★Camarops polysperma (クロコバンタケ)

■ 2017年01月28日 撮影

実は今まで幾度となく見てきたキノコなのですが、諸事情でスルーしてました。
と言うのもあまりにも自然に溶け込みすぎてて視界に入って来ないのです。
和名「黒小判茸」。広葉樹の表面に発生する真っ黒な子嚢菌類の一種です。
この手の子嚢菌類はこぶ状の種を見慣れているだけに新鮮な形状ですね。

遠目に見れば枝の落ちた跡にしか見えませんからね・・・地味すぎる。


■ 2017年01月28日 撮影

子実体は木の表面を破って出て来るのが特徴。色は和名通り真っ黒です。
小判と呼ばれるのはこの形状、薄い表面全体に子嚢殻を形成しています。


■ 2017年01月28日 撮影

表面を拡大してみました。この細かなボコボコが子嚢殻の先端部分です。
これはアミガサタケの凹み部分の口がすぼまった袋のような構造です。
この内部に子嚢が存在し、先端に開いた小さな穴から胞子を噴出します。
胞子も真っ黒で新鮮な時は積もった胞子でタールのような光沢を放ちます。

もう何となく雰囲気で分かりますが、硬質なキノコなので食不適です。
材上に子嚢殻を形成するタイプの子嚢菌類は大抵こんな感じで食えません。

■ 2015年04月04日 撮影

初めて掲載したのはこの写真でした。何度も前を通ってたんですが。
やはり意識しないと中々視界に入ってこないキノコだと思います。


■ 2015年04月04日 撮影

ヘタタケ属菌らしく、まさしくヘタのような雰囲気を醸し出していますね。
やはり時期的に老菌だったらしく、子実体が劣化してヒビ割れています。
良く見ると右上に小さな子実体が顔を出しています。同一個体かな?


■ 2015年04月04日 撮影

表面を拡大してみました。やはり胞子は完全に噴出し終わっていますね。
子嚢殻の孔口が開き切っています。やはりこれは残骸だったようです。

■ 2015年06月27日 撮影

これ地味に本種の特徴。子実体の表面に光沢が有るの分かりますか?
本種は新鮮な時は積もった胞子のせいでタールのようなツヤが有ります。
このツヤは比較的短時間で失われ、見慣れたツヤ消し状になります。

■ 2016年04月29日 撮影

かなり立派な子実体を発見!右のヤツはまだ胞子の光沢が残ってますね。
・・・にしてもこの樹皮の割れ方を見るとかなりのパワーファイターなご様子。

■ 2017年01月28日 撮影

結構厚みの有る樹皮を力強く突き破っています。蓋が開いたような感じに。
胞子も部分的に積もっているので特徴的なタール様の光沢も現れています。
しかし胞子が積もると光沢が出るってのも一体どう言う原理なのやら。

■ 2017年01月28日 撮影

丁度良い感じの子実体を見付けたので、前々からやりたかった事を実行!


■ 2017年01月28日 撮影

ベリッと子実体を引き千切ってみました。木の皮みたいで流石の強靭さです。
断面を見ると子嚢殻がビッシリ!でも見慣れた子嚢殻とはちょっと違います。
実は本種の子嚢殻は超縦長。正確には先端部が長く伸びているのです。
子嚢殻断面の形状にはまさに「精子」。種小名はこれに由来しているのかな?

■ 2017年07月14日 撮影

林道を歩いていると足元のコナラの落枝のほとんどに痕跡が見られました。
そう言えばタール様の光沢をあまりしっかり撮ってないなと思い探すと・・・?

■ 2017年07月14日 撮影

有った!今までヘタに隠れてたりして綺麗に撮影できてませんでしたからね。


■ 2017年07月14日 撮影

この写真で見ると左下に押し退けられた樹皮が脱落した痕跡が残っていますね。
お陰で綺麗に子実体が露出してくれました。見事なまでのタール様光沢です。
濡れているように見えますが、これは胞子が積もっているだけ。不思議ですね。
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