■Geoglossum simile (ジュズテングノメシガイ)

■ 2016年09月22日 撮影

近所の竹林で毎年見かけるも、とある理由で敬遠して来たキノコです。
各種林内地上に発生するテングノメシガイの仲間、「数珠天狗飯櫂」。
外見的に酷似した種が多く、顕微鏡による観察が同定に必須となります。
今まで面倒で確認しませんでしたが、やってみるとアッサリ正体が判明。
実際にはとてもシステマチックに絞り込めるので試す価値アリですよ。


■ 2016年09月22日 撮影

子実体は真っ黒でまるで編集ミスしたかのような写り方をしています。
この状態ではとある特徴が確認できないため、もう少し寄ってみます。


■ 2016年09月22日 撮影

子実体は棒状で子実層面部分は幅広くなり、中央部が少し凹んでいます。
これが飯櫂(飯をよそう杓子)に似ているためこんな和名が付いています。
注目すべきは柄の表面。平滑で剛毛が生えていない点をチェックです。


■ 2016年09月22日 撮影

次に胞子観察。子嚢胞子の形状を確認すると、細長い胞子が見えました。
良く見ると隔壁が7つあります。これでとりあえず正体はほぼ確定です。
紛らわしいのは本種を含めて4種。それぞれの特徴の組み合わせが有ります。

・テングノメシガイ・・・・・・・剛毛有り、隔壁15
・ナナフシテングノメシガイ・・・剛毛有り、隔壁7
・ジュズテングノメシガイ・・・・剛毛無し、隔壁7
・テングノハナヤスリ・・・・・・剛毛無し、隔壁15

そう、これ実はマルバツの組み合わせで同定が可能になっているのです。
この場合は剛毛無しの隔壁7のためジュズテングノメシガイとなります。


■ 2016年09月22日 撮影

もう一つ、子嚢菌類を同定する上で重要となるのが側糸の形状です。
確認すると子嚢の周囲に見える側糸の先端が丸く膨らんでいますよね?
これが数珠に見えるのでジュズテングノメシガイの名前が付いたのです。
隔壁が7つと言う特徴はナナフシテングノメシガイに取られちゃってますし。

食毒不明ですが毒は無さそう。小型で土臭いので食用価値無しでしょう。
食えたとしてもこの色は食欲沸きません。ひじきに見えなくもないけど。

■ 2017年08月11日 撮影

毎年同じ場所に群生するので探すまでもないジュズさん。とても助かります。
まぁ顕微鏡観察していないので今回も同じって保証は無いんですけどねー!
近縁種もそうですが、本種は古くなるとカビ?にやられて白っぽくなります。

■ 2017年08月11日 撮影

良い感じにまとまって生えていたので撮影。TOPに差し替えても良い感じ。
にしてもこのマットブラックの光の反射しなさは撮影者泣かせですわ・・・。
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