★Cordyceps militaris (サナギタケ)

■ 2013年09月07日 撮影

ブナ林の歩道の落葉から顔を出していた小さな、しかし目立つそのお姿。 冬虫夏草の代表格、鱗翅類の蛹(さなぎ)に寄生するその名もズバリ「蛹茸」。 地中のガの蛹に寄生することが多いです。掘ってみると良く分かります。 宿主の範囲は非常に低く、小型のガから大型のガまで様々。 この場所のようなブナ林帯ではブナノアオシャチホコが多いようですね。 またこんな名前ですが蛹だけではなく幼虫にも直接寄生したりします。

変種や品種レベルで肉眼的に異なる種が確認されていますが、基本的には個体差レベルと考えて良いと思います。


■ 2013年09月07日 撮影

掘り返すと葉に包まれたさなぎが出てきました。 子実体は棍棒状で全体的に橙黄色で、頭部と柄に分かれています。 頭部には胞子を飛ばす子嚢殻があり、半埋没性なので飛び出しています。 上部のプチプチしている部分が飛び出した子嚢殻の先端部分になります。 本来頭部が少し太くなる事が多いのですが、この個体は同じ太さですね。

食用価値は無いですが、がんに有効とされるコルジセピンを含み薬用です。 そもそも物質名を見れば本属菌から採取されたことが由来なのも納得。 漢方薬として商業的に価値があるので、人工栽培も研究されています。

■ 2015年05月23日 撮影

らじかる氏にお誘いいただき、猫幸氏と一緒に高槻のフィールド散策! 事前に教えて頂いていましたが、ここはサナギタケパラダイスでした。 ちなみにこの写真、隠れてますが1つの宿主から3本の子実体が出てます。

余談ですが、この散策がらじかる氏と猫幸氏の馴れ初めだったり。

■ 2015年05月23日 撮影

沢沿いの遊歩道斜面に数え切れないほどのサナギタケ!これが坪か。 表面に半裸生型の子嚢殻の先端部が見えています。やっぱ冬虫夏草は良い! 本種の子実体は老成するとこんな感じで彩度が落ちるようです。

■ 2015年05月23日 撮影

掘り出してみました。宿主は中型のガの蛹。子実体が小型なのはそのせい? 小型のためか宿主の傷みが激しく、掘る際にほとんどがバラバラに・・・。 どうも他のキノコ同様に犯人はキノコバエのウジみたいですね。あの野郎!


■ 2015年05月23日 撮影

帰宅後クリーニングしてみました。右端のが上の写真の掘り出した奴です。 以前見た大型の蛹に発生した物と比べて宿主内部の劣化が激しいですね。 結実部の形状はほぼ球形の物から細長い棒状の物までバリエーション豊富。


■ 2015年05月23日 撮影

拡大すると子嚢殻が表面にビッシリ並んでいます。先端が色濃いですね。 上面に注目。子嚢殻の先端から何か化繊のホコリみたいなのが出ています。 これが本種の子嚢胞子。冬虫夏草の胞子は細長い物が大半です。 これが途中の節で細かく分かれて飛散し、新たな宿主に感染して行きます。

■ 2015年05月23日 撮影

あまりにも美しかったので思わずパシャリ。苔の間の鮮やかな結実部が綺麗!

■ 2015年09月15日 撮影

期せずして凄まじいサナギタケパラダイスに遭遇!少し歩けばサナギタケ! 全く期待していなかっただけに発見の喜びもまた一入。鮮やかで目立ちますね。

■ 2015年09月15日 撮影

大きな子実体のすぐ近くの倒木から奇妙な物が・・・これ冬虫夏草ですね。 しかし小さいし材から出ているので、サナギタケではない?と一瞬疑いました。 と思ったんですが掘ったら普通に極小サナギ。材上生もあるのですね。 ちなみにこれがいわゆるタマサナギタケと呼ばれるタイプと思われます。 宿主が小さい場合にこのような子実体になることがあるようです。

■ 2015年09月15日 撮影

同じ材から出ていたチビサナギタケ。小さいので子嚢殻の透明感がパない!

■ 2015年09月15日 撮影

ずっと見てみたかった複数の子実体が発生した宿主!念願が叶いました。 冬虫夏草は宿主の大きさによって発生規模があからさまに変化します。 大きな宿主ほど子実体を多数発生させる事が多いと経験則で感じます。


■ 2015年09月15日 撮影

掘ってみると宿主の入ったフワフワの繭が出て来ました。かなりの迫力ですね。 このような場合は菌糸が繭を貫通しており、クリーニング難易度が上がります。


■ 2015年09月15日 撮影

上に掲載した子実体の幾つかを持ち帰って掃除した後の様子がコチラです。 同じサナギタケでもこんなにも形状が違うと言うのは実に興味深いですね。 一番大きな宿主のものは繭と菌糸が一体化し完全除去は不可能でした。

■ 2017年09月16日 撮影

コメツガやトウヒが交じる亜高山帯で小型の宿主から多数発生していました。 小さいながらも数はかなりのもの。宿主が小さいと子実体も小さいですね。 苔玉から発生しているように見えて面白かったので思わず撮影しました。

■ 2019年07月07日 撮影

Hibagon氏主催のオフ会にて探索開始直後に発見。 普通種だったので環境写真は撮影しませんでしたが、顕微鏡観察していないことを思い出し採取。 見慣れすぎてるとこう言うことがあるので気を付けねば。


■ 2019年07月07日 撮影

黒バック撮影の技術向上が伺えますね・・・キレイに撮れたかな? サナギタケの子嚢殻は半裸生型と言うワリには結構突出して見えます。 結実部と柄の境界付近ではほぼ裸生になっていたりします。


■ 2019年07月07日 撮影

宿主を拡大してみました。中々に綺麗な蛹ですね。 あまり菌糸は纏っておらず、呼吸に必要な側面の気門部から菌糸が少し噴出しています。 持ってみるとずっしりと重く、内部が完全に菌体に置き換わっているのが感じ取れます。


■ 2019年07月14日 撮影

胞子観察がメインだったのですが、数日経っても胞子が噴出しません。 どうも子実体内部にハエ目の幼虫が巣食っていたようで、あまり状態が良くなかった模様。 しかし1週間後、自分が在宅中に胞子噴出を確認!夜に急ぎ顕微鏡作業となりました。


■ 2019年07月14日 撮影

子嚢胞子は糸状で長さは300〜350μmのものが多いようです。 一応240〜500μmまでと記述されているので、その範囲内には納まっているようです。 そして第一印象は「細い」でした。 実は本種の子嚢胞子は太さが1μmしかありません。 いつも見ている冬虫夏草の子嚢殻は細くても1.5μmくらいはあるので細さに驚きます。


■ 2019年07月14日 撮影

本種の子嚢胞子は128個の二次胞子に分裂するのですが、細すぎて数えられませんでした。 その代わりにしばらく放置して分裂した二次胞子を撮影しました。 長さは端のほうの二次胞子ほど長く、2〜5μmの範囲内になります。

■ 2020年10月27日 撮影

久し振りに訪れたフィールドにて遭遇。晩秋と言うことで最初に疑ったのはイモムシタケ。 しかし顕微鏡観察の結果は本種としか思えませんでした。 ただイモムシタケっぽいと言う感想は顕微鏡観察だけじゃないんですけどね。


■ 2020年10月27日 撮影

抜いてビックリ!これ蛹じゃありません。何と初めて見る幼虫生のサナギタケでした。 確かに幼虫や前蛹から発生することがあるとは聞いていましたが、実際に目にするのは初めてです。 発見段階では完全にイモムシタケだと思って疑ってなかったですけどね。


■ 2020年10月27日 撮影

タンポ型みたいだなぁと思っていましたが、単に先端がひん曲がっていただけみたいです。 確かに幼虫生ではありますが、これを撮影していた頃にはサナギタケを疑っていました。 理由はこの地下部の質感です。イモムシタケはもっとねっとりした形状なんですよね。 このスッと伸びる感じはまさにサナギタケのものです。


■ 2020年10月27日 撮影

覚悟の縦1125pxでの掲載です。だってちゃんと隔壁を紹介したいんですもん! 前回観察時には確認できなかった子嚢胞子の隔壁がしっかりと撮影できました。 本種は細さが1μmと非常に細くて油浸対物レンズでも観察が難しいですが、128個の二次胞子に分裂します。 数えてみましたが未分裂の長い細胞が数個見られ、それを2個とカウントするとどれも128になりました。


■ 2020年10月27日 撮影

二次胞子も観察してみました。イモムシタケも128個に分裂することがありますが、基本は64分裂。 ただ正確には子嚢殻を見ないと分からないっぽいですね。 地元のイモムシ坪が消失してしまったのでまた見れるかちょっと心配です・・・。
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