■Cordyceps kyusyuensis (イモムシタケ)
■ 2014年10月11日 撮影 最初見た時はてっきりサナギタケだと思っていました。和名は「芋虫茸」。 その名の通りトビイロスズメ等の鱗翅類の幼虫に感染する冬虫夏草です。 外見がサナギタケそっくりで、同種ではないかとも疑われています。 しかし子嚢殻の構造などに違いが有り、ここでは別種として紹介します。 ■ 2014年10月11日 撮影 掘り返してみると土の中からガの幼虫が出て来ました。軟らかい!キモい! 体中から菌糸がハミ出しており、内部は完全に乗っ取られているようです。 子実体は全体に橙黄色で子嚢殻を持つ頭部と真っ直ぐな柄から成ります。 虫の死骸から白い菌糸が飛び出し、それが子実体となって地上に現れます。 サナギタケはコルジセピンを含み薬用価値が有りますが、本種は不明です。 同属で形態も似ているので同様の効果が有る可能性も有りますけど・・・。 ■ 2014年09月28日 撮影 掘り出してみました。やはりトビイロスズメの幼虫みたいですね。 右側に写真奥に向かって丸まるようにガの幼虫の死骸が有ります。 ちなみに持ち帰って乾燥標本にしようとしたら家族に踏まれ砕けました。 ■ 2015年09月13日 撮影 大規模オフを前に事前調査も兼ねて訪れたいつものイモムシタケフィールド。 出ていなかったらどうしようかと心配でしたが、それは不要だったようです。 ただ見付かったのは2株のみ。来週のオフまで残っていてくれるでしょうか? ■ 2015年09月13日 撮影 拡大してみました。子実体が大きいので子嚢殻の数が尋常じゃないです。 まだ若いため子嚢殻の先端に丸みが有り、光沢が有るので輝いています。 ■ 2015年09月13日 撮影 この日一番大きかった子実体。コイツは乾燥標本用に持ち帰る事にしました。 宿主となるトビイロスズメの幼虫はマメ科植物の葉を主食としています。 また幼虫のまま地面に潜り越冬します。これが発症のトリガーかも? そのため湿度の高い沢筋のフジの木の周辺の地上に発生が集中しています。 フジは幹に特徴が有るので探しやすく、沢筋に大木を見付けたら探す価値有り。 ■ 2015年09月13日 撮影 非常に鮮やかな子実体。この色合は遠くからでもハッキリと視認できますね。 ■ 2015年09月13日 撮影 掘り出してみました。イモムシ苦手なのでこれは素手では抵抗有ります。 越冬している幼虫から発生するようで、土で汚れやすいのが難点ですね。 ■ 2015年09月13日 撮影 帰宅後綺麗にクリーニング。地下部がやや細根状で掃除難易度は高めです。 宿主は完全な形状で残っており、頭部には緑色が、尾部には尾角も残ります。 外見が似たサナギタケとは異なり地下部は白い根のように細かく分かれます。 宿主内部は菌糸に置き換わっているので、乾燥はフリーズドライがオススメ。 ■ 2015年09月13日 撮影 クリーニング中に胞子が急に飛散し始め、慌ててプレパラートにキャッチ! 肉眼でも分かるほど勢い良く細長い子嚢胞子が舞い始めて焦りましたよ。 多くの冬虫夏草に見られる特徴ですが、本種の子嚢胞子は糸状です。 そのため肉眼でも光に照らせば化繊のホコリが舞うかのように見えます。 途中に節が見えますが、ここから分裂して千切れ、二次胞子になります。 周囲に漂っている弾丸のような楕円形のがそれですね。実際見ると面白い。 ■ 2015年09月20日 撮影 虫草屋のどろんこさんのリクエストでフィールドを案内させて頂きました。 ガガンボさんも加えた3人でまだ暑い9月の森の中を汗だくで探し回りました。 幸い13日に発見した子実体(左)と未熟な子実体の2つを発見できました。 光にかざすと乾燥を感じ取り一気に胞子を飛散させる現象も肉眼で確認! 片方は標本用に、片方は追培養用に提供しました。上手く使いこなせよ。 ■ 2015年10月03日 撮影 9月のどろガガOFFにてあまりに発生が少なかったので確認しに行きました。 一安心、複数ヶ所で発生が確認できました。ちゃんと増えていたようです。 しかもこの子実体はかなりの大型!これOFFの時に見付けたかったなぁ。 ■ 2015年10月03日 撮影 実は実況を録ってたんですが通行人に話しかけられて撮影断念しました。 毎日散歩しているコースだそうで、お見せしたら大層驚いておられました。 ■ 2016年10月02日 撮影 今年はフィールドの大きなフジの木が切られショック!来年は大丈夫か? しかもイノシシが荒らしてしまい地面はグチャグチャ。絶望的な状況。 しかし薄暗い中での散策で辛うじて1株、綺麗な子実体を発見できました。 ■ 2016年10月02日 撮影 美しい子嚢殻です。この姿をまた来年も見られると良いのですが・・・。 シノシシはともかく、フジの木が切り倒されたのはかな〜りマズいです。 宿主となるトビイロスズメの好物ですからね。他の樹下を狙いますか。 |