■Ceratiomyxa fruticulosa var. porioides (タマツノホコリ)

■ 2009年07月05日 撮影

ありふれた変形菌なのですが、美しさと構造の複雑さから出会えるとちょっぴり嬉しい。 梅雨と早秋に朽木上で何度も目にする一般的な粘菌の1つ「玉角埃」です。 一つ一つは直径5mm程度と極めて小型で、一見するとただの白い玉に見えます。 本種は広義には粘菌ですが、正確にはちょっと違った原生粘菌類に属しています。

図鑑やサイトによっては「タマサンゴホコリ」の名前で紹介されている場合があります。 学名を見ても分かるように白くてモジャモジャのツノホコリの変種です。 胞子の形成方法がいわゆる「粘菌」とは全く異なるため「原生」と言う扱いです。


■ 2009年07月05日 撮影

ツノホコリと言えば無色半透明の長細い担子体を形成しますが、本種は全く形状が異なります。 表現しづらいですが網目模様が放射状に伸びたような形状と言えば分かるかな? そのまま球形になったので「玉」です。


■ 2009年07月05日 撮影

更に拡大するとハニカム構造が放射状に広がって球形になったような形状だと分かります。 これ良く見ると縁部がギザギザしてるんですよね。 てことはこれもしかして担子体同志が互いに連絡したような構造ってことでしょうか? 内部は粘液で満たされており、胞子は内部ではなく表面に形成されます。

食えません。これを食おうとする人は居るのかな?毒は無いでしょうが。 口に放り込むこと自体が難しいのではないかと思うくらい小型の菌ですし。

■ 2007年09月17日 撮影

この時期、あちらこちらの腐植の進んだ倒木上で見ますが、微妙に雰囲気違う? 本種は内部が粘液で満たされているため、乾燥すると萎んでしまいます

■ 2010年07月17日 撮影

大台ヶ原にて発見!朽ちた材上にとても可愛い群生を作っていて萌えました。 高湿度環境のためか球体1つ1つが大きいため、凹みの数も多くなっています。 粘菌の中でも本種は形が整っていて特に好きかも。

■ 2020年06月27日 撮影

何度も出会ってたんですが、実に10年振りの新規写真追加となりました。 見てると言ってもあまり綺麗な発生状態じゃなくて被写体としてイマイチだったりするんですよね。 でも今回は違います。傷みも少なくコンディションも完璧!


■ 2020年06月27日 撮影

暗色に朽ちた材に発生するので白い点はメチャクチャ目立ちます。 球体1つ1つは小さいですが、走行中の車内からでも気付けます。


■ 2020年06月27日 撮影

拡大してみると白くてトゲトゲのキッタリアって感じの見た目ですね。 ツノホコリの仲間はどれも表面が白く粉を吹いたような見た目です。 これは表面に胞子を形成するためです。 子実体の内部ではなく担子体の外側に形成されるため外生胞子と言います。

■ 2020年09月05日 撮影

大抵は朽木に直接生えているので、コケの中に居るのは映えますね。 やはりコケはキノコ写真撮影時の最高の背景素材だと思います。 ちなみにここは大台ヶ原。やはり空中湿度の高い場所では変形菌を良く見ますね。
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