■Elaphomyces granulatus (ツチダンゴ)

■ 2018年09月15日 撮影

初発見は2016年。もろぞー氏主催の観察オフにて立ち寄った昼飯スポットでの出会いでした。 この頃は地下生菌に興味がなく、そこから出ていたタンポタケしか眼中にありませんでした。 その後地下生菌に興味を持ち、その時からリベンジしたいと思っていました。 本属菌の代表種、針葉樹林地上に埋もれるように発生する無印の「土団子」です。 あまり低地では見られず、亜高山帯でしか出会ったことがありません。

低地の広葉樹林ではアミメツチダンゴが普通なので意外とレアかも。 ある程度同定に確実性を持たせるには顕微鏡による胞子観察が必須となります。 本属菌は類似種が極めて多く、外見だけでの判断はほぼほぼ不可能です。


■ 2018年09月15日 撮影

アミメツチダンゴのように表面を根や土が覆っていないので有ればすぐに分かります。 多くは深くに埋まっていますが、このように自然と露出しているものも少なくありません。


■ 2018年09月16日 撮影

埋もれたままでは分かりにくいので採取したものを黒バック撮影してみました。 形は類球形で少し潰れているものが多いように思います。 色は代赭色(帯褐黄色)で表面は無数の突起に覆われています。


■ 2018年09月16日 撮影

表面を拡大してみました。とげ状突起はアミメに比べると細かくて低いですね。 周囲に根や土が絡まないのは突起に高さが無いためかも知れませんね。


■ 2018年09月16日 撮影

アミメツチダンゴを見慣れているとこの断面は非常に衝撃です。 だって外皮断面に模様がないんですから。 外皮は元々白色ですが、流石に少し古いのか白いのは一部だけで全体的に黄色く、内側ほど暗色になります。 その内側のグレバは最初は白色ですがやがて成熟して黒褐色になります。


■ 2018年09月16日 撮影

胞子は球形で低倍率で見ると真っ黒に見えます。 これは胞子に厚みがあるため光を透過しづらいため。 高倍率のレンズで観察するとその正体が明らかになります。 未熟な胞子が混じっていますが、成熟していると思われる胞子は直径25μm前後のものが多いようです。


■ 2018年09月16日 撮影

言い忘れましたが、本種はれっきとした子嚢菌類なんですよね。 稀に子嚢が観察できる場合が有りますが早い段階で消失してしまうため、めったに見られません。


■ 2018年09月16日 撮影

人力進度合成をした上で画像処理して表面を見やすくしてみました。 胞子は暗茶褐色で表面は棒状のとげが部分的に集まってひび割れ状になるのが特徴です。 まるで溶岩燃え盛る原始の地球のような幻想的な光景が飛び込んできて、撮影中に唸っちゃいました。 左の胞子の上の方を見れば、棒状のとげが集まっている部分が良く見えますね。

全体的に硬質で内部は粉状・・・ニオイも土臭いですし間違いなく食不適でしょう。 蓼食う虫も好き好きで、本種は無印のタンポタケの宿主になります。

■ 2016年09月24日 撮影

初発見はほぼ2年前の同じ場所。昼食を摂ろうと腰掛けた倒木のすぐ後ろにタンポタケ発見。 その後周囲を探していたら1株だけ頭を出していました。 ただこの頃は地下生菌にまだ興味を持っておらず、撮影もロクにしていませんでした。


■ 2016年09月24日 撮影

少し拡大したもの。この2枚しか撮ってなかったです。 後にアミメツチダンゴを発見した際に表面の違いに気付き、写真を別フォルダに保存していました。 やっと掲載できましたね。今だからこそ言えますが、表面が全然ちげぇ!
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