■Morchella nipponensis (ヒロメノトガリアミガサタケ)

■ 2021年04月24日 撮影

すず姉氏に案内して頂き、やっとその姿を見ることができました。 今年は富士山で出会いたいと思っていましたが、コロナ禍で遠征は断念せざるを得ない可能性が。 そこで近くで見れる場所と言うことで見せて頂くことができた流れです。 発生環境は様々ですが、モミ類の樹下で見られることが多いと聞いています。 アミガサタケ属菌の中でも特に異様な姿をしている「広目尖網笠茸」です。

掲載当時は今まであまり盛んではなかったアミガサタケの分類が動き出しており、学名等も大幅に見直され始めています。 本種もこの種小名が後々変更される可能性もありますね。 ・・・と2021年の更新で書きましたが、変わりました。と言うか大体知ってました。 以前の種小名は「costata」でしたが、2022年に現在の学名とする論文が発表されました。 ちなみに「costata」は「中肋ある」の意味。


■ 2021年04月24日 撮影

子実体は全体的に灰褐色で、オレンジ色が強く出たり、大型化するものもあります。 富士山などの標高の高い場所で見られるものは大型化する傾向が強いようですね。 また本種の他種にはあまり見られない特徴として柄が暗色になることが挙げられます。 ネット上でも「柄の黒いアミガサタケ」として話題になっていましたね。


■ 2021年04月24日 撮影

すず姉氏とはんぶんこして片側持ち帰り黒バック撮影してみました。


■ 2021年04月24日 撮影

本種が「広目」と呼ばれる理由が、上の写真でもお分かりかとは思いますが網目が極めて粗であることです。 見慣れたアミガサタケと比べると、お前表面積増やす気あるのかと言いたくなるレベルです。 このような網目を持つ種は珍しく、普通のイエローやブラックとは一線を画する存在ですね。


■ 2021年04月24日 撮影

ちなみに念のために複数個体の一部分を持ち帰って顕微鏡観察しました。 アミガサタケの仲間は成熟し切らないと胞子が見られず、本種も例外ではありません。 しかし色んな部位を見たり追培養したりもしましたが、残念ながら未熟で胞子は見られませんでした。


■ 2021年04月24日 撮影

一応子実層面を拡大してみましたが、胞子は見えませんね・・・ショック。 来年は顕微鏡観察にリベンジしたいですね。

普通のアミガサタケ系と同様に食べられますが、生食は中毒するのもまた共通です。 ただ珍しいキノコなので食べている方は居られるようですが情報があまり無いです。 微量のジロミトリン等、有毒物質を含むので、食べるにしても加熱はしっかりしましょう。 と言うか結構珍しいのであまり食用に大量に採取するのはオススメしませんね。

■ 2021年04月24日 撮影

近くに生えていた幼菌です。もう明らかに幼菌の形状からして変ですね。 こうして見ると柄の黒さが目を引きます。

■ 2021年04月24日 撮影

一番最初に目に入った子実体です。この時は「あれ?普通じゃね?」と思いました。 が、冷静に見てみると全然違っててヒロメノトガリなんだなとジワジワ分かって来ました。 やっぱり頭部が尖っていないと雰囲気が全然違いますね。


■ 2021年04月24日 撮影

まず柄が暗色、これはすぐに分かります。そして脈が薄いんですよね。 見慣れたアミガサはもっと脈に厚みがあるんですが、本種の脈は非常にペラいです。


■ 2021年04月24日 撮影

じっくりと頭部を見てみると全然違いましたね。 パッと見は普通のアミガサかとも思いましたが、網目が上から下まで繋がってるんですよ。 こんなの普通のアミガサではありえませんからね? 富士山の大型種も見てみたいですが、コレを今年見れたのは大きかった!
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