■Leotia chlorocephala (アオズキンタケ)

■ 2020年10月27日 撮影

久し振りに訪れた広葉樹林内を突っ切る渓谷。その遊歩道斜面に異様な緑色のキノコを発見。 すっごく自然な色合いなので遠目に見ているだけではまず気付けなかったでしょうね。 ズキンタケの色違いですが、全体的に色合いが異なる近縁種「青頭巾茸」です。 青や緑のキノコって結構目立つ種が多いんですが、コイツはマジで目立ちません。 ちなみに種小名は「chuloro-(緑色の)」「chephala(頭)」と言う意味ですが、ぶっちゃけ全体が緑色です。

ズキンタケやアカエノズキンタケに比べると比較的レア度が高いズキンタケでしょう。 今まで色んなフィールドを歩いていますが、2ヶ所でしか見たことありません。 ただレア度で言えば圧倒的にアカズキンタケに軍配が上がりますけど。


■ 2020年10月27日 撮影

子実層のある頭部は全体に不規則に歪んだ球形で緑色です。 柄は頭部より薄い色合いで表面には濃色の細かな顆粒が見られます。 上記特徴はズキンタケ系共通の特徴ですが、とにかく色が変なんですよね。


■ 2020年10月27日 撮影

ズキンタケ系はほぼ見ましたが、最もレアなアカズキンタケよりも色に違和感ありますね。 やはり青や緑のキノコってあまり多くないので「おっ」と思っちゃいます。 何かとろけてる・・・?


■ 2020年10月27日 撮影

以前発見した頃は顕微鏡観察できる環境を持っていなかったので、やっとリベンジ成功です。 子実体内部がゼラチン質なのでカミソリで薄く切ってもスライドガラスとカバーガラスに挟まれて滑って困りました。


■ 2020年10月27日 撮影

子実層を拡大してみました。色素は側糸先端に集中し、次点で子実層最下部に見られます。 この見た目はズキンタケに良く似ています。


■ 2020年10月27日 撮影

子嚢と側糸を綺麗に切り出すことができたので並べてみました。 子嚢は100μm〜140μmで、子嚢胞子は最初1列に並んでいますが最終的には先端に詰まります。 側糸は隔壁と分岐あり。 ズキンタケに比べると太めで分岐が頻繁に起こり、全体的に少しうねっているように見えます。


■ 2020年10月27日 撮影

子嚢胞子を油浸対物レンズで撮影してみました。 ラグビーボールを引き伸ばしたような長い紡錘形で、大きな4個の油球を内包するものが多いです。 ちなみにこれズキンタケの胞子と比べると、見た目もサイズもほとんど同じです。本当に色が違うだけって感じですね。


■ 2020年10月27日 撮影

ズキンタケ属の子嚢は非アミロイドなので、どれもメルツァー試薬で青く染まりません。

食毒不明なのですが、そもそも色合い的に食いたくないです・・・絶対に。 ズキンタケ一族はどれも食用に適しているものは居ないでしょうし、無毒でも食用価値は無いでしょう。 そもそも結構珍しくて写真の撮り甲斐があるので、専ら観賞用みたいなものでしょう。

■ 2014年09月06日 撮影

初発見は地元の自然公園でした。にしても凄まじい自然の迷彩色ですねコレ。 別のキノコに気付いてしゃがまなければ気付かなかったであろう自然な緑。 これ分かってるから良いけど、初見で気付くのは結構ハードル高いです。

■ 2014年09月06日 撮影

頭部と柄の色に大差無い子実体。本種は成熟度合いによって子実体ごとの色の差が大きいですね。 奥の群生は老成して溶けたのか濃色になってトロトロ。 似たような色変化がズキンタケやアカエノズキンタケでも見られます。もう少し早く見たかった。

■ 2017年10月01日 撮影

池の畔の遊歩道、3年振りに同じ場所で出会えました。前回よりはちょっと数が少ないですが。 ただ前回は縦構図の写真を撮り忘れたので、TOP写真用に撮り直し成功です。


■ 2017年10月01日 撮影

和名に「青」と入っていますが、どう見ても緑なんですよね。 でも日本人は緑色を青と表現するのが好きですもんね。 緑色のアイタケとか、緑色の青信号とか。 しかしこの色合いはズキンタケを見慣れていると凄い違和感がありますね。
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