■Exobasidium gracile (サザンカもち病菌)

■ 2018年04月27日 撮影

サツキもち病菌を掲載した時からずっと出会いたいと思っていたんです。
しかし「一般的」と言われるワリには発見に随分時間を要しましたね。
春から夏にかけてサザンカの葉を肥大させる植物寄生菌類の一種です。
担子菌モチビョウキン目に属し、その名は病徴部の形状を比喩したもの。


■ 2018年04月27日 撮影

特徴は何と言っても餅のように肥大した葉。色が淡くて良く目立ちます。
健全な葉と比べるとサイズで2〜3倍、厚みは10倍にもなるのだそうです。
そして葉の裏が白色。この部分に本種の生態のヒントが有ります。

見た目に反して可食だそうです。ちょっと食べる気は起きませんが。
てかサツキもち病菌は普通に食えるそうなので、もしかして混同されてる?
食った方にお聞きすると超渋いそうで、本種は食不適なんじゃ・・・。

■ 2018年04月27日 撮影

実はこれ知り合いのお宅の生け垣。快く標本採取の許可を頂けました。


■ 2018年04月27日 撮影

意味も無く黒バック撮影。いや意味は有るけど「何となくカッコイイ」が主。
裏側の白さが目に付きますが、葉の表面も明色に変化しています。
サツキのように葉一枚がヤられるのではなく新芽全体が罹患する感じ。


■ 2018年04月27日 撮影

裏側は白くなっています。手前に見える茶色いのは葉の上部細胞層です。
これ実は人間で言うところの皮膚が剥がれた状態なんです。怖っ。


■ 2018年04月27日 撮影

拡大してみました。これが本種の子実層です。植物組織も見えてます。
細胞の隙間にも菌糸体が入り込んでおり、葉の深くに子実層を形成します。
その後表皮が剥がれて白色の子実層が露出し、そこから胞子を拡散します。

■ 2018年04月27日 撮影

感染してまだ比較的時間の経っていない病徴部です。赤みが強くなる模様。
一番したの葉は裏面の上部細胞層が剥がれ始めているのが分かります。

■ 2018年04月27日 撮影

また別の病徴部。生け垣全体から見ると発生部位は少なく致命的ではない模様。


■ 2018年04月27日 撮影

健全葉に邪魔されて良い感じに剥がれ途中になっていたので撮影しました。
完全に内部は浮いており、葉の縁部だけでくっついているみたいですね。
それが葉の成長と肥大によって少しずつ自然と剥がれて付け根に残ります。

■ 2018年05月08日 撮影

新しい顕微鏡が我が家に配備されたため再度標本を頂いて観察してみました。
早速担子器が見付かったのですが・・・これはまだ胞子ができ始めですね。


■ 2018年05月08日 撮影

もう少し探してみると・・・有りました!4月27日撮影分とは比にならない鮮明さ!
考えてみれば普通にキノコの切片切り出すよりキツいんじゃね?ってのがね。
だってあれどこ切り出しても担子器チャンスだし、菌体だから切りやすいし。
とりあえず担子器の先端に胞子が付いているのは確認。4胞子性みたいですね。
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