★Cordyceps tenuipes (ハナサナギタケ)

■ 2006年10月20日 撮影

秋深まる里山を歩いていて発見。冬虫夏草だと言うのはすぐに分かりました。 地面から白い花のようなものが出ているので意外と見付けやすいと思います。 和名は「花蛹茸」。その名の通り花のような美しい子実体を形成します。 珍しそうに見えますが、実は一般的な種。鱗翅類のサナギに寄生します。 まだキノコ趣味を始めた初期の発見で、乱暴に掘ったのは一生の不覚です。

実は冬虫夏草には有性世代と無性世代が存在する種が複数存在します。 前者を完全世代、後者を不完全世代と呼び、本種は不完全世代に当たります。 そのため以前は「Isaria japonia」でしたが、紆余曲折を経てこの名前に。 完全世代はウスキサナギタケと言い、以前は別種でしたが統一されました。


■ 2006年10月20日 撮影

子実体を拡大してみました。分生子柄は細くて樹枝状。色は薄黄色をしてます。 白い粉状の部分は分生子であり、このような状態を分生子柄束と呼びます。 不完全世代(アナモルフ)では子嚢胞子は形成されず、子嚢殻は存在しません。


■ 2006年10月20日 撮影

掘り返してみると一目瞭然。地下からサナギが出て来ます。何か気持ち悪い。 体のあちこちから白色菌糸が飛び出しており、中は完全に乗っ取られてます。


■ 2006年10月20日 撮影

途中で千切れてしまいました。宿主が地中に有る種は掘るのが難しいです。 掘っている間にも振動で白い分生子が煙のように飛び散るのが分かりました。 学名の「tenuipes」は「細い柄の」の意味で、確かに納得のスマートさ。

冬虫夏草としても有名で、薬用として価値が高いキノコです。実は有名。 セミタケやクモタケは薬になりませんが、ガが宿主の種には薬用種が多いです。 本種は薬効成分を多く含み、栽培も容易な事から現在でも販売されています。

■ 2017年07月14日 撮影

何と11年振りの新規写真追加。いや、今まで何度も見てるんですよ。何度も。 ただ見るたびにタイミングが悪くて綺麗な写真が全然撮れてないんですよ。 時間が無くて焦って撮ったらピンボケ、あるいは分岐が少なくてショボイ等。

■ 2018年07月15日 撮影

見慣れてるからって手を抜いちゃダメでしたね。 ガガさん主催の冬虫夏草オフにて久々にやや大型の発生状態に出会えました。 しかしカンプレー掘り後で気力がなく適当に撮ったのでピンボケで色調も何か変に・・・。


■ 2018年07月15日 撮影

大したこと無いだろうと思って引っこ抜いてみたら思いのほか立派で若干後悔。 しかし顕微鏡で観察したかったので持ち帰ることにしました。


■ 2018年07月17日 撮影

せめてものつぐないに帰宅後に綺麗にクリーニングして黒バック撮影してみました。 やたらと分生子柄束が分岐していますが、これは厚い落葉に埋もれていたためです。 そのため分岐しつつ地表を目指し、顔を出したところで分生子を形成したようです。


■ 2018年07月17日 撮影

分生子柄束の先端付近です。今回はこの白い部分を顕微鏡で観察してみました。


■ 2018年07月17日 撮影

アナモルフ菌類は水を弾くため水封すると気泡が入り観察のジャマとなります。 なので無水アルコールを滴下してカバーガラスを乗せると観察がしやすいですよ。

中心の太い部分が分生子柄束の先端部分、丸いポンポンが輪生したフィアライド、それが付いている細い柄が分生子柄です。 これ実際に見てみないと意外とどれがどれなのかピンと来ないんですよね。 アナモルフ菌類は基本この構造になっているので、しっかりと見ておきたかったんです。


■ 2018年07月17日 撮影

分生子柄をもう少し拡大してみました。これでもまだ分かりづらいかな?


■ 2018年07月17日 撮影

油浸対物レンズで拡大できるだけ拡大してみました。 このツンツンしたポンポンが輪生したフィアライドです。 この先端に分生子が形成されるので、担子菌類における担子器みたいなものだと思っとけばOKです。 類似種のコナサナギタケはこれが輪のようにならず樹枝状になるので本種との判別に使える情報です。 良く見るとフィアライドの先端に付いている分生子が写っています。


■ 2018年07月17日 撮影

これが分生子です。凄い量が放出されるので逆に観察が大変になります。 分生子は湾曲した円筒状と表現され、長さはまちまち。 フィアライド先端に連鎖して形成され、この写真でも連鎖したままの分生子がところどころに見られます。


■ 2018年07月17日 撮影

油浸対物レンズで観察しましたが・・・円筒形と言うより赤血球みたいに見えますけど・・・。 これは単に光の加減でそう見えるだけなのかな?
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