■Cordyceps pluricapitata (ウスキタンポセミタケ)

■ 2016年10月08日 撮影

どろんこさんの写真展を訪れた際に来場者の木下さんが近辺で発見との報告。
写真展そっちのけで3人で捜索に向かい発生坪に出会えた「淡黄短タンポ蝉茸」。
地中に居る各種セミの幼虫を宿主とするやや珍しい冬虫夏草の一種です。
以前も何度か見ていましたが、どれも別の方が発見したもので採取できず。
八丈島でも見ていましたが掘り取りに失敗したので複雑な再会でしたね。

実は本種は本土では比較的稀で、多産するのは西表島と八丈島です。
坪単位で見るとかなりの発生量ですが、発生地域はあまり広くない模様。


■ 2016年10月08日 撮影

子実体は全体的に淡黄色でタンポ型ではあるがかなり不規則な形状。
子嚢殻は埋生型で先端部が突出している。地上部の柄は太くて頑丈。


■ 2016年10月08日 撮影

大きな石の下を通っていたのは不幸中の幸い。綺麗な断面を作れました。
本種はセミ生虫草としては掘り取り難易度が最高クラスと言われます。
と言うのも地下部が極端に補足、最悪細根状になっている事もあります。


■ 2016年10月08日 撮影

採取後クリーニングしたものがコチラ。地上部と地下部の差が凄いです。


■ 2016年10月08日 撮影

黒バックでピンと伸ばして撮影です。気付かれた方も居られるのでは?
そう、地下部がツブノセミタケのソレに極めて良く似てるんですよね。
実は本種は重複寄生菌である可能性が有るとウワサされているのです。
それが証拠になんとハチの成虫から発生した記録が残っています。


■ 2016年10月08日 撮影

結実部を拡大してみました。黄色系ですが彩度が低くて目立ちません。
タンポ型ですが不規則な形状で、癒着し、右の奴は首折れ型に近いです。


■ 2016年10月08日 撮影

更に拡大です。結実部本体は白に近い黄色で、子嚢殻が黄色い感じですね。
子嚢殻先端から出ている白い物が本種の子嚢胞子。こうやって飛散します。
埋生の子嚢殻ではありますが他種と比べていぼ状突出が顕著なようです。

セミ生冬虫夏草には薬効が有る物も居ますが、本種は食毒不明です。
本体はほとんど地下部なので、仮に無毒でも食用価値無しでしょうね。

■ 2016年09月02日 撮影

実は初自力発見は八丈島遠征時のコイツでした。まぁ便乗気味ですが。
本種は八丈島ではかなりの数が発生する事が知られているんですよね。
ただこの時はお約束と言うべきか見事にギロチン。超引きずりました。

■ 2016年09月02日 撮影

八丈島で最初に見付かったのがこの子実体。さっきのはこのすぐ近くでした。


■ 2016年09月02日 撮影

どろんこさん渾身の断面作成。私との掘り取り技術の差を感じましたね。
地下部の構造が上の写真のものとは全然違うのがお分かりになりますか?
恐らくこれが重複寄生ではない直接感染を起こした際の発生状況かと。
ウスイロコゴメセミタケと呼ばれているのはこのような細根状の地下部の物。

■ 2016年09月02日 撮影

あまりにも複数の結実部を作っていたのでアブラゼミタケ?と勘違い。
じっくりと子嚢殻を観察するとウスキタンポでした。こんなになるんだ・・・。


■ 2016年09月02日 撮影

圧倒的迫力!ただかなり老菌だったようで掘り取りじに砕けてしまいました。
「子実体の大きさ≒宿主の栄養状態」。さぞ立派な宿主だったのでしょうね。

■ 2016年10月08日 撮影

どろんこさんが断面作成に挑みましたが、太い根の下をくぐっており断念。
結実部はタンポ型と言うよりは短い棍棒型と言った形状に見えます。
結実部が長細くなる事も良く有るようで、先入観は持たぬが上策か?


■ 2016年10月08日 撮影

結実部はタンポ型と言うよりは短い棍棒型と言った形状に見えます。
結実部が長細くなる事も良く有るようで、先入観は持たぬが上策か?
新鮮な時はこのように子嚢殻に光沢が有り、蓮コラ感が大幅アップ!
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