■Coltricia montagnei (ウズタケ)

■ 2012年09月02日 撮影

イベントで乾燥標本しか見たことが無かったため、群生地を発見した時は飛び上がりましたね。 各種林内地上に発生する柄を持つ硬質菌の一種、特徴的な裏側を持つ、その名も「渦茸」です。 すでに具が見えてますが、詳しい特徴は後述します。まさに名は体を表すですね。 実は極めて珍しい特徴を持ち、発生も比較的稀な貴重な種です。 発生環境は砂地や拉致、苔生した岩盤上など様々ですが、基本的に広葉樹林のキノコのようです。

種小名が献名だと言うのは一目瞭然なのですが、それが誰なのかがサッパリ。 色々調べてみたところ、どうもフランスの植物学者のカミーユ・モンターニュ(Camille Montagne)氏っぽいですね。 蘚苔類や菌類などを含めた隠花植物の研究をしていたためでしょうが、 なぜにウズタケに献上されたのか、その経緯は良く分かりませんでした。


■ 2012年09月02日 撮影

ヒダナシタケ型ではありますが、傘と柄を持つ普通のキノコのような形状をしています。 ですが形状はやや不定形で、柄は暗褐色ビロード状で、感じ的にはニワタケに似ています。 成長点となる傘縁部は毛羽立っており、傘が大きくなるに連れて褐色繊維状環紋が現れます。 ただそうなる前は写真のようにヤニ状物質に覆われていることが多いですね。


■ 2012年09月02日 撮影

しかしやはり本種の特徴はこの渦巻のようになっている同心円状のひだです。 繋がっているワケではないので正確には渦ではないんですが、納得の和名ですね。 ちなみにこのようなひだを持つのは我が国では本種とワヒダタケくらいのもの。 また部分的にひだ同士が結合して管孔のようになることもあり、 その場合はアミウズタケと呼ばれますが、中間的な個体も多いので基本的には個体差扱です。

オツネンタケ属の硬質菌なので硬くて食えたモンじゃないですよこんなの。 毒は無いみたいですが、そもそも非常に貴重なキノコなので食べないであげて!

■ 2013年09月23日 撮影

昨年と同じ場所を訪れてみると・・・やっぱりありました! 本種は稀なキノコと言われていますが、ある場所にはあるって感じですね。 上から見ても普通の硬質菌にしか見えないので、見落としそうで怖いです。 しかしこの個体は地面に生えており、下面が綺麗に撮れなかったのが惜しい。

■ 2021年08月28日 撮影

異常に柄が細くてそのアンバランスさに笑っちゃいました。 キノコ型とは言えヒダナシタケ型なので、整った形状にならないことも多いですね。

■ 2021年08月28日 撮影

色んなフィールドを歩きましたが、本種と出会ったことがあるのは地元の1フィールドのみ。 逆にこの場所では安定して一定個体数が見られます。 図鑑にもありますが、確かに裸地を好む傾向があるように思います。


■ 2021年08月28日 撮影

傘は鉄銹色〜クリ褐色と表現されるだけあって鈍い茶色。 傘周囲の成長点付近は若干紫色っぽく見えます。 しかしこうして上から見ると非常に地味で面白みの無い、 何の変哲も無いキノコなんですけどね・・・。


■ 2021年08月28日 撮影

横から見るとこんな感じで見事な同心円状のひだが見えます。 子実体の形状が歪だと思ったら、一度は枝分かれして2本になった子実体がまたくっ付いてたんですね。 部分的に管孔化しているので、やはり元は管孔として進化したのでしょう。 どう言う経緯で放射状方向の管孔が消滅したのか、その経緯が気になるところですね。

■ 2022年07月23日 撮影

2022年、冬虫夏草が大爆発したフィールドで3週連続で出会いました。 と言うのも、冬虫夏草を毎週新規発見してしまい、その度にサンプル採取に向かったためです。 このフィールドではとある箇所で安定して見られるので、訪れる度に目にしました。 コチラは幼菌。最後に訪れた時は少し成長していましたね。

■ 2022年07月23日 撮影

岩の隙間から発生した子実体です。そのため柄が細く、傘も半円形になっています。 同心円状のひだは観察しやすいですが、やっぱり傘は丸くないとしっくり来ない気がします。 ひだが傷付いた際に褐変したようです。

■ 2022年09月03日 撮影

台風が近付いていたので、林道が荒れる前に行ってしまえ! と言うことで地元のいつものフィールドへ。すると非常に状態の良い子実体が2本。 裏側も綺麗な同心円ひだだったんですが、抜くのが勿体無くて放置しました。 単生が多く、あまり近距離に別個体が発生することが無い種なので新鮮でしたね。

■ 2022年09月17日 撮影

TOP写真にするかクソ悩んだ子実体です。 子実体全体の形状、傘の質感、裏側の美しさ、どれを取っても文句無しです。 ただあまりにも綺麗で抜くのを躊躇ったため、裏返した写真がありません。 その点でTOP写真に置くのは難しいと判断しました。これだけ綺麗だと流石に悩みましたね。


■ 2022年09月17日 撮影

傘は焦げ茶色で放射状の繊維質で、環紋が現れてる様子が確認しやすいです。 中々ここまで綺麗に傘が展開することが無いので結構衝撃的でしたね。これが本来の姿なのでしょう。 でもこれだけ見るとちょっと大きくて色黒なニッケイタケみたいですね。


■ 2022年09月17日 撮影

パーフェクトです。適度に管孔部が混ざり合った見事な同心円状のひだです。 傘の波打ちがまた美しさを引き立てていますね。 引き抜こうかマジで長考しましたよ。結局勿体無くて抜きませんでしたけど。
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