■Ganoderma tsunodae (エビタケ)

■ 2020年08月01日 撮影

初めて出会ったのは大台ヶ原のブナ林でした。 その時は「何だこの地味で汚らしいサルノコシカケ」と思って撮ったのを覚えています。 しかし帰宅後に調べたら何と絶滅危惧種に指定されている地域もあるレアキノコでした。 和名は「蝦茸」。なんでエビ?ブナの立ち枯れの地際に発生することが多いです。 種小名の「tsunodae」は明治から昭和にかけて菌類や苔類の研究を行った植物学者の角田金五郎氏への献名です。

属名を見れば分かりますが、本種はマンネンタケ属菌です。 外見が全然そんな感じに見えないので意外性しか無いですね。 でも実はとある状態を見ると確かに本属菌なんだな、と感じられます。


■ 2020年08月01日 撮影

子実体は側着生でサルノコシカケのような形状。 子実体は脆く1年生ですが、稀にボロボロのまま残ったり、発生跡から再発生します。 傘は薄く傘は黄土色〜暗褐色で表面が老成したかのように粗面になるのが特徴です。 そのため新鮮な子実体でもまるで老菌のように見えてしまいます。


■ 2020年08月01日 撮影

裏側は微細な管孔で、色は類白色から成長とともに淡褐色に変化します。 また管孔面があまり整っておらず、マンネンタケ属菌にしては乱れています。 最初に見たのと同じ立ち枯れなのですが、今回は裏側が撮りやすい高さに出ていて助かりました。 この場所は保護区のため撮影も一苦労です。

若い内は少し弾力がりますが。硬質菌ですので当然食不適です。 そもそも本種は東アジアの冷温帯のみに分布する珍しいキノコ。 そんなキノコを採ったりしちゃいけません!出会えたらラッキーくらいで行きましょう。


■ 2020年08月01日 撮影

下のほうに見えていた子実体です。傘の周辺部は灰褐色になります。 本種は個人的には特徴が無いのが特徴と言うタイプのキノコな気がします。 眼を見張るような際立った特徴は無いですが、雰囲気と環境から本種に辿り着ける、そんな感じですね。

■ 2009年07月24日 撮影

初発見は2009年、材の雰囲気からも何となく分かりますが2020年と同じ木です。 ブナは朽ちやすい材種のハズなのですが・・・確認してなかったけど、もしかして生木?


■ 2009年07月24日 撮影

写りが悪いワケではありませんし、老菌ってワケでもありません。 本種の傘は著しい粗面になっているのでこんな感じがノーマルです。 基部が細くなるのは属的に柄のような構造があるためですね。


■ 2009年07月24日 撮影

裏側の微細な管孔です。こうして見るとかなりデコボコしているのが気になります。 マンネンタケはこれでもかと言うくらいに管孔がツルッと整っているので同属と思えませんね。 傘は強靭ですが薄いため乾燥すると周辺部が巻き込み非常に硬くなります。

■ 2013年09月14日 撮影

遠くのほうに大きな影を見付けて望遠で覗いてみると、特徴的なザラザラの傘が。 久し振りの発見となりました。さらっと流してるけどワリと珍菌ですからね? 残念ながら生えている場所は遊歩道の遥か先で近付けませんでした。おのれ保護区。

■ 2015年06月20日 撮影

今まで大台ヶ原でしか見たこと無かったんですが、なんと近所に生えてました。 ウチの近くの山に小規模なブナの原生林区画があり、そこに生えてて拍子抜け。 しかも道路際で観察しやすく、状態もまさにベストコンディションでしたね。 ちなみにこの真下にツヤナシマンネンタケが生えてるんですが、そっちのほうがマンネンタケ属っぽい見た目です。


■ 2015年06月20日 撮影

このザラザラした質感の傘!他の硬質菌にはあまり見られない特徴ですよね。


■ 2015年06月20日 撮影

初発見時および2回目の発見時は国立公園のため道から外れることができず、裏側を撮影できませんでした。 しかし今回は立入禁止も何も無い!私は自由だ!下から覗かせて頂きました。 管孔は類白色で傘の表面同様に凸凹しているのが地味ですが重要な特徴。

■ 2020年08月01日 撮影

正直コレ見るまでは本種が本属菌であると言う実感が全然ありませんでした。 しかし地際から出る本種の幼菌の姿はまさにマンネンタケ属菌そのもの! コレ見るとまぁ確かにと納得しちゃいますね。 驚いたのは色で、成菌がバリバリの褐色系なのに幼菌は黒系なんですね。

■ 2015年06月20日 撮影

実はTOP写真の右側に最も大きな子実体があり、並び的にも縦構図が作りやすい発生状態でした。 それでもあえて写さなかった理由は、ロープを巻き込んでいたからです。 成長段階でロープを取り込んでしまい、一体化して外れなくなっていました。 この右側から撮れば綺麗に複数個体写せたんですが・・・。
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