■Lactifluus ochrogalactus (ヒロハチャチチタケ)

■ 2023年10月14日 撮影

青fungi氏としんや氏と一緒に深山のミズナラ林を捜索中に見たことがあるようなチチタケを発見。 最初は普通に「これクロチチダマシだね」と言ってスルーしようとしたんですが、 あれ?クロチチダマシって梅雨時〜夏のキノコだよね?今バリバリなんですが・・・。 そして試しに引き抜いて傷付けた時に本種だと気付き大興奮しました。 秋にコナラやブナなどの広葉樹林地上に発生する「疎襞茶乳茸」です。 ずっと出会いたかった結構珍しいチチタケ属菌です。

我が国では唯一無二とも言える乳液の色を持つため、同定は比較的容易です。 クロチチタケに近縁とのことで、初見でクロチチダマシだと感じたのは間違いではなかった模様。 ちなみに種小名の「galactus」は「乳の」と言う意味。 では「ochro-」が何かと言うと、オーカー(黄土色)の語源でもあります。


■ 2023年10月14日 撮影

傘はビロード状汚黄褐色と表現されます。やや茶色よりの黄土色って感じですね。 傘の中央部はやや突出しており、遠目に見た時は普通にクロチチダマシだと思いました。 発生時期に違和感をおぼえて戻って正解だったと思いますね。


■ 2023年10月14日 撮影

何か変だなと思って引っこ抜いてみました。柄は傘と同色でこれまたクロチチダマシっぽいです。 ひだは柄に対してやや垂生し、クリーム色で結構疎。 そしてこの姿を見た時に「まさかアイツじゃね?」と思いました。 緊張しながらカッターナイフを取り出してひだを切ってみると・・・。


■ 2023年10月14日 撮影

この乳液の色が視界に入った瞬間に絶叫してましたね。 やっぱりそうだ!アイツだ!そうアイツ!えーっと・・・何だっけ? お恥ずかしながら私もその場に居合わせた青fungi氏も和名をド忘れ。 載ってる図鑑まで分かってるのに名前が出て来ない!結局後で調べましたよ。


■ 2023年10月14日 撮影

本種の乳液は切ったい瞬間から黄褐色なんです。 種小名にもなっている黄土色は256色で黄土色を表現すると「■ #bb8b38」になりますが、 まさにその色って感じですね。チチタケの仲間は独特な色の乳液を持つ種は居るには居ますが、 基本的には最初は白色で時間経過で変色するものばかり。 しかし本種の乳液は切った瞬間に茶色なので衝撃がハンパ無いですね。 後から合流したしんや氏も「ホンマやココアや!」と驚いておられました。


■ 2023年10月14日 撮影

これでは終わりません。本種の肉は傷付くと赤褐色になると言う性質があります。 本種は色にこれでもかと言うくらい個性があるので、観察していて本当に楽しかったです。 乳液には血液のような鉄の臭いがあると言われていますが、自分は今回感じられませんでした。

掲載されている図鑑自体がかなり少なく、食毒不明みたいですね。 チチタケ系に多い辛味は無いようですが、独特の不快な臭気を持ち、仮に無毒でも食不適の可能性大です。 以前ガガンボ氏が味見した際は「非常に生臭い」とコメントされています。
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