■Inocybe aureostipes (カバイロトマヤタケ)

■ 2017年09月16日 撮影

富士山で他のキノコを撮影していた時に足元に見慣れないキノコが出ているのを発見しました。 でも見慣れてないのに皆口を揃えて本種の名前を挙げたのが面白かったです。 恐らくそれは「増補改訂版 日本のきのこ」図鑑の影響ではないでしょうか? 増補版にて巻末新規収録種に載りました新人さんの「樺色苫屋茸」です。 とは言え以前から針葉広葉両樹林地上にて存在は知られていたみたいですね。

本種は菌類学者である故小林義雄氏由来の標本に基づき新種登録されました。 なので本種の命名者名には「Kobayasi」の文字が記されているんですよ。 ちなみに種小名は「黄金色の柄の」と言う意味で、恐らく柄の変色性を示しているのかと。


■ 2017年09月16日 撮影

傘は和名の通りの樺色で、トマヤタケの仲間らしい三角錐の傘の持ち主です。 表面は繊維状で傘が開くにつれて放射状に裂けます。てかすでに裂け始めてますね。 個人的な感想ですが、とても落ち着く自然な色合いで好きになっちゃいました。


■ 2017年09月16日 撮影

ひだは柄に対し上生し、若い内は白色ですが成熟すると灰褐色に変化します。 柄は地上部は黄褐色ですが、地面に埋もれている基部は白色となります。 この角度から見るとアセタケ属菌だと言うのが良く分かりますね。 種小名ですが、本種の柄は5%KOH水溶液で黄変するのが由来っぽいですね。

現状は食毒不明ですが、属が属だけに食べないほうが良いでしょうね。 本属菌にはその名の通り神経に作用するムスカリンを含む種が多いので。

■ 2017年09月16日 撮影

幼菌は傘がほとんど裂けておらず均一な樺色の傘をしていて可愛らしいです。 際立った特徴は無いですが「キノコキノコしてる」って言う感覚、分かって欲しいですねぇ。

■ 2020年09月20日 撮影

3年後のほぼ同じ時期に同じ場所で発見しました。 以前はやや若い子実体だったので傘の表面は裂けていませんでしたが、今回はアセタケ属っぽい裂け方ですね。 いまだこの場所ピンポイントでしか見ていません。地味にレアいのかなぁ。
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