■Lachnum virgineum (シロヒナノチャワンタケ)

■ 2018年04月21日 撮影

最初に見た時は「何で低地にブナシロが?」と思いました。だって似てますし。 春に各種植物体から発生する極めて小型の子嚢菌類「白雛茶椀茸」です。 あまりにも小さいので手持ちのマクロレンズでも撮影は困難を極めました。

ブナノシロヒナノチャワンタケと外見的特徴はほぼほぼ同じ類似種です。 しかしブナシロはニセヒナノチャワンタケ属、本種はシロヒナノチャワンタケ属。 ただし外見が酷似した種が数多く存在し、本種もあくまで仮同定的な掲載です。 顕微鏡的には良さそうですが、本種にしては柄が長すぎる気もしますからね。


■ 2018年04月21日 撮影

子実体は長い柄を持つ椀状。子実層面がやや黄色を帯びる以外は白色。 外見はやはりブナシロそっくりですが、本種の大きさはその半分以下です。


■ 2018年04月21日 撮影

持ち帰って黒バック撮影してみました。何かの種子から発生しています。 Twitterでアレチヌスビトハギの種子ではないかと教えて頂きました。 この場所ではこの種子からのみ発生が確認。好き嫌いは有るようです。


■ 2018年04月21日 撮影

さらに拡大。柄は有りますがブナシロほどヒョロ長くはならない模様。 子嚢盤の外側が白色の微毛に覆われているのはブナシロと同じです。 にしても本当に小さい・・・流石に同種とは思えない体格差ですね。

ちなみに胞子と外側の毛は当時の顕微鏡では観察不可でしたね。

このサイズを食おうと言う猛者は流石に居ないでしょうが、一応食毒不明。 この手の子嚢菌類が猛毒とは思えないので食用価値無しが正しいかもですが。

■ 2018年04月21日 撮影

非常に小型のキノコではありますが、色が色だけにメチャクチャ目立ちます。 直径1mmの小さな椀でも白いと暗色の土壌の中でひときわ目立ちますからね。

■ 2018年05月05日 撮影

アメジストの詐欺師氏とのGWオフにて再度標本を採取し、再チャレンジです。 以前の顕微鏡ではボケボケブレブレの写真でしたが、今回はちゃんと観察できました。 それでも本種は観察すべき細胞が小さく、より上の倍率を開放すべきだったと感じます。 写真は子実層なのですが、子嚢も側糸も良く分かりません。


■ 2018年05月05日 撮影

ただ胞子は見れたので良かったです。子嚢胞子は長楕円形で内部に2つの油球を持ちます。 明らかにブナノシロヒナノチャワンタケよりも小型で別種だと言うのが分かります。


■ 2018年05月05日 撮影

メルツァー試薬で染色したのですが、子実層全体の写真では良く分かりませんでした。 なので子嚢を1つだけ切り出して撮影してみました。 子嚢自体が小型なので観察は困難ですが、子嚢の先端だけが青くなっており、図鑑通り頂孔アミロイドのようです。

■ 2018年05月05日 撮影

この日はもう一度何から出ているかを確認する目的も有りました。 ただ特異性が有るかどうかは謎です。一応マメ科植物の種子から出ているみたいですね。 何の種子かまでは特定できませんでした。ハギの仲間でしょうか?


■ 2018年05月05日 撮影

再度採取してみました。今回は種子の元の色合いが残っています。


■ 2018年05月05日 撮影

今回採取した理由は外側の毛を確認することでした。 本種はブナノシロヒナノチャワンタケとは異なり、外側の毛の先端まで顆粒に覆われると言う特徴が有ります。 ただこれが非常に小さく観察が困難なのがキツいですね。来年は油浸対物レンズで挑んでみましょう。 この状態でも何となくですが先端まで表面がデコボコしているのが分かります。
■図鑑TOPへ戻る