■Inocybe calamistrata (アオアシアセタケ)

■ 2021年07月10日 撮影

図鑑で存在は知っていましたが、そこまで特徴は無いんじゃないかと思っていました。 私が間違っていました。メチャクチャ和名通りの外見でしたね。 夏から秋にかけて各種林内地上に発生するアセタケ属の「青脚汗茸」です。 もうそのまんまの和名ですが脚が青いアセタケです。そうとしか言えませんので。 ちなみに種小名は「縮れ毛の」と言う意味です。

図鑑だと亜高山帯針葉樹林と書かれているものもありますが、環境は様々なようです。 褐色で傘にササクレを持つ似た雰囲気のアセタケ属菌は多いですが、本種は柄を見ればイッパツで分かります。 図鑑では写真の加減で特徴が確認しづらかったので、実際に見て驚きましたね。


■ 2021年07月10日 撮影

傘は全体的に褐色で表面は逆毛状小鱗片に覆われています。 傘はアセタケ属らしく最初鐘型で、最終的には中高の平らに開きます。 ただこのような外見のアセタケ属菌はクロトマヤタケやらコブアセタケやら結構居ます。


■ 2021年07月10日 撮影

でも引っこ抜いた瞬間に本種だと確信しました。だって柄が青いんですもん。 図鑑の写真では青さが分かりづらかったので、ここまで青いと言う印象がありませんでした。


■ 2021年07月10日 撮影

拡大してみました。柄は細いですが頑丈で、上方は褐色で傘と同じ色合いです。 表面は傘同様に逆毛状鱗片に覆われていますが、鱗片が長くて確かに「縮れ毛」に見えますね。 和名にもあるように下方は青色を帯びていますが、変色ではなく元々こう言う色合いです。 コレ、かなり衝撃的な特徴なのですが、意外にも学名には反映されてないんですね。


■ 2021年07月10日 撮影

裏側です。ひだは直生〜上生で淡褐色です。 ひだの縁部が若干粉状なので明るい色で縁取られたように見えます。 あと手に持っていて傷みが進んだキノコのような臭気を感じました。 その時は気になりませんでしたが、肉に異臭があるとのことで、コレだったのかも知れません。


■ 2021年07月10日 撮影

帰宅後に顕微鏡観察してみました。 後になって知りましたが、Inocybe属は複数の属に分ける提案が出されているようです。 シスチジアの違いなどで分かれるようですが、現状情報不足なのでこの属名のまま載せることとします。


■ 2021年07月10日 撮影

担子胞子は楕円形〜長楕円形で褐色。内部に油球や均等な内包物が見られます。 本種は平滑な胞子を持つイノスペルマ亜属ですので、つるんとした見た目の胞子を作ります。

褐色でササクレだらけのアセタケは基本的に有毒と考えておくのが無難でしょう。 「汗」の名の通りムスカリンを含む種が多く、 本種もそれに漏れずに発汗や呼吸困難などの神経系の中毒症状を引き起こします。 香りも良くないですし、見た目も良いとはお世辞にも言えませんので、食べないで下さいね。

■ 2021年07月10日 撮影

探してみると周囲の斜面に多数発見!ここでは安定して広範囲に発生しているようです。 こうして柄の基部が埋もれていると特徴が見えないので普通のアセタケに見えます。

■ 2021年07月10日 撮影

この場所は以前から何度も訪れていたハズなのですが、まさか今になって初見とは。 あと発生状況を見て気付きましたが、斜面を好む傾向があるように感じました。 にしても元々土色だから泥ハネで汚れてしまうと汚さ倍増ですね。

■ 2021年06月24日 撮影

昨年と同じ場所に発生していました。子実体の数も多く、結構安定して出るっぽいですね。 青い部分は結構埋もれていることが多いんですが、それでも少し青っぽさは見えてるかな?
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