★Morchella conica (トガリアミガサタケ)

■ 2012年04月21日 撮影

普通のアミガサタケとシャグマアミガサタケには出会えてたんですよね。 「春のアミガサトリオ」で唯一見れていなかった「尖網笠茸」にやっと出会えました。 サクラやイチョウの樹下に発生すると言われ、菌根菌とも腐生菌とも思える生態を持ちます。 この場所はサクラの樹下。今まで何度探しても出会えなかったので嬉しかったです。 他のアミガサタケより遥かに暗色であり、「ブラックモレル」とも言われます。 実は初見ではなかったんですが、諸事情でこの写真をTOPに。理由は後述。

ブラックと称されるものの中には複数種存在していると考えられています。 国内でも焚き火跡に出るアミガサタケ属の別菌が黒っぽくなるのを確認しています。 また海外では「M. elata」と区別していない図鑑もあります。 オオトガリアミガサタケってヤツですね。


■ 2012年04月21日 撮影

傘部分です。全体的に褐色で縦方向の網目が発達しているのが特徴です。 「トガリ」の名に相応しく頭部が円錐形ですが、個体差がかなり有ります。 また網目の盛り上がり部分(稜)が黒くなるため、遠目だとかなり黒く見えます。 本属の特徴でもありますが、大きくても内部が空洞なので持つと軽いです。

ヨーロッパでは一般的にかなり親しまれている極めて美味な食菌として有名です。 基本的にはアミガサタケと調理法、合う料理法も同じで、煮込み系が得意です。 赤字なのは微量のジロミトリン等有毒物質を含むため。加熱は十分に行いましょう。

■ 2012年04月15日 撮影

これが初発見日の最も大きかった個体なのですが・・・曲がりすぎですね、ハイ。 本種は傘の形状に差が有り、尖っている個体も有れば丸みを帯びた個体も当たり前。 個人的な感想ですが少し軟らかい気が。なので草に引っかかると曲がるようです。


■ 2012年04月15日 撮影

本種の特徴は柄にも結構有ります。まず色と手触り。このように褐色微粉状です。 アミガサタケがほぼ白色で滑らかなので、全く違った姿なのに驚かされましたね。 また地味ですが柄に対して傘が離生するのは本種の大きな特徴でもあります。 良〜く見てみると傘と柄の境目にちゃんと隙間が出来ているのがお分かりになるかと。

■ 2013年03月24日 撮影

今年はウチの近所じゃ軒並みアミガサ系統が不作。ハズレ年ってヤツでしょう。 本種は元々発生量が少ないので、むしろ良く頑張ってくれていたと思いますね。 と言っても見れたのはたったの2株だけ。採取は・・・流石に諦めました。 ただこの個体は非常に大型で被写体としては素晴らしく、テンション上がりました。

■ 2014年04月05日 撮影

この年はアミガサ系の当たり年!最高のスタートダッシュを切れた感じ。 車からもハッキリ分かるほどの大きくて黒々としたとんがり帽子です。 これ見て気付きましたがアシボソアミガサタケと柄が明らかに違いますね。


■ 2014年04月05日 撮影

オマケに奥に生えていた少し小さめの子実体。良い尖り具合ですね。

■ 2015年03月21日 撮影

なるほど、一眼レフの良さはこのボカシの雰囲気が自分で選べる事ですね。 コンデジではこのような奥行きは撮れないので、これは買って良かったですわ。 ただ周囲の環境も記録としては重要であり、そこも重視して撮らなくては。

■ 2015年03月21日 撮影

まだ時期が早いので普段は脈の部分が真っ黒な本種も透明感が有る幼菌段階。 やっぱり本種はいの一番に顔を出すアミガサファミリー。春を告げるキノコですね。

■ 2015年04月04日 撮影

松崎し◯る氏並に黒いですね。こりゃブラックモレルなんて言われるワケだ。 あまりに黒いので走行中の車内からでも草むらの違和感に気付く事ができます。 アシボソアミガサタケも黒いですが、本種の方が最終的により黒くなる気が。

■ 2017年03月25日 撮影

まだ寒さの残るいつものフィールドへ。少し早いかと思いましたが・・・。


■ 2017年03月25日 撮影

走行中の車からでも分かった黒いとんがり帽子。幼菌でも重厚感が違います。 やはりコイツの姿を見ないと春が来たって気になれないのはキノコ屋だから?

■ 2017年03月25日 撮影

比較的目立つ種ではありますが、幼菌で背の低い時のカモフラは凄い! 注意深く見ていても見落としてしまいます。特に草の生えた場所は最悪。 まだ寒いので背が低くて助かりますが、ここから一気に伸びて隠れます。


■ 2017年04月08日 撮影

上の幼菌が成長した姿です。周囲の様子から同じ場所なのが分かります。 2週間ほどで周囲の緑が鮮やかになり、一気に春になった感じがしますね。

■ 2017年04月08日 撮影

トガリ最盛期!まだ寒さが頑張る4月頭にベストコンディションになりました。

■ 2018年03月31日 撮影

地元でアミガサ系が出ず、諦めて訪れたチョイ遠めのフィールドで無事遭遇。 草が増えたせいで流石に走行中の車から見付けることはできませんでしたが。 にしてもこの時期でこの古さ・・・やはり出るのが例年より早かったのかな?

■ 2018年03月31日 撮影

あえて直射日光を遮らずに撮影。これも自然に撮れてますね。

■ 2018年03月31日 撮影

これ撮影時に向き間違えてるワケじゃないですよ。真横に生えてるんです。 こうして見るとやはり雨の少なさが影響してますね。先端が乾燥してます。

■ 2018年03月31日 撮影

この日のベストショットはコレかな?実にトガリらしい優雅な立ち姿です。 ただ場所的にも数的にも採取はせず。地元のフィールドの発生待ちですね。

■ 2020年03月15日 撮影

2019年はまさかの空振りで出会えず仕舞いで超ショックでしたよ。 地元のブラックな別種が出てくれていたので、それで埋め合わせをしましたけどね。 リベンジの今年も発生はしていたものの個体数は以前に比べて明らかに減りました。 ひっそりと生きてくれているようなので、見守る所存。

■ 2020年03月15日 撮影

比較的綺麗な子実体です。日陰に発生したものは乾燥しづらいので綺麗なママですね。 今年は何としても顕微鏡観察がしたかったんですが、どれもまだ未熟かな? 若い子実体が成熟する、と言うか古くなるのを待ちました。

■ 2020年03月20日 撮影

5日後に再訪問。テンガイカブリタケ探しも兼ねてましたが空振り。


■ 2020年03月20日 撮影

良い感じに古さが増した子実体がありましたので採取することにしました。 しかしこの場所は発生量その他諸々の理由から個体そのものは採取せず、小さな切片のみを切り取りました。 顕微鏡観察するだけなので一欠片あれば問題ありませんからね。


■ 2020年03月20日 撮影

まずは子実層をマクロ撮影です。こうして見ると本種の縦方向の網目の発達が良く分かります。 古いものでは縦の網目だけが黒く変色して強調されていることが良くあります。 そもそも老成すると網目が黒く縁取られるのは類似種では見ないですね。


■ 2020年03月20日 撮影

ようやく本種を顕微鏡観察できました。思えばアミガサ系ってあまり見てませんね。 写真を繋ぎ合わせて作った合成写真ですが、本種の内部構造が良く分かります。 普段は子実層ばかり見てて気付きませんでしたが、何層にも分かれているんですね。


■ 2020年03月20日 撮影

子実層には沢山の胞子が見えて一安心。 と言うのもアミガサ系はかなり成熟しないと胞子が見れないと言われています。 事実、絶対に成熟しているだろうと踏んで採取した普通のアミガサが完全に未成熟だった経験がありますので。 なので今回は黒い変色が見られるまで待ったんですよね。


■ 2020年03月20日 撮影

子嚢側糸を切り出してみました。 子嚢は最初8個の子嚢胞子が1列に並びますが、後に先端付近に詰まるようです。 側糸は基部で分岐しますが、ユニークなのは子嚢に比べて短いと言うことです。 普段見る子嚢菌類では側糸は長短はあれど子嚢の長さに近いので、これは予想外。


■ 2020年03月20日 撮影

子嚢先端を高倍率で撮影していて、妙な違和感が・・・。


■ 2020年03月20日 撮影

何か子嚢胞子にゴミみたいなのが付いているなと思ったんですが、見間違いではありませんでした。 自然放出させた胞子を観察してみると、やはり両端に何かが付着しているように見えます。


■ 2020年03月20日 撮影

油浸対物レンズで高倍率撮影してみました。 子嚢胞子は楕円形で20〜22μmとサイズは安定しています。 両端付近に泡状の内包物を持っていることが多いですが、ほぼ内容物が見えないものも存在します。 最大の特徴は両端に油球様の付着物があることでしょうか。 これは無印アミガサタケでも見られる特徴のようです。 アミガサ系は胞子で区別はできないと言われるのは、種によって差があまり無いからだそうで。


■ 2020年03月20日 撮影

結果は知ってるんですが、一応メルツァー試薬で染色してみました。 子嚢が赤く染まるようで、子実層だけが赤くなりました。


■ 2020年03月20日 撮影

アミガサタケ属の子嚢は非アミロイドであり、本種も例外ではありません。 そう言えば本種の子実層をマクロ撮影した時に表面が毛羽立って見えましたね。 これどうもこんな感じで子嚢が突出しているからみたいです。

■ 2020年03月20日 撮影

日光に照らされた幼菌です。結構日差しが強い直射日光ガンガンの場所でも力強く出ています。 若い内は傘の部分が少しグレーっぽいんですね。 この日は念願の顕微鏡観察ができて大満足の観察となりました。また群生が見たいなぁ。
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