■Leucoagaricus fusciceps (クロヒメカラカサタケ)

■ 2020年07月12日 撮影

いつも冬虫夏草を観察しているフィールドでやたらと小さいカラカサタケ系キノコを発見。 今まであまり出会ったことの無いタイプですが、図鑑で見た覚えがありました。 夏から秋にかけて腐木やその周囲の地上に発生する「黒姫唐傘茸」です。 この場所はほぼ完全なヒノキ純林なので、生態的にも菌根菌ではなく腐生菌のようですね。 似た種にナカグロヒメカラカサタケが存在しますが、コチラは傘の鱗片がやや紫色っぽいのが特徴です。

以前はキツネノカラカサ属となっていましたが再検討となり、シロカラカサタケ属となったようです。 同属としてはアカキツネガサなどが該当し、確かにキツネノカラカサよりはこっち寄りな気はします。


■ 2020年07月12日 撮影

子実体の形状はいかにもカラカサタケ系だなって感じです。 驚くべきはサイズで、傘の直径が1cmくらいしかありません。 周囲のヒノキの落葉を見ればいかに小さいかが分かるかと。


■ 2020年07月12日 撮影

傘は白色の下地に暗灰褐色の鱗片で覆われています。 幼菌の頃は傘全体に見られますが、傘が開くとともに周辺部はまばらになって白い下地が見えます。 傘は非常に薄く、傘周辺部は濡れてもいないのに透けて見えそうです。


■ 2020年07月12日 撮影

細いよ!あまりにも細いので手で抜くのは断念。 冬虫夏草探しに来ていたのが幸いし、ピンセットで引き抜きました。


■ 2020年07月12日 撮影

ひだは白色で柄に対して離生します。 注目すべきは柄の途中に残る膜質のつばで、つばが褐色に縁取られるのが特徴です。 ここまで確認できれば本種と言って問題無いかな。

食毒不明ではあるのですが、同属菌や以前同属とされていた菌に有毒種が多いので注意が必要です。 ただ本種は極めて小型の上に発生量も多くないので、仮に有毒でも中毒の危険性は低いかも知れません。
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