■Dactylospora stygia (クロビョウタケ)

■ 2018年03月10日 撮影

オイラセクチキムシタケを撮影中に同じ朽木に見慣れぬ小さな子嚢菌類を発見。 その大きさ何と直径1mm。幼菌はそれ以下と言うあまりにも小さなその子嚢盤。 Twitterにてイグチ氏にご指摘頂き属名が判明。詳しく調べて掲載することに。 広葉樹の朽木に発生しますが、掲載当時は和名がありませんでした。 その後2021年に本属菌の属名にも採用されている「黒鋲茸」の和名が提唱されました。

図鑑に載っているのも見たことありません。国内サイトでも数件では? あまり珍しい種ではないようですが、その小ささからスルー気味の様子。 種小名の読みに自信が無かったので和名が決まって一安心・・・。


■ 2018年03月10日 撮影

子実体は大きくても1mmと極小。近寄らないと盤菌だと気付けないレベル。 色は黒色で光に透けるとやや褐色に見える程度は色があるようです。 また椀形と言うよりは皿形で、縁部がやや内側に巻いている程度に平ら。

胞子と子嚢が面白いのですが、この頃は旧顕微鏡だったため差し替えです。

食毒不明ですが、このサイズは流石に猛毒でも死ななさそう。食用価値無しで。 朽木の分解をしてくれる働き者のようですし、基本観察主体のキノコですね。

■ 2018年03月10日 撮影

Canon製の「MP-E65mm F2.8 1-5×マクロフォト」で撮影して何とかです。 遠目では硬質の子嚢菌類だと思って見落としがち。是非探してみて下さい。 小さいですが染色も胞子も、ミクロの面で面白い種なので観察が楽しいです。

■ 2018年05月03日 撮影

発生期間は長いようで同じ場所にまだ出ていました。紫色のトビムシが綺麗。 この日は新顕微鏡で観察しましたが、染色が上手く行かず、リベンジ決定です。

■ 2018年05月26日 撮影

子実層面を切り出して拡大してみました。コレ見ると子嚢菌類なんだなって実感できますね。 驚いたのは未成熟の胞子が青緑色と言うこと。もっと若い胞子は水色に近いです。 こんなに美しい子嚢胞子も珍しいんじゃないでしょうか。 しかし最大の驚きは、ある試薬を用いて染色してみたときのことでしたね。


■ 2018年05月26日 撮影

でも胞子も面白かったんですよね。すでにネタバレしてますが。


■ 2018年05月26日 撮影

これどっか見たなって既視感バリバリだったんですが、アレですね。ミカヅキモですよね。 本種の胞子は中央に隔壁が有る2胞子性で、若干弓なりに反っているものが多いです。 1細胞中に2つの大きな油球が内包されているのが特徴です。 このようなタイプの胞子を持つ子嚢菌類は初めてだったので凄く楽しい顕微鏡観察でした。


■ 2018年05月26日 撮影

アミロイド反応を見るためにメルツァー試薬を用いてみてビックリしました。 アミロイドの性質を持つ子嚢菌類はこの試薬で子嚢の先端部分が青く変色するのが普通です。 本種も青く色付いたので確かにアミロイドではあるのですが、染色範囲が異常に広いです。 子嚢全体が青く染まる種に出会ったのは初めてかも知れません。 調べてみるとこの染色範囲の広さは本属菌では当たり前だったみたいです。
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