■Kobayashia nipponica (シラタマタケ)

■ 2021年08月28日 撮影

初発見はまだキノコ趣味を始めて間も無い2006年。整備された里山で出会いました。 その後長らく出会う機会が無かったですが、2020年になって地元で念願の再会! しかしその時は諸事情で採取せず、地元の別フィールドでやっとしっかり観察できました。 夏から秋にかけて各種林内地上に発生する「白玉茸」です。 通常はマツ林に発生するとされていますが、マツ林で見たこと無いんですよね。 何ででしょう。ぶっちゃけ色々とグロいキノコですよね。

最近では地下生菌と言う扱いでそのテの図鑑にも載っています。 これでもスッポンタケやキヌガサタケに近縁な種です。 と言っても共通なのはスッポンタケ目までで、科の時点で本種はプロトファルス科です。


■ 2021年08月28日 撮影

表面は和名にもあるように汚れた白色で、基本的には球形ですが形状は不規則です。 表面には細かな亀裂が入ることもありますが、通常はヒビ無しでデコボコしています。 美味しそうな響きの和名のワリには何かあんま食欲湧きませんね・・・。 何か赤黒い部分が出来るんですよね。擦り剥いて時間がたった膝の怪我みたいで痛々しいです。


■ 2021年08月28日 撮影

本種があまり触りたくない理由はコチラ。本種を真っ二つに割ってみました。 あー久々に見たくもあったんですが、割った後のカッターナイフはもう触りたくないですね。うげぇ〜!


■ 2021年08月28日 撮影

本種のグレバは灰緑色で複雑に折り畳まれており、隙間は寒天物質で満たされています。 この見た目がもう非常にグロいんですよね。しかも白い筋のようなものまで走っています。 そしてグレバは成熟すると自ら溶け出して胞子を拡散するのです。もう最高にグロいんですよ。 半熟の子実体を触ろうものならその感触はもうトラウマもの。 なお本種は特殊な香りでスズメバチを利用して胞子拡散を手伝わせていることが分かっています。


■ 2021年08月28日 撮影

ずっとやりたかったのが本種のグレバの顕微鏡観察です。 発見当時は地下生菌に興味が無く、胞子を見ようなんて思いもしませんでした。 せっかく出会った2020年も撮影に夢中で断面撮影も採取も忘れる始末。今回は同じ轍は踏まぬ! 顕微鏡を覗いて真っ先に見たのは見事な担子器たち! 本種が担子菌類であることが実感できます。


■ 2021年08月28日 撮影

地下生菌を始めた以上、どうしても見たかったのが本種の担子胞子です。 長さは4〜5mmと非常に小さい楕円形で、サイズ感だけならショウロなんかに似ています。 無色な上に極めて小さい胞子なので、見た目におおっと言う特徴は無いですね。 それを知れたことが大事なんですけど。

毒は無いでしょうが食不適です。仮に食えても俺は食いません。 不快な臭気は特に無いですが、もう見た目と指で触った感じから想像に難くないであろうその食感。 まだニガクリタケ噛んだほうが精神的ダメージは小さいんじゃないでしょうか。

■ 2006年10月22日 撮影

初めて発見した個体群です。旧TOP写真でした。 キノコ趣味を始めたのが2006年なので、実は最初期に発見していました。 当時は地下生菌も冬虫夏草も、それこそハラタケやらヒダナシタケもロクに知らなかった頃。 これが後になって「あの時知ってさえいれば」と悶々とすることになるわけでですが。


■ 2006年10月22日 撮影

高湿度の環境に発生しているとこんな感じで少し藻類が発生して緑色っぽい時があります。 白っぽい石が少し苔生すとこんな感じになるので、ヒビ割れも相まって本当に石にしか見えません。 初見時の自分も気持ち悪いなと感じたのは覚えています。


■ 2006年10月22日 撮影

はい、コチラはヒビ割れの無い綺麗な子実体です。こんな和菓子がありそうな気がしますね。 また指で押してみると程良くぶよぶよしているのが分かります。 スッポンタケの卵みたいな感じですが、ちょっと硬いかな?あと形がいびつ・・・。

■ 2006年09月22日 撮影

初発見はコレだったので感想は「何このグロいキノコ」でした。 いやいくら何でもこのヒビ割れの入り方は気持ち悪いでしょう。エイリアンの卵かよ。


■ 2006年09月22日 撮影

綺麗な子実体があったので、ここで中身の確認に挑みました。


■ 2006年09月22日 撮影

この頃はカッターナイフを持ち歩いていなかったので手で裂こうとしてビックリ。 何だこの気持ち悪い感触・・・明らかに嫌な感じがして最終的には靴で割りました。 熟すとこのグレバ自体が胞子を含んだまま液化して流れ出します。 これ実は伸長しないスッポンタケと考えて頂ければ良いと思います。 緑色の部分が胞子を含んだグレバ、その周囲に透明な寒天質、同じなんですよね。

■ 2006年09月22日 撮影

何か、ケガして放っておいたら膿んでしまった傷口みたいですね。 表皮がこのように破れて中から胞子入りゲルがゲロゲロと・・・。うわぁ。

■ 2011年09月11日 撮影

実に5年振りの掲載です。故意に載せてなかったってワケじゃないですよ? マジで出会わなかったのです。以前のフィールドは簡単に行けなくなりまして。 それが比較的近所で発生が確認できました。まぁキモいけど久々なので載せよっと。

■ 2020年07月23日 撮影

5年振りとか言ってる場合じゃなかった。マジで9年出会いませんでした。 もう存在すら忘れかけてましたが地元で出会って焦って断面撮り忘れました。 そう言えば最近になって本種の胞子散布にスズメバチが関与していることが分かってきました。 以前からスズメバチが本種を食べる様子が確認されており、胞子散布も確認できたようです。 スッポンタケなども胞子散布を昆虫に頼っていますし、そこは似ていたのですね。

■ 2021年08月28日 撮影

せっかく1年前に年街の再会を果たしたにも関わらず、断面も撮影せず、採取もせず。 理由は簡単で強烈な暑さと蚊の猛攻で集中力を切らし、 なおかつ次のフィールドにすぐ行かねばならなかったため、撮影してそのまま立ち去ってしまったのです。 今回は素晴らしい個体群に出会うことができ、ちゃんと撮影してTOP写真にすることができました。

■ 2021年08月28日 撮影

大きくなるとグロい外見になる本種ですが、幼菌の頃はキレイな白い菌塊です。 それこそイグチ目の地下生菌とかと雰囲気は似ています。デカいですが。

■ 2021年08月28日 撮影

マツの倒木を挟んで群生を作っていました。 このフィールドはマツが立ち枯れで壊滅しているので、周囲はブナ科広葉樹ばかりです。 マツの倒木はいまでもかなり残っているのですが、やっぱり出る環境はあまりアテになりませんね。
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