■Entoloma quadratum (アカイボカサタケ)

■ 2022年07月10日 撮影

ヒノキ林内地上にて発見。近くにキイボも生えてましたが、本種のほうが数は少なめ。 キイボカサタケ、シロイボカサタケと本種でイボカサ御三家とでも呼ぶべきでしょうか? その名の通り全体的に赤く、傘の上にイボがあるイッポンシメジ属菌「赤疣傘茸」です。 近年になってイボカサ三種はそれぞれ独立であり、また別種が混在していることが判明しました。 発生環境は様々で、普通の広葉樹林だったりヒノキ林だったり。竹林でも良く見ます。

本種に外見が似た種に、同じく赤系のダイダイイボカサタケ(仮称)が存在します。 ただ本種とは色が異なるほか、傘の表面構造が全く異なります。 また和名の特徴でもある頂部のいぼですが、本種はやや控え目だったり、無かったりする率が高いです。


■ 2022年07月10日 撮影

傘は円錐形で最終的には平らに開きますが、傘中央部は突出したまま周囲だけが反り返ります。 子実体は全体的に朱色で、確かにキイボカサタケの赤色バージョンと言う見た目です。 ただ他のイボカサ系と比べて傘中央の突出が控え目なことが多いです。 また傘表面に微細な鱗片がビッシリ生えていることも他のイボカサとの相違点です。 このザラザラした傘の質感的にはソライロタケに似ていますね。


■ 2022年07月10日 撮影

裏返してみました。傘だけではなく、柄もひだも朱色です。 本当はひだが成熟すると赤みが強くなるのですが、元々赤いので分かりません。 またこのテの細身のイッポンシメジ属菌らしい特徴として、柄のねじれが確認できます。

小さくてもバカにしちゃいけない!白や黄色と仲良く毒キノコです。 症状も他の近縁種と同じだそうで。小型で可憐なキノコですが人には優しくありません。 特にキイボカサタケは死亡事故を起こしているので、可愛いからって油断してはいけません。 被写体としては非常に優秀なので、愛でることに専念しましょうね。

■ 2007年09月24日 撮影

本種はどう言うワケか普及材近くや材から直接発生していることが多い種です。 他の種に比べて富栄養な環境を好む性質なのかも知れませんね。 この写真の子実体も倒れて朽ちた針葉樹材の隙間から発生していました。 ちなみにこれくらいのイボが白と黄では普通ですが、本種ではむしろ突出しているほうです。

■ 2007年10月06日 撮影

積み上げられた材から複数本発生していました。やっぱ富栄養が好きなの? 傘表面が微毛状なのが良く分かりますね。異質な感じがします。

■ 2014年09月06日 撮影

旧TOP写真です。見かけることは多い種なんですが、中々ちゃんと撮影したことが無かったんですよね。 それだけじゃなくて同定に自信が無かったのもありますね。中間的な子実体が地味に多くて。 珍しくキレイな子実体だったんですが、アップで撮って細部撮影を忘れてたんですよね。くそぅ!


■ 2007年10月06日 撮影

裏側はこんな感じでしっかり撮影しています。傘もひだも柄も赤くて美しい子実体ですね。 柄はねじれていることが多く、条線を持つためねじれが分かりやすいです。

■ 2014年9月13日 撮影

竹林内で発見しました。傘にいぼの無い子実体は何かオオキツネタケみたいに見えますね。 しかしオオキツネに比べて赤みが強く、傘表面のササクレも荒っぽいので本種で間違いありません。

■ 2016年09月17日 撮影

白と黄色、空色のどれかと一緒に生えていることが多いフィールドです。 様々な環境に発生しますが、特に竹林は高確率で見かける気がします。


■ 2016年09月17日 撮影

拡大してみました。やはり本種の傘表面は若干粗面に見えます。 これでもまだ平滑なほうだとは思いますが、 キイボとシロイボはつるつるてんなので、ややソライロ寄りな雰囲気の傘ですね。 あと傘頂部の突起の有無も、無い率が若干黄色と白より高い気もします。


■ 2016年09月17日 撮影

イッポンシメジ属のひだの赤さは本種に関しては観察困難ですね。 本属菌は胞子が肉色なので成熟するとひだが赤っぽくなるんですが、 本種はひだそのものが赤いので色の変化が全く感じられません。 また通常、柄の基部には白色菌糸を蓄えています。

■ 2017年09月24日 撮影

地元の里山でメチャクチャ鮮やかな子実体を発見!配置もインスタ映えしそう! 傘表面が毛羽立っているのが良く分かる子実体でした。やはりいぼが控え目です。 ちなみに1週間後に同じ場所を訪れた際は退色が進んでしまっていました。

■ 2018年09月23日 撮影

冬虫夏草のシュイロクチキタンポタケを探していたら違う朱色が目に入りました。 広葉樹林はもちろん、竹林にも出るわスギ林にもヒノキ林にも出るわ、ホントどこにでも居ますね。 あったらあったで良い被写体になってくれるのでありがたいですけど。

■ 2021年07月10日 撮影

地元フィールドで冬虫夏草を探していて発見。目的の冬虫夏草は見付かりませんでしたが、綺麗なアカイボに出会えました。 しかもすぐ近くにダイダイイボカサタケも発生しており、良い感じに比較できたのは大きかったです。 そしてやっぱり倒木に寄り添ってる・・・。

■ 2021年10月03日 撮影

ソライロタケを探して訪れた竹林で、ソライロタケの状態は良くなかったですが本種は良い感じのものを発見。 何か本種は他のキノコを探していてオマケで見付けることが多いような気がしますね。 ちょうどこの場所だけ木漏れ日が差していて良い感じの写真が撮れました。


■ 2021年10月03日 撮影

アカイボカサタケが他のイボカサと違う点は何と言ってもこの繊維状鱗片です。 スポットライトのお陰で白さが際立って観察しやすかったです。 このような鱗片はキイボとシロイボには全く存在せず、むしろプラスチックのようにツルンとしています。 突起の形状もそうですが、やっぱり本種だけはちょっと縁遠いようですね。
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