■Melampsorella caryophyllacearum (ウラジロモミ天狗巣病菌)

■ 2023年06月25日 撮影

この日はgajin氏、M氏、すず姉氏、しんや氏と一緒にクサギムシタケの発生状況調査へ。 しかしシカの食害が酷く、クサギそのものが消失し、悲しい調査結果となりました。 そんな中で出会った不思議な物体。今思うとこの日見たものの中でもかなり珍しかったかも? 頭上を見上げた時に違和感。ズーム撮影して本種であると確信しました。 モミ類に感染する植物寄生菌類の「ウラジロモミ天狗巣病菌」です。 モミが少ない私の地域では相当発生が少ないと思われます。 なおウラジロモミだけではなく、普通のモミシラベなどにも発生します。

あとドラマ「らんまん」の影響でTwitterでバズりました。

天狗巣病は様々な植物に発生しますが、基本的には脇芽の成長を促すサイトカイニンの増加が原因です。 海外では天狗巣病の類は「魔女のほうき(witch's broom)」と呼ばれます。 日本ではサクラ天狗巣病菌が有名ですが、英語圏にはサクラは元々存在しないので、 モミ類に発生する本種が真の意味での「魔女のほうき」なのではないかと思います。


■ 2023年06月25日 撮影

モミの大木が立ち並ぶ林内で頭上に巨大な影を発見。直径は1m以上はありそうです。 最初は大型の猛禽類の巣かと思ったのですが、枝の広がり方に違和感をおぼました。 そしてズームレンズで撮影してやっと本種と言う確信を得た感じです。 本種はこんな見た目ですが異種寄生性のサビキン目であり、 ホストはモミ類とミミナグサやハコベなどのナデシコ科植物です。 さび胞子堆を見てみたいですが、高すぎてとてもじゃないけどムリですね・・・。


■ 2023年06月25日 撮影

「鳥の巣じゃね?」って思われそうなので色調補正をかけてみました。 こうして見ると枝が分岐している様子が良く分かります。 さび胞子堆を作る葉を増やすために枝分かれを起こす、良く考えられていますね。

植物寄生菌類ですので食用も何もあったもんじゃありません。強いて言うなら食用価値無し。 特に利用価値も無く、また多発もしないみたいなので樹木に対してもそこまで有害ではなさそうです。 また本種の病徴部は大型化するので、本当に大型の鳥が営巣することもあるそうです。 となると安定した巣が作れるでしょうし、意外と自然界で役立ってるのかも知れませんね。
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