■Geastrum mirabile (ヒナツチガキ)

■ 2018年10月13日 撮影

初発見はキノコを探し始めて間なしの2006年。まさか再会に12年もかかると思いませんでした。 毎年訪れていた地元にて久々の発見、各種林内腐植上に発生する和名「雛土柿」です。 かつて「腹筋類」とされていた一群で、ツチグリを超小型にしたような種です。 種小名の「mirabile」は「不思議な」や「特異な」の意。その小ささが由来でしょうか? 久し振りに美しい群生に出会い、TOP写真を差し替えることができました。

ヒメツチグリ属ですが、外見に反してツチグリとは縁遠い種です。 またヒナツチガキモドキと言う種が存在しますが、外皮が反らないなどの特徴があります。 普通に図鑑に載っていますが、思った以上に発生量は多くない気がしています。


■ 2018年10月13日 撮影

子実体は幼菌時は球形ですが、成熟すると頂点から外皮が裂けて内皮を露出させます。 内皮は若い時は白色ですがやがて暗灰褐色となり、頂孔の周辺には円座が見られます。 ここに雨粒などが当たることで胞子を吹き出します。


■ 2018年10月13日 撮影

外皮外側は褐色の剛毛に覆われ、内側は類白色ですが生育環境によっては赤みを帯びるようです。 外皮が逆方向に反り返るのが重要な特徴です。 あまり単生することはなく、群れるので小型でも写真映えします。 ちなみにこの裂開した状態でも直径が2cmあるかないかって感じですからね。ヒノキの球果と比べると一目瞭然。

縁遠いとは言え外見の似たツチグリは食ですが、本種は試した人も居ないのか食毒不明です。 仮に食べれるとしても小さくて食用価値は無さそうですね。 見た目も美味しそうじゃないので食べないのが吉かと。

■ 2006年10月25日 撮影

初発見は何とキノコ写真撮影を開始した2006年。その後実に干支が一周するまで再開しなかった頑固者です。 この頃は超低画素のデジカメだったんですよねぇ。

■ 2006年10月25日 撮影

コチラすぐ隣に生えていた幼菌群です。何か変な感じ。キノコっぽくないです。 見ての通り表面はこんな感じで剛毛がビッシリ。頂部から裂け始めます。 外皮が裂けた姿がまるでドングリのようで面白いキノコです。


■ 2006年12月18日 撮影

前回は一株しか裂開していませんでしたが、流石にもう老菌になっていました。 しかも胞子も全て飛んでしまった様子。と言うか残っているとは思わなかった。 外皮があんなに毛むくじゃらなのに、割れて見えた内部は滑らか。ギャップに萌える。

■ 2018年10月06日 撮影

久々の再会はTOP写真撮影の少し前。観察会が行われるとのことで下見に行った時でした。 キマワリアラゲツトノミタケが発生する材に出ていてメッチャ嬉しかったです。

■ 2018年10月08日 撮影

観察会当日に撮影したもの。ですが時間が押していて良い写真が撮れなかったため後にリベンジしました。 幼菌から成菌までの全段階が綺麗に揃っている1枚です。裂開する様子も分かりやすいですね。 濡れて軟質になっていると外皮の外層は剥がれやすいようで、表面の茶色い剛毛が剥げて白い肉が見えているものも多いです。 外層の内側が赤っぽいのも多雨で傷んでいるからかな?

■ 2018年10月08日 撮影

外皮の内側は類白色です。恐らくこれくらいの色が本来の色です。

■ 2022年07月30日 撮影

ツクツクボウシタケの大発生地を歩いていたら小さな花が地面から咲いていました。 地味に4年振りの再会となります。暗くて撮影が大変でしたけど嬉しいですね。


■ 2022年07月30日 撮影

しばらく雨が多かったためか子実体もみずみずしいです。 状態も以前見たものと比べて鮮度が良いようで、外皮内面も図鑑通りの綺麗な類白色です。 写真で見るとシロツチガキやフクロツチガキにソックリですが、 開裂した外皮込みで直径2cmくらいしかありません。大きさの感覚が狂いますね。
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