★Discina parma (オオシトネタケ)

■ 2017年04月01日 撮影

我が家に顕微鏡が届いたのはこの種をサイトに載せたいがためでしたね。
春に各種腐朽材上に発生する比較的大型の椀形子嚢菌類の一つです。
広葉樹にも針葉樹にも発生するため、類似種との区別を困難にしています。
漢字で書くと「大褥茸」。「褥」は寝る時や座る時のしきものの意味です。

本種を紹介するにあたりどうしても触れねばならぬはフクロシトネタケ
外見が極めて似ており、とある方法でしか確実な判別ができません。


■ 2017年03月12日 撮影

ちなみに半月前はこんな感じでした。立派になったものですなぁ。


■ 2017年04月01日 撮影

子実体は椀形ですが成長するとこのように材に張り付くように広がります。
色は褐色ですがフクロシトネタケに比べて暗色と言う印象が有りますね。
個人的にはこの平に広がった状態を「程良く焼けたタン」と呼んでいます。
子実層面に不規則なしわが有ります。しわはゆったりと波打つ感じですね。

実は類似種フクロシトネタケ同様に本種も毒キノコなんですよねぇー・・・。
なので食べる目的であればコレに似たキノコは全部スルーした方が良いです。
嘔吐や下痢、腹痛などの胃腸系の中毒を起こすので食べてはいけません。


■ 2017年04月15日 撮影

更に成長した状態。雷雨が凄くて撮影してる時すっごい怖かったですね。
ちなみにここまで成長して辛うじて胞子の特徴が分かる状態でしたよ。

■ 2015年04月12日 撮影

本種を載せたくて禁断の顕微鏡の世界に手を出してしまった2015年です。
実は結構前から見てはいたんですが、顕微鏡が無く掲載見送ってました。
今回は意地でも正体を暴いてやるとデジタル撮影可能なのを買いました。
スギ材生です。本種は針葉広葉どちらにも生えるような印象が有ります。


■ 2015年04月12日 撮影

裏側を見ると短いが有りますが、確認しづらい事もしばしば。

しかしここまでの特徴はほとんどが同属菌のフクロシトネタケとほぼ同じ。
そのため肉眼的特徴や発生環境からの推察では同定する事ができません。
実はこの2種を区別するには顕微鏡での胞子の観察が必須となります。


■ 2015年04月12日 撮影

しかしただ見れば良いと言うワケではありません。熟していないとダメです。
これは子嚢内部の未成熟の胞子。フクロと全く同じ形状をしています。


■ 2015年04月25日 撮影

より成長した子実体から採取した成熟した胞子です。この確認が必要です。
一回目が不鮮明だったため、後日再度観察して撮影した写真になります。
胞子は楕円形で両端に無数のとげ表面の網目がオオシトネの特徴。
網目は観察困難ですが、フクロシトネは両端にくちばし状の突起が有ります。
そのため両端の構造を確認すればオオかフクロかの判別が可能となります。

■ 2017年04月01日 撮影

半月前は乾燥気味でしたが、今回は雨の後なのでかなり良い状態ですね。
オオシトネタケはこのように未熟でも子実層面が暗色になるようです。

■ 2017年04月01日 撮影

まだ若々しいオオシトネです。子実体が水を吸い、プリップリになっています。
本種はチャワンタケ系の形状ですが、子嚢盤に厚みが有り雰囲気違います。
ちなみに右に見える黒い同居人はそのまんまの名前のクロコブタケです。

■ 2017年04月01日 撮影

かなり大きな子実体。椀の径5cmオーバーで近くで見ると迫力有ります。
でもこれでもまだ未熟で胞子はおろか子嚢すらも中々見付けられません。

■ 2017年04月22日 撮影

実況用に採取したのに胞子が未成熟でボツ。翌週再度採取に訪れました。
先週の段階では気付かなかった苔生した立ち枯れに発生した子実体です。
ここまで黒くなるとかなり老成しています。胞子観察には不向きでしょう。

■ 2017年04月22日 撮影

良い感じですね!こんな感じで子実層面が粉っぽく見えだしたら頃合いか?
地元ではフクロも見れますが、老菌でもここまで暗色にはならない印象です。

■ 2017年04月22日 撮影

やたら大きな子実体を発見。直径10cm近く有ります。君に決めた!


■ 2017年04月22日 撮影

そう言えば綺麗な裏側の写真が無いなと思い引っこ抜いて撮影してみました。
子実層面の暗褐色には似合わぬクリーム色の裏側。凄いギャップを感じます。
この裏側に不規則な脈が走っている感じはウラスジチャワンタケ似ですね。


■ 2017年04月22日 撮影

画像編集して胞子を観察しやすくしてみました。特徴が良く分かりますね。
両端の無数のとげは分かりやすいですが表面の網目模様は流石に限界。
でも一度見たらフクロとの違いはすぐに分かるパッと見ではあると思います。

■ 2018年03月10日 撮影

個人的にはアミガサタケよりも春の訪れを告げるキノコだと思っています。
コケに囲まれていて綺麗でしたが、色が変になっちゃって苦労しました。

■ 2018年03月31日 撮影

良い感じにコケと一緒に生えているのを発見。やっぱ写真映えしますね。


■ 2018年04月21日 撮影

同じ場所を久々に訪れると・・・まだ居ました。しかも立派に成長した姿で。
右端の材の傷の位置からこの子実体がいかに大きくなったかが分かります。


■ 2018年05月03日 撮影

更にしばらくしてもう一度訪れるとまだ居たので念願の顕微鏡観察が実現!
新しい顕微鏡の力試しだったのですが、私の想像を絶する素晴らしい世界が!
子嚢の内部に成熟した胞子と未熟で模様の無い胞子が混在していますね。


■ 2018年05月03日 撮影

思えば私が顕微鏡を初めて購入したのは本種とフクロの胞子を観察するため。
2015年4月25日に初めて見た時からずっと見てみたいと思っていた光景です。
楕円形の胞子を覆う網目模様と両端の突起。この姿を見れるとは・・・!
機材も技術も向上したのだなと感じました。正直感動してウルッと来ました。