★Ganoderma applanatum (コフキサルノコシカケ)

■ 2018年08月11日 撮影

どこででも見られるありふれた硬質菌ですが、訳あってほとんどの写真を差し替えました。 田舎へ行くとお家の玄関先に本種を乾燥させた置物が置いてあったりしますよね。 サクラやウメなどの枯れた広葉樹材に発生する「粉吹猿腰掛」です。 以前は独立した属でしたが、現在はマンネンタケ属となっています。 確かに傘表面の独特な波打ち方はソックリ。

実は今まで本種とされてきたものの中にオオミノコフキタケと呼ばれる別種が混在していることが判明しました。 本種と比較して、低地より奥山に多い、胞子が大きい、断面の構造が異なるなどの違いがあります。 しかし胞子や断面の比較をしているサイトは少なく、現状では「低地だからオオミノコフキ」と言う安易な同定が多くなされています。 ただ今回発見したものは低地ですが本家としか考えられず、その判断方法は不適切だと感じました。 そのため当サイトでは両者の可能性が半々と思える写真は全て削除し、内容を一新しました。


■ 2018年08月11日 撮影

傘は幅15cm程度の腎臓形で、まだ比較的若い子実体ですね。 表面は同心円状に規則的に波打っており、これは成長速度の違いによってできる年輪のようなもののようです。 本来表面は濃淡はあれど基本灰褐色なのですが、表面にココア色の胞子が降り積もっているためこのような色合いになります。 これは雨上がりに胞子が大量に放出され、それが上昇気流に乗って飛散すると言う本種の性質のためです。 胞子は周辺にも降り積もり、これが和名「粉吹」の由来でもあります。


■ 2018年08月11日 撮影

上から見た色とはうって変わって裏面は綺麗な白色の管孔状になっています。 このコントラストがまた美しいんですよね。


■ 2018年08月11日 撮影

孔口は微細です。実は白いのは孔口と内部表面だけで、切断すると肉自体は黒褐色です。 また管孔部には変色性が有り、硬いもので擦ると黒褐色に変化します。 これを利用して若い子実体に文字を書いて乾燥させればそのまま保存することができます。


■ 2018年08月25日 撮影

2週間後、気になって再度確認しに行きました。 以前撮影した時はまだ白かった側面部分が暗色になり、下方に再度成長し始めているようです。 ノコギリで一部切り出しを行いましたが、その断面に違和感をおぼえました。


■ 2018年08月25日 撮影

帰宅後に切片を綺麗にクリーニングした後、黒バック撮影してみました。 本種およびオオミノコフキタケの断面は大きく分けて3つの層から成ります。 1層目は一番上の薄い傘の表皮部分、2層目は中間の肉の部分、3層目は管孔部分です。 オオミノコフキは3層目の管孔の厚みが薄いとされますが、大きな違いは2層目です。 オオミノコフキは2層目が成長点から放射状に広がり、3つの層の中で最も厚くなります。 しかし今回の標本は明らかに2層目に厚みが無く、肉質が密です。 これは明らかにコフキサルノコシカケの特徴と一致します。


■ 2018年08月25日 撮影

もう1つの確認ポイントである胞子も観察してみました。 まだ低倍率ですが、この段階で何となく答えが分かりました。


■ 2018年08月25日 撮影

胞子はマンネンタケ型と呼ばれる楕円の片方の端がスパッと切られたような截頭(せっとう)形と呼ばれる形状です。 2重壁を持ち、内壁は有色で突起に覆われ、外壁は無色です。 そのため見た目にはトゲトゲして見えますが、輪郭はブレません。 注目すべきはそのサイズ。やや奇形のものも有りますがほぼ9μm×6μmの範囲に収まっています。 ましてやオオミノコフキのように10μmを超えるものは截頭部の形成不良の胞子くらいしか有りません。 これは流石にコフキサルノコシカケとせざるを得ないと思います。

と、このように低地だからと言って一概にオオミノコフキだとするのはやはり不適切だと実感できました。 あまりインスタ映えするキノコではありませんが、ちゃんと理解したいのであれば断面くらいは確認したほうが良いかもですね。

本種は薬用として古くから民間で利用されてきた歴史が有ります。 マンネンタケに近縁な種なだけあって使用法も同じ。お酒に漬けるなどの利用が一般的のようです。 ただあくまでも使用は自己責任!安易な仕様はあまりオススメしません。 また似たツガサルノコシカケは薬用にはならないので間違えないように。

■ 2016年04月09日 撮影

今まであまり良い写真が無かったのでサクラの開花を狙って以前から目を付けていた子実体を撮影しにゆきました。 これは新版キノコ擬人化図鑑に使用するためだったり・・・。 ウメやサクラの樹に良く出るので、やはりツーショットを狙いたい!


■ 2016年04月09日 撮影

ここもバリバリの低地でしたが、オオミノコフキではないと判断しました。 本種は多年生のため一度形成した子実体の下に再度子実体を形成する性質が有ります。 そのため年々下方に子実体が伸びて行き、このような釣鐘形になってしまうのです。 これはツリガネタケでも似たような現象が見られます。見た感じ5〜6年は経っていそうですね。

■ 2019年07月07日 撮影

移動中の山道で倒木に発生しているのを車中から発見。 近寄ってみると中々良い感じの発生の仕方だったのでしっかりと撮影してみました。 段数的にすでに2〜3年は継続して成長しているようです。


■ 2019年07月07日 撮影

上から見ると古い部分がグズグズに腐っていました。そこに虫が・・・ヤスデかと思ったけど違いますね。 原寸写真見るまではハネカクシとかのキノコムシ系かと思ったけど?コメツキムシの幼虫かな? 材から這い出して来たっぽい?


■ 2019年07月07日 撮影

裏側は白くてやっぱり綺麗ですね。傘表面のココアっぷりとは大違いです。 でも本種の管孔、整ってて綺麗なのにこのサイズに縮小しちゃうと分からなくなっちゃうんですよね。


■ 2019年07月07日 撮影

管孔を拡大して気付きましたが、縁部には孔口が無いんですね。 しかしこうして見ると管孔部の傷みが激しいですねぇ。 虫食い穴も多いですが、純粋に残存期間が長いので自然と風雨で傷むようです。
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