■Exobasidium japonicum var. japonicum (サツキもち病菌)

■ 2014年06月10日 撮影

前々からウチの図鑑に載せたいなーと思っていた植物寄生菌類だったり。 花壇などに多く用いられていサツキ・ツツジ類に感染する有名種ですね。 もち病としては非常にありふれた種であり、街路樹などで見たこと有る人も多いのでは? 同属菌にサザンカやシャクナゲに感染する別種がそれぞれ存在します。

通称「さつきもち」。実は菌類を知らない人にも結構有名なんですよね。 その理由は後述しますが、結論から言うと「食べた人が居る」と言うことです。


■ 2014年06月10日 撮影

虫こぶで似たような状態になる事が有りますが、表面を見れば一目瞭然。 菌が生産するインドール酢酸のせいで葉そのものが肥大するのが特徴。 最初は下の新芽部分のように葉の緑色を残したままで膨らみます。 やがて表面に胞子を付けた担子器が形成されると白色粉状になります。

植物の病気なんですが・・・実は可食です。信じられないですけど。 サザンカもち病菌やヤブニッケイもち病菌は渋いですが、本種は普通に青臭いだけです。 ある程度年配の方に話を振ると「食べた」と言う経験談を語ってくれる方も居られます。

■ 2014年06月10日 撮影

比較的新鮮な発症部。これくらいの時期はあまり汚い感じはしませんね。

■ 2014年06月10日 撮影

面白いモノを発見。この発症部、内部が空洞になって中に虫が居ますね。 これ元になった葉は穴の部分で、その部分がこんなに膨らんでるんです。 こんな小さな組織が膨らんでこんな大きくなるとは・・・不思議ですね。

■ 2014年06月10日 撮影

元の葉の形状を少し残した状態で成熟した姿。紅色を帯びる事も有ります。 表面に担子器が十分に形成されるとこのようにほぼ真っ白な色になります。 しかし大発生する事は無く、部分的にしか発生しないのは優しさかな?

■ 2018年05月10日 撮影

4年振りの更新の理由はただ一つ、顕微鏡観察するためです。 今まで使用していた顕微鏡では子嚢菌類の観察が限界であり、担子菌類などはもってのほか。 ですが今年は新しい顕微鏡を頂き、使い方にも慣れたのでリベンジとなりました。


■ 2018年05月10日 撮影

マクロレンズも進歩しております。表面は担子器が形成されて粉状に・・・。


■ 2018年05月10日 撮影

これが見たかった!本種が担子菌サビキン目に属する証拠、担子器です。 右に見える内包物が有るものが若い担子器、それが担子胞子形成に従い先端に移動します。


■ 2018年05月10日 撮影

担子胞子は長楕円形。古い顕微鏡で観察した時は成熟した担子器がほとんど見られませんでした。 観察する場合はしっかり表面が白くなった病徴部を採取すると良いでしょう。 ただ植物体の切片を作るのと同じなのでどうしてもぶ厚くなり、観察は地味に大変。


■ 2018年05月10日 撮影

担子器1つを深度合成で撮影してみました。本種の担子器が4胞子性だと言うのが良く分かります。 外見的には想像もできませんが、本種もどちらかと言うとキノコ寄りの存在なのだと実感できました。 ただまだ食べる気にはなれないんですよね。 加熱とかしないほうが美味しいとは聞くのですが一歩が踏み出せない。
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