★Leucocoprinus fragilissimus (キツネノハナガサ)

■ 2020年07月05日 撮影

長らく良い写真が無く、擬人化図鑑に使用した写真も満足できていませんでした。 弱々しさと可憐さを持ち合わせた、とても美しい熱帯性キノコ。 夏から秋にかけて各種林内地上に発生する和名「狐花笠」です。 この和名は本種の特徴を的確に捉えており、個人的に大好きだったりしますね。 「最も儚いキノコ」と言って過言ではないと思っています。

恐ろしい脆さを持つキノコです。指で突いたり風が吹いたりするだけで折れます。 その子実体を維持するために水分条件すらもシビア。 ベストコンディションは降雨後の短期間だと思われます。 雨を受けて一気に成長し、すぐに萎れてしまう、あまりにも儚い・・・。


■ 2020年07月05日 撮影

傘には放射状の条線があり、表面はまるで扇を広げたように見えます。 傘は光が透けるほど薄く、まるで和紙で出来ているかのようです。 また傘の峰の部分、傘の中央付近と条線の峰にレモン色の粉を付着させるのが特徴です。 これは幼菌を見ればその理由が分かります。


■ 2020年07月05日 撮影

柄は淡いレモン色の少鱗片に覆われ、何と中空です。 しかもこの柄、中身はほぼ空洞で立っているのが奇跡としか言えないほどの脆さです。 裏側を見ようと指でつまむとそこが潰れ、もう自立できなくなります。 もはや肉抜きしすぎて軽い衝撃で砕け散るミニ四駆と言った感じ。 ちなみにこんな外見ですがハラタケ科ですので膜質のつばがちゃんとあります。


■ 2020年07月05日 撮影

裏側はこんな感じ。うんすっごく薄いよ!透けてますぜ。 引っこ抜けないのでこのまま撮影。

食用価値無しです。まぁこれは何となく分かりますけどね。 と言うかこんな可憐なキノコは食ってやるな。そっとしておいてやれ。 引っこ抜くのが可哀想だから這いつくばって裏側撮ったんだから。 仮に煮ようものなら跡形もなく崩壊するでしょうね。

■ 2007年07月13日 撮影

少し前に見付けていたんですが、幼菌だったので掲載を見送りました。 と言うか見覚えの有る色と形。そう、コガネキヌカラカサタケに似てるんです。 それも当然、両者は近縁種であり、黄色の小鱗片も共通なんですよね。 この微粉は風雨によって徐々に剥がれ落ち、成長とともに色が薄くなります。 傘の中央と条線の峰に残っていた黄色い粉はこの状態から傘が開いたことで取り残された、と言うワケ。

■ 2007年09月17日 撮影

平日でも登山者がいる地元の登山道。当然ゴミも多く捨てられています。 これがなければこの写真も自然の中の1コマなんですけどね。残念です。 この子実体はもうベストコンディションを過ぎ、傘の周辺が萎れ始めています。

■ 2020年07月05日 撮影

不思議と綺麗な子実体に出会えず、ワリと悶々としていました。 しかし2020年、セミタケ探しに訪れたフィールドで大発生に遭遇。 雨の翌日で最も状態の良いものに多く出会えたので、この機に乗じて撮りまくり。


■ 2020年07月05日 撮影

もはやガラス細工。この儚さは傘の薄いヒトヨタケ系とはまた違った質感な気がします。 この傘の中央と条線上に残るレモン色の粉が良いコントラスト出してるんですよね。 傘自体が扇状に波打っているのもポイント高いですよね。


■ 2020年07月05日 撮影

一応裏側の写真を撮ろうと引っこ抜いて・・・みたかったんですけどね。 指でつまんだ瞬間に柄がふにっと潰れて折れました。 しかも抜いて地面に置いている間にどんどん萎れてゆくので焦りました。 いったいどんなバランスで水が巡ってるんだオマエは! 良く見ると基部が膨らむんですね。確かにキヌカラカサタケ属っぽいわ。


■ 2020年07月05日 撮影

裏側を綺麗に撮りたかったんですが、裏返して置こうにも折れた柄が倒れてくるし! しかも起き直すたびに傘がどんどん崩壊し、何とか撮れたのがこの写真。 他の写真でわざわざ抜かずに地面に這いつくばって撮影している理由がお分かり頂けるかと。

■ 2020年07月05日 撮影

ちょうど斜面に出てくれていたので裏側が撮りやすくて助かりました。 柄に残る膜質のつばは近縁なハラタケ科菌と同じで可動性or早落性です。 この子実体では脱落して無くなっていました。

■ 2020年07月05日 撮影

コレ実は同日に別口で同じフィールドを回っていたgajin氏も見て驚いていました。 後ろのベニタケ科菌と比べると分かりますが、このキツネノハナガサ、バケモノ級の大きさです。 傘の直径が5cm超え、高さ15cm超えと言うとんでもないサイズ! 図鑑でも高さは最大8cmとされており、その倍近い大きさでした。
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