★Dasyscyphella longistipitata (ブナノシロヒナノチャワンタケ)

■ 2017年05月14日 撮影

地元のブナ林を歩いていて発見。地元に有るとは思わずビックリしました。 春のブナ林にてブナの殻斗(どんぐりで言う帽子部分)から発生します。 和名は「橅白雛茶椀茸」。限定された環境に発生するややレア菌です。 本種は発生時期と発生環境がかなり特殊と言う点が面倒です。 この時期のブナ林はキノコが全然生えておらず、普通なら入りません。 つまり本種に狙いを定めて探索しないと見付からないと言うワケ。

名前も外見も良く似たシロヒナノチャワンタケは同科ですが別属となります。 表面の毛の表面構造の違いが判断基準なのですが、正直明確な差は家庭環境では感じられません。


■ 2017年05月14日 撮影

子実体は柄を持つ椀形で柄が極端に長いのが特徴。色は全体に白色です。 柄は基部がやや褐色。胞子を形成する子実層面は熟すと黄色を帯びます。 椀の直径は平均して3mm程度。極小ですが白さで遠くからでも目立ちます。

最大の特徴は子実層面以外の全体に白い微毛に覆われている事ですね。 このため全体的にボリュームが有るように見え、愛らしさもアップです。 外見の良く似たシロヒナノチャワンタケは柄が短く、本種よりも小型です。


■ 2017年05月06日 撮影

より確実な同定には表面の毛を顕微鏡で観察し構造を見る必要が有ります。 繊毛一本を観察してみると、先端以外の表面に顆粒が有るのが分かります。 これが無印シロヒナノとの違い。こちらは先端まで顆粒に覆われています。 ただ我が家の顕微鏡ではこの画質が限界。あまりアテにはならなさそうです。

恐らく無毒でしょうが、あまりに小型なので当然ながら食用価値無しです。


■ 2015年05月03日 撮影

実は初発見はどろんこさんとの富士山遠征。シャグマ系狙だったんです。 ですがこの日は本種くらいしかキノコらしいキノコに出会えず数少ない癒しに。


■ 2015年05月03日 撮影

結構広範囲を探しましたが、気温が低いのがどれもまだ幼菌でしたね。 椀の直径は平均して3mm程度。極小ですが白さで遠くからでも目立ちます。


■ 2015年05月03日 撮影

子実体がかなり小さいので表面の毛が密生した状態です。ボサボサですね。 最初は別種かと思いましたが子嚢盤が大きくなると分散して行くんでしょう。 かなりの発生規模だったので、時期が合えば地元より立派なのが見れそう。 問題は地元で見れるのに富士山に行った意味を探す旅のスケジュール。

■ 2017年05月06日 撮影

個人的に気に入っている一枚。2つの殻斗の間に有るのはブナの実生苗? 周囲にはブナノホソツクシタケが一緒に生えているものも散見されました。


■ 2017年05月06日 撮影

乾燥気味だったので子実体は小さいですが、子実層面の黄色は鮮やか。 肉眼ではギリ分かる程度ですが、本当にホワッとした癒し系の子実体です。 本種に関してはマクロレンズかルーペが無いと魅力を実感できませんねぇ。

■ 2018年04月28日 撮影

gajin氏との子嚢菌類観察会にてブナ林を訪れた際に発見。当然居ますよね。 むしろ本種が居ないブナ林が珍しいんじゃないかってレベルですけど。


■ 2018年04月28日 撮影

日光に透けて輝くブナシロ。綺麗です。殻斗が暗色なので映えますね。


■ 2018年04月28日 撮影

黒バック撮影。不思議と本種は子実層面が一定方向を向かないんです。 普通は椀が上を向くようなモノですが、本種は向いている方向がバラバラ。 落葉に埋もれていることが多いので方向とか関係無いのかも知れません。


■ 2018年04月28日 撮影

高性能マクロレンズで撮影しました。成熟すると外側の毛はまばらですね。 あと和名に「白」と有るワリには基部や子実層面は結構黄色が目立ちます。

■ 2018年04月28日 撮影

珍しいモノを見ました。何と殻斗からではなく種子から発生しています。 種子は当然生きているため、そこに菌糸を侵入させるほどの力は有るの? ・・・と思ったらどうも虫食い等で使い物にならない種子からは出る模様。 確かにこの発生も種皮を栄養源としているかのような出方をしてますね。

■ 2018年05月05日 撮影

gajin氏に新しい顕微鏡を頂いた日に撮影もしましたが、アダプタが無く不鮮明。 アメジストの詐欺師氏との子嚢菌類観察オフ時に再度標本採取しました。 この状態では特に代わり映えしない子嚢です。側糸があまり目立たないかな? メルツァー試薬とかもやったんですが、観察技術不足で良い写真が撮れませんでした。


■ 2018年05月05日 撮影

子嚢胞子はかなり小さく10μm前後。楕円と言うより丸みを帯びた菱形。


■ 2018年05月05日 撮影

ブナシロ同定の大きな根拠、外側の微毛ですが、まぁこれが切り出しにくい。 小さすぎて狙って外面を切り出しづらく、毛も密集していると分かりづらい! と言う事で頑張って微毛単体を見られるまで試行回数で何とかしてみました。 微毛表面には顆粒が有るのですが、先端の数細胞は顆粒が無いのです。 そのため先端部だけがツルッとして見えるのが本種の特徴だとされています。 外見の似たシロヒナノチャワンタケは先端まで顆粒に覆われるのが特徴・・・だそうです。 正直この環境では確信には至れませんでした。

■ 2019年04月27日 撮影

水生キノコ探しで立ち寄ったら生えていたのでとりあえずパシャリ。 中々この時期にブナ林に来ることが無いので、こう言う機会を大切にしないと。 ここでふと思い出してスマホを手に取り、電波が入るのを確認してこのページを閲覧。 そう言えば前回顕微鏡観察した時はまだgajin氏に頂いたばかりで写真がイマイチでだったのを確認。 油浸対物レンズの使用法や切片の作り方もまだロクに知らない状態でした。 なので思い出したかのように標本を採取し、リベンジすることにしました。


■ 2019年04月27日 撮影

以前は使えなかった油浸対物レンズで観察した子実層面です。 前回は見れなかった太針形の側糸もしっかり観察できました。 本種の側糸は非常に太く短いので一見すると子嚢に見間違えてしまいそうになります。 しかし良く見ると先端が少し使った鉛筆の先のように尖っているので簡単に見分けられます。


■ 2019年04月27日 撮影

子実層面を崩すと子嚢がバラけました。子嚢自体が非常に短いですね。 内包している胞子の数は8。2列に並んでいます。


■ 2019年04月27日 撮影

子嚢を切り出してみました。付け根が丸っこくて何か違和感がありますね。 本当は子嚢の太さに大してここはもっと細いハズなんですが・・・。 子嚢自体が非常に小さいので相対的に大きくなっちゃってます。


■ 2019年04月27日 撮影

前回観察時は通常のレンズでの観察が限界でしたが、今回は油浸対物レンズ使用スキルを身に着けたoso! 無事子嚢胞子を観察できました。長楕円形〜紡錘形で無色、内包物は見られません。 大きいもので10μmほどでしょうか。


■ 2019年04月27日 撮影

メルツァー試薬による染色も子実層面の切り出し方も前回よりは上手くなったと思います。 本種は子嚢の先端だけが青く染まります。良く見ると胞子の通り道だけが青くなる頂孔アミロイドですね。 また染色により子嚢に混じって分かりづらい側糸も良く分かるようになっています。 染まり方が子嚢と明らかに違うので一目瞭然ですね。


■ 2019年04月27日 撮影

顕微鏡と私自身の性能向上を受けて外側の微毛ももう一度観察し直してみました。 先端の数細胞は顆粒が無いとのことですが、やはり絞り調節してみても良く分かりません。 言われてみればそうっぽくも見えますが・・・うーん。


■ 2019年04月27日 撮影

油浸対物レンズで高倍率撮影してみると、確かに表面の顆粒滑らかな先端が同時に観察できました。 ただ、短い毛は先端まで顆粒で覆われることもあるようで、過信するのも良くないのでしょうね。 とりあえず「ブナの植物体から出ていたら本種だ」くらいに思っとくしか無いのかも知れません。

■ 2019年04月27日 撮影

適度に雨が降った後だったので子実体の状態が非常に良く、また発生量も十分でした。 かなり本種にとって良い気候だったみたいです。


■ 2019年04月27日 撮影

その中で見事な発生状態に出会えました。本種の認識が変わるレベルで美しかったです。 あまりにも被写体として優秀だったので撮影しまくったのですが、ほとんどがピンボケで使えず。 結局綺麗に撮れていたのはこの1枚だけでした。



■ 2019年04月27日 撮影

今回この子実体らが美しいのは単純にブナの殻斗が美しいからでしょうね。 普通は暗色に黒っぽくなっていることが多いのですが、今回は赤みが強く残っています。 落ち葉に埋もれていたためか子実体も傷みがなく美しい形状を保っています。 オマケで立ち寄ったらこんなのに出会えるんだからキノコ狩りは止められないのですよ!

■ 2021年04月27日 撮影

2年振り、しかも偶然にも全く同じ日に訪れていました。狙ったわけじゃないですよ? 今年はかなりの発生量のようで、ブナの落葉を掻くと白いものがいっぱい! ただ個人的には左のチャワンタケが気になって仕方ありません。
■図鑑TOPへ戻る