■Hypomyces hyalinus (タケリタケキン)

■ 2018年10月08日 撮影

ネットでは超有名チン・・・じゃなくて菌ですよねコイツ。 伏せずに書きますが、形状が勃起した男性器にしか見えない「猛茸菌」です。 キノコチ○コネタの際は大抵本種とスッポンタケが槍玉に挙げられます。 ただし「タケリタケ」と呼ばれるものの多くは総称であって個別の名ではありません。 他にもベニタケ科菌やイグチ科菌に発生するものも存在します。 ここではあくまでもテングタケ属の子実体に寄生する赤褐色のヒポミケスとしての掲載です。

間違われがちですが、テングタケ属菌の仲間の表面を覆っているのが本体。 感染したテングタケ属菌は成長が阻害されてこのような奇形になります。 最初は白色の薄い菌糸に覆われていますが、成熟するとこの色に変化します。


■ 2018年10月08日 撮影

実は今まで何度か見ていたのですが、理想的なコンディションのモノには出会っていませんでした。 今回は昨年同じ場所で見ていたので発生を予測し、それが的中した形となりました。やったぜ! 恐らく宿主はコテングタケモドキと思われます。


■ 2018年10月08日 撮影

一見すると全体が褐色のキノコに見えますが、拡大してみると少し違うようです。 表面はまるでラメでも散りばめたかのようにキラキラしています。


■ 2018年10月08日 撮影

そう、これ実は全て子嚢殻なんです。 本種はテングタケ属菌に感染すると、まず子実体全体にスービクルと言う白い菌糸を張り、宿主を奇形にしてしまいます。 その後スービクル表面に茶褐色の子嚢殻を密生させ、全体が見慣れたこの色になるのです。 白い粒は子嚢殻の先端から吹き出した子嚢胞子です。冬虫夏草好きには結構タマラナイ光景です。


■ 2018年10月13日 撮影

8日は同行者が多くてそれに気を取られ、標本採取を完全に忘れていました。 ここまでの道が地味にキツいのですが、顕微鏡観察したさにリベンジしました。 観察しているのは同一個体ですが、日付がズレているのはそのためです。メッチャ疲れました。

まずは表層を剥いで低倍率で観察です。下方に見えるのは宿主のテングタケ属菌の組織。 その表面にスービクルに埋もれた本種の子嚢殻が見られます。


■ 2018年10月13日 撮影

子嚢殻のサイズは400μmほどの壷形で図鑑の記載通りの外見です。 カミソリで切断したので子嚢が漏れ出しちゃいました。 子嚢殻自体がかなり頑丈なので鋭利な刃で切るとスパッと綺麗に切れますね。


■ 2018年10月13日 撮影

漏れ出した子嚢も観察してみました。 この段階からすでに本属菌らしい子嚢胞子の形状が確認できます。


■ 2018年10月13日 撮影

子嚢胞子を観察してみました。もう少し拡大しましょうかね。


■ 2018年10月13日 撮影

子嚢胞子は紡錘形で2細胞性。長さは22〜24μmくらいでしょうか。 表面は凹凸に覆われ、両端には突起が存在するのが分かります。 また2細胞性ですが片方の細胞が顕著に大きいために隔壁が偏った位置に見られます。

タケリタケ自体は食毒不明ですが、本種は決して食べてはいけません。 と言うのも本種はテングタケ属菌なら見境無く発生することが知られています。 よって宿主が食菌ならば大丈夫ですが、猛毒菌の可能性も有ると言うワケ。 まぁ仮に食菌でもカビが生えたキノコみたいなものですし、食べちゃダメです。 海外だとタケリったベニタケが食材になってますけど。

■ 2015年08月02日 撮影

虫草祭にて期せずして出会えました。何気に典型的なタケリタケキンを見たのはこの時が初めて。 冬虫夏草がメインの場でしたが、個人的には地味に嬉しかったですね。


■ 2015年08月02日 撮影

いわゆる「亀頭」部分を拡大してみると子嚢殻で表面がザラついているのが分かります。 意外と子嚢殻が細かいのでルーペやマクロレンズで観察しないと分からないんですよね。


■ 2015年08月02日 撮影

マクロレンズで拡大してみると子嚢殻がハッキリ分かります。 本種の子嚢殻は順調に成長するとほとんど隙間がないのであまり見慣れない雰囲気になるんですよね。 子嚢殻の密度が低い場所だとヒポミケスだな〜って思えるんですけど。

■ 2017年08月11日 撮影

ずっと長距離遠征時にしか見ていなかったタケリさん、まさかの地元発見。 卑猥なネタにばっか使われてますけど、何だかんだで出会うと嬉しいですよ。 そしてこの発見を元に翌年2018年に良い子実体に出会えました。


■ 2017年08月11日 撮影

表面に赤い子嚢殻が形成されていますが内部の白い本体も見えていますね。 周囲に生えていたAmanitaと同じと考えるならばコテングタケモドキかな?


■ 2017年08月11日 撮影

押し倒して子嚢殻が確認しやすい場所を探してみると、側面が良い感じでした。 宿主表面を覆うスービクル上に特徴的な子嚢殻が覆っているのが確認できます。 子嚢殻の密度が低い部位だと子嚢殻一粒一粒がハッキリ見えるので・・・好き。
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