■Entoloma sp. (ダイダイイボカサタケ)

■ 2017年09月30日 撮影

以前から何度も見かけていましたが仮称段階のため掲載を控えていました。 一応知名度は上がったと判断し、今回サイトへの掲載に踏み切った次第です。 各種林内地上に発生する、低地でも亜高山帯でも見られる「橙疣傘茸」。 青木実氏が仮称を付けており、かなり前から存在自体は知られていました。

アカイボカサタケと混同されることが多い種ですが、別種として良いかと。 色だけではなく随所に外見的な差異が有るので判別は比較的容易です。 赤いからと言って安易にアカイボとしてはいけないと言う理由ですね。


■ 2017年09月30日 撮影

傘は淡い橙赤色で、アカイボと比べるとオレンジ寄りで彩度も低いです。 また傘表面が滑らかで、微毛状になるアカイボとは決定的に異なっています。 イボカサ系特有の傘の先端の乳頭状突起は健在。そこはまぁイボカサですし。 個人的に傘の周辺のひだの浮き出しがアカイボとの決定的な違いだと・・・。


■ 2017年09月30日 撮影

ひだも柄も傘と同色ですが、ひだは成熟すると胞子の関係で赤みが増します。 本種の柄はねじれることが多く、柄に存在する条線が観察の助けになります。 あと感覚的な話になりますが、アカイボより大型になることが多いようです。

近縁なキイボカサタケが死亡例も有る有毒種でなので、本種は赤字で食毒不明。 特に本種は形態的にはアカイボよりキイボに近いのでますます要注意かと。

■ 2009年08月16日 撮影

以前、亜高山帯のブナ林で発見していました。コチラの方が典型的かな? 傘の表面がツヤっとしていてキイボカサタケの2Pカラーと言った外見です。


■ 2009年08月16日 撮影

すぐ隣の別の子実体です。ミイノモミウラモドキかってくらいに大型になります。 乾燥気味なので傘表面に繊維状の模様が浮き出ていますが、やはり滑らか。 上述しましたが本種の傘にはアカイボには無い傘のうねりが確認できます。

■ 2019年07月15日 撮影

直射日光下の小さな日陰に生えていたのでデジカメの色調を調整するのに難儀しました。 やはり傘の質感的には赤っぽいキイボカサタケって感じで、アカイボとは雰囲気が異なりますね。 比較的深山で出会っているような気がします。

■ 2021年07月10日 撮影

「キイボの谷」と個人的に呼んでいる場所があります。 ヒノキ林の間にある涸れ沢なのですが、その周囲にイボカサ系が集結するのです。 9割はキイボカサタケなのですが、赤も白も、そして橙も発生するのです。 何でここに集中するのか良く分かりませんが、安定した有機物と水が得られるからでしょうか? 今回は珍しく色が鮮やかなダイダイさんがいました。


■ 2021年07月10日 撮影

見上げてみるとイッポンシメジ系に良くあるねじれた柄が確認できます。 特にこの子実体は柄が細かったのでねじれが顕著に現れてますね。


■ 2021年07月10日 撮影

ちょっと小ぶりですが、つやのある傘表皮などアカイボではないダイダイの特徴はバッチリ。 傘頂部の突出も顕著で非常に「イボカサ」の名に相応しい形状をしています。 にしてもこのイボは何のために出来るんでしょうね? この取って付けたような感じは必要とも思えないんですが・・・。
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