スミレノウタケ」などの別名もあるようですね。 普通に草むらあぜ道に不意に発生する和名「菫埃茸」です。 外見と学名を見ると何となく分かりますが、これでもノウタケに近縁です。 発生する場所がヒトの生活圏に近く、愛好家ではない一般人の投稿をネット上で良く見かけます。

国内で見られるこのような表皮のノウタケ系菌としては、他にキクメタケが存在します。 しかしキクメタケの記載に一致する種が全くと言って良いほど見付かっていません。 国内には「Lycoperdon utriforme」は存在しないかも知れません。 と言うか本種をキクメタケと誤同定している可能性がありますね。


■ 2009年07月03日 撮影

子実体はノウタケのような無性基部を持つ不規則な球形で、幼菌時は白色です。 成長とともに紫色を帯びた褐色になり、最終的に暗紫褐色になります。 最大の特徴は何と言っても表面の菊目模様で、かなり顕著なのでハッキリ分かります。 この子実体は老菌一歩手前ってトコロでしょうか。

恐らく毒ではないとは思われますが、情報不足なので食毒不明としておきます。 ノウタケが食菌とされているので、若い内は食べられる可能性は無くはないですがリスキーにも程がありますよ。 見た目がこんななので食指は動きませんが。

■ 2009年07月03日 撮影

旧TOP写真であり、初めて出会った子実体です。 仕事中に発見したのでじっくりと撮影できなかったのが悔やまれます。 あと後ろにバリバリの人工物があり、トリミングでほとんど背景が消えてるのも頂けませんね。


■ 2009年07月03日 撮影

見上げて撮ったのは見ての通り子実体の反対側が裂けてしまっていたためです。 それを除けば菊目模様がハッキリと表れた良い子実体だったんですが・・・。 この後は見に行く機会が無く、翌年同じ場所で成長を見守って本種だと判明しました。

■ 2010年08月28日 撮影

数日前に2009年に発見したのと同じ場所で全く同じ姿の個体を発見しました。 しかしその時はカメラを持っていなかったため泣く泣くスルーし、休日に改めて訪問。 すると思っていた姿とは異なる姿になっていました。


■ 2010年08月28日 撮影

見付けた時は前と同じやや赤みがかった白い球体でしたが、現在は暗紫褐色のシワシワに。 菊目模様にそって凸凹しているようです。それよりも驚いたのは胞子の色です。


■ 2010年08月28日 撮影

やけに紫色っぽいなと思ったら、なんと胞子が紫褐色なのです。 まだこの時はノウタケかキクメタケだと思ってたので褐色じゃくてビックリ。 これは正しくスミレホコリタケの特徴です。長期観察の大切さを知りました。

■ 2010年10月03日 撮影

車が行き交う田舎道。その道端に不釣合な石にしては滑らかな表面の物体が。 ってことで車を停め通り過ぎる運転者達の冷たい目線を背中に感じて撮影です。 乾燥してテカテカになってますが、模様は以前見たのと同じ菊目模様です。 数日後、胞子が紫色なのを確認できたので無事掲載です。

■ 2011年08月06日 撮影

夕暮れ時、キノコ探しを終えて帰路を走る最中、草むらに見慣れない物体を発見しました。 停車して見てみると非常に大きいスミレホコリタケでした。 ノウタケのようにシワが寄り、かなり長い無性基部があるのが分かります。

■ 2011年09月30日 撮影

仕事場近くの道端にて発見。旧デジカメを予備で持ち歩いていて良かった!


■ 2011年09月30日 撮影

完全に熟していたようで、指で押すとボゴッと穴が空き内部の胞子が見えました。 胞子は綺麗な紫色でしっとりとした感触がありました。 ノウタケをイメージしているとこの色合は凄く異常な物に見えてきちゃいますね。 実は数日前に車窓から見てたんですが、その時はほぼ真っ白でした。

■ 2014年07月12日 撮影

車で走っていてすぐに気付きました。田んぼの縁に明らかに不自然な物体が。 道路脇に車を停めて近寄ってみると久し振りのスミレホコリタケさんでした。


■ 2014年07月12日 撮影

TOP写真にしたいくらい綺麗な子実体でした。 私の地域では本種はかなり広範囲に安定して、しかも突発的に現れます。 一度発生した場所には再度出ることはあまり無く、定期的に位置替えしています。 今回見付けたのも以前見た場所から近くも遠くもないって感じの場所です。

■ 2020年07月11日 撮影

不思議と地元で出会えなくなって数年が経ちました。 性能の高い顕微鏡を頂いて以降、一度胞子観察してみたいと思っていました。 しかし今まで見た場所はどこも全くでなくなってしまったのです。 でも諦めない!近くにまだ居ると信じて田圃道をひた走り、ついに邂逅!


■ 2020年07月11日 撮影

個人的には綺麗な写真を撮り直したかったんですが、むしろ今回は老菌でOK。 胞子観察がメインですからね。それに色設定ミスして変な色合いになっちゃいましたし。 デジイチは天気が悪かったりすると設定切り替え忘れて困ります。


■ 2020年07月11日 撮影

うわ!胞子小さい!この倍率では良く分かりませんね。


■ 2020年07月11日 撮影

流石にここまで小さい胞子だと油浸対物レンズが無いと観察できませんね。 胞子は球形とげに覆われています。とげは色濃く見えます。 顕微鏡で見ても胞子自体が紫色を帯びているのが何となく分かります。


■ 2020年07月11日 撮影

それよりもグレバを満たしている菌糸が紫色なのにビックリ! 顕微鏡ってかなり色が淡く見えるハズなので、ここまで色が視認できるのは相当色濃いのでしょう。

■ 2020年07月11日 撮影

菌糸に色があると言うのは無性基部を見ても良く分かります。 グレバが完全に消失した老菌と言うか残骸ですが、無性基部も紫褐色です。

■ 2020年07月11日 撮影

ちょうど畑の持ち主さんに出会えたのでお話をしてみたら数年前から発生していたそうです。 でも気持ち悪いから触らずに放置していたのこと。 特に畑に害は無いし、方っておいて大丈夫とお伝えしたら安心しておられました。
■図鑑TOPへ戻る