■Gibellula dimorpha (ギベルラ ディモルファ)

■ 2016年11月03日 撮影

タイワンアリタケ発見の直後。同じ沢筋のアオキの葉裏にて発見しました。 小型のクモから発生したトルビエラ型の冬虫夏草。かなり小さいですね。 実は夕方で暗く撮影のみ済ませたため、発見当時は子嚢殻に気付いていませんでした。

発見時は「G. pulchra」だと思っていたのですが、違うみたいです。 プルクラに似た分生子柄束を作るクモ生種は多く、同定は極めて困難です。 また今回新分類でテレオモルフもGibellula属に統一されています。 当サイトでは和名が異なるテレオモルフとアナモルフは同一ページ内で分けているのですが、今回は同時発生のためまとめています。


■ 2016年11月03日 撮影

テレオモルフだと気付いたのは帰宅後にマクロレンズで覗いた時でした。 プルクラ型の分生子柄束の下に黄橙色の子嚢殻が有るじゃないですか! 完全にアナモルフ菌類だとばかり思っていたので部屋で叫びましたよ。 分生子柄束は棒状で、表面にプルクラ型の分生子柄を形成します。 分生子柄束の先端部が黄色を帯び、シンネマが形成されないのがポイントです。 分生子の形状に特徴があるのですが、この頃持っていた顕微鏡では力不足であり、残念ながら観察できませんでした。


■ 2016年11月03日 撮影

子嚢殻は黄橙色で基部は菌糸に覆われてるクモ生らしい外見です。 流石にもう時期外れだったのか、子嚢殻は萎んで胞子が飛んだ後かな?


■ 2018年08月17日 撮影

約2年後・・・標本を再度引っ張り出してみました。そう、新しくなった顕微鏡でリベンジです。 まずは分生子柄をば。切り出しです。輪生したフィアライドが分生子柄の長さのワリに小さいのが特徴です。


■ 2018年08月17日 撮影

フィアライド(分生子形成細胞)を拡大してみました。綺麗な輪生で花火のように見えます。 この表面に分生子が形成されますが、その形状がポイントです。


■ 2018年08月17日 撮影

流石に2年近く経っているので少し萎んでいるように見えますが、分生子はちゃんと残っていました。 注目すべきは分生子の両端が尖って銀杏のような形状をしていることです。 これが本種の特徴です。分生子柄の長さとフィアライドのサイズ的にも本種と判断しました。

マクロレンズで撮ってるので大きく見えますが、分生子柄束の高さは2mm。 食毒不明では有りますが、流石に食用価値も薬用価値も無いでしょう。 ただ小さくとも姿は美しく、観賞価値が非常に高い冬虫夏草ですよ。
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