■Hericium abietis (サンゴハリタケモドキ)

■ 2016年09月25日 撮影

亜高山帯の針葉樹の枯木等に発生する紛らわしい種「珊瑚針茸擬」です。 スーパーでもたまに見かけるヤマブシタケに近い種とされる、ユニークなキノコ。 その名の通り傘を形成せず、珊瑚のように枝分かれを作り、針を垂らします。 Twitterにて指摘して頂き、やっと正しい名前での掲載をする事ができました。

当初はサンゴハリタケ(H. coralloides)だと思っていた白いモサモサしたキノコ。 しかしブナに生えるはずの本種がウラジロモミの立ち枯れから出ていました。 ネット上では本種を無印と誤って判断しているものが多く見られます。


■ 2016年09月25日 撮影

拡大してみました。肉は白色でやや肌色を帯び、無数の針を垂らしています。 この針は普通のキノコで言う「ひだ」の部分。この表面で胞子が形成されます。 見た目に軟らかそうですが、意外と弾力が有り、触ってもあまり変形しません。 癒し系のデザインなので、見付けると夢中で撮ってしまう・・・。萌えですね。 ブナ生のサンゴハリタケはより針が長く下に垂れる点で異なるようですね。

見ようによってはかなりキモい形状ですが、比較的美味な食菌です。マジです。 無印サンゴハリタケも同じで味も香りもクセが無く、茹でると弾力が出ます。

■ 2008年09月15日 撮影

初めて見たのは大台ヶ原のコイツ。確かにこの段階で針葉樹でしたね・・・。 ただこの子実体はやや小型。今回やっと大型のヤツと差し替えられました。

■ 2008年09月15日 撮影

若い内は肉色が結構主張しますね。光に透けるとホレこの通りです。 「珊瑚」とは良く言ったものですね。本当に木にサンゴが生えているかのようです。

■ 2015年09月19日 撮影

ガガンボさんとの大台ヶ原散策は大不作。でも最後に出迎えが有りました。 残念ながら遊歩道から遠いので望遠で我慢。肉眼では観察できませんでした。 この時やっとウラジロモミから出ている事に気付き違和感を覚えました。 その後帰宅して過去の写真を確認、針葉樹生だと言う事が判明した次第です。

■ 2016年09月25日 撮影

登山道中に発見した小さ目の子実体。折れた幹の断面から出ていました。 この時はスルーして先に進みましたが、コイツがその後でドラマを生みます。


■ 2016年09月25日 撮影

実はこの子実体、下山時には完全消失。そうハンターに狩られたんです。 しかしコレに気を取られてページ最初の大型子実体を見逃していたのです。 コイツが居なければ立派な姿を拝む事ができなかったのです。ありがとう! 同行のもろぞーさんやガガンボさんと「ガーディアン」と呼んで惜しみました。

■ 2016年09月25日 撮影

本種が写真映えするのはコケの緑と子実体の白のコントラストが理由でしょう。 明るい色の少ない亜高山帯針葉樹林でこの不自然な白は異様に目立ちます。 見付けやすいのですが、それ即ち見付かりやすい。狩人には要注意です。


■ 2016年09月25日 撮影

少し拡大してみました。ちょっと古いかな?


■ 2016年09月25日 撮影

もっと拡大してみました。やはり少し古いのか針が萎びた感じになっています。 この針表面に子実層が存在します。表面積を大きくする自然の知恵ですね。 本種の子実体は傘の無いハリタケ型の子実体が複数出来ていると言う感じ。

■ 2018年10月07日 撮影

大台ヶ原の登山道の途中、立ち枯れたウラジロモミの幹に発生を確認。 そう言えば2年前に同じ場所で見ている気がします。この近くにずっと居座っているのかな?


■ 2018年10月07日 撮影

拡大してみましたが、あまりサンゴっぽくないです。 どうも状態が良くないようで、綺麗に成長できずに傷み始めているように見えます。

■ 2018年10月07日 撮影

やはり綺麗な子実体が見たい!と言うことで気を取り直して登山道を進むと、ありました! 遠くから見ても分かる子実体の美しさ。やっぱこの姿を見なきゃ始まりませんね。 暗色の多い亜高山帯針葉樹林でこの鮮やかな白さは実に目に付きます。


■ 2018年10月07日 撮影

サービスで超拡大!いかにもモドキって感じのこじんまりと纏まった分岐の仕方です。 サンゴハリタケがもっと広範囲に広がるのに対し、本種はやはりサンゴハリタケとヤマブシタケを足して2で割った形状ですね。 非常に良い被写体だったので登山客を尻目に撮りまくりましたよ。 複雑な形状のキノコは撮ってて楽しいですからね。
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