■Gyromitra gigas (オオシャグマタケ)

■ 2019年04月06日 撮影

アメジストの詐欺師氏とのアネモネタマチャワンタケオフにて予期せぬ出会いを果たしました。 春に針葉樹林の雪解け直後の斜面に発生していた「大赭熊茸」です。 別名は「ホソヒダシャグマアミガサタケ」。 その名と外見からも分かるようにあのシャグマアミガサタケに近縁な種です。 自分もアメさんも初見だったので、本来の目的以上に大興奮してしまいました。

仮同定です。と言うのも典型的なオオシャグマタケと思えないフシがあります。 この数日後に同種と思われるものをアメジストの詐欺師氏が別のフィールドで発見。 その結果本種のシノニムとされる「G. montana」の可能性が浮上。 本来の「G. gigas」は平らな林床に発生し、大型化します。 しかし森の端の斜面に発生すると言う特徴は「G. montana」の特徴とされています。 また自分は胞子サイズが図れませんでしたが、これも典型的ではない模様。 そもそも本種には複数種含まれている可能性があり、あくまで「仮」扱いとします。


■ 2019年04月06日 撮影

子実体は有柄傘状で、傘は表面に大きなシワを持ち黄褐色であまり赤みはありません。 ただシャグマのように丸みがあるとは限らず、縁部が確認できる子実体も多いです。 柄は淡黄色で傘の大きさのワリには太いです。


■ 2019年04月06日 撮影

傘はこんな感じで大きく波打っている感じです。傘の大きさは4cmほど。 典型的な本種とされるものとしては小型で色が淡いように思われます。


■ 2019年04月06日 撮影

真っ二つに割ってみました。基部を見るに材上生ではなく地上生ですね。 柄は円筒形ですが不規則な形状で詰まっている部分もあります。 肉は白色でやや透明感があります。香りはアミガサ系に近いですね。


■ 2019年04月07日 撮影

2人で半分に分けて持ち帰り観察しました。


■ 2019年04月07日 撮影

子実層面を観察してみましたが、残念ながら未成熟で子嚢が確認できませんでした。 とりあえず側糸は糸状で隔壁があり、内部に黄褐色の内包物が広い範囲に見られます。 これだと判断基準にならないため少し追培養してみました。


■ 2019年04月23日 撮影

かなり長期間追培養したのですが、結局胞子が成熟する前に子実体が腐ってしまいました。 限界だと判断してこの段階で子実層面を観察した結果、辛うじて未熟な胞子が見られました。 とりあえず子嚢胞子は楕円形で、成熟すると両端に突起ができます。 ここまでの情報ではオオシャグマタケとするしかないと判断しました。

シャグマアミガサタケに近縁な種であり、猛毒と考えて良いと思われます。 ネットで海外サイトなどを見た感じだとシャグマ同様に加熱して食しているみたいですね。 となると加熱不十分でも中毒するってあたりも同様でしょう。いずれにせよ気を付けましょう。

■ 2019年04月06日 撮影

奥に生えていたシャグマっぽい外見の子実体。これも4cm程度とかなり小型です。 この他に少し離れた斜面で2個体発見しましたが、どれも小型で老菌でも赤みはありませんでした。 ただ学名で調べると本種の名で同じタイプが沢山掲載されているので便乗しときましょう。
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