■Mucilopilus castaneiceps (ヌメリニガイグチ)

■ 2023年10月07日 撮影

夏のオフ会に諸事情で行けなかったフィールドに青fungi氏と軽い気持ちでリベンジ。 何だかんだ面白いものが出たのですが、その中でも印象に残ったのがこのイグチ。 コナラやモミが入り交じる針葉広葉混合林地上に発生していました。 発見時は見た目に覚えがありませんでしたが、帰宅後に図鑑で見て「滑苦猪口」だと判明しました。 なお種小名は「castanei-(栗色の)」と「ceps(頭)」で、成熟時の傘の色を示しています。

以前はニガイグチ属菌でしたが、傘の粘性からずっと別属菌ではないかと疑われていました。 結果は大正解だったようで、現在はヌメリニガイグチ属となっています。 発音的には「ムキロピルス」で良いのかな?


■ 2023年10月07日 撮影

傘はくり褐色と表現され、種小名を反映したものになっています。 ただ今回見付かったのは幼菌であり、若い頃の傘は赤みが強いです。 逆にこの色合いが逆に独特なので本種だと気付けました。 また属名にもあるように傘に強い粘性があるのが最大の特徴。 羽虫が貼り付いているのが分かります。


■ 2023年10月07日 撮影

裏返してみるとこんな感じで絵は白色網目模様があります。 網目模様はヤマドリタケ属菌のようなシャープなものではなく、隆起のようなまったりした感じ。 また部分的に黄斑が形成されるのが特徴です。


■ 2023年10月07日 撮影

管孔は白色で成熟するとワイン色を帯びるあたりは確かにニガイグチ属に似ていますね。 また肉にも苦味があるので、以前はニガイグチ属とされていたのも分からなくはないです。 この傘表皮の縁部の質感や柄の上部の網目模様は確かにあまり見ない雰囲気です。

毒は無いっぽいですが肉に苦味があるため食不適です。 ワリと珍しいキノコのようで、発生量は多くない模様。 カラーリングが美しいイグチなので、写真を撮るなりで愛でてあげてください。

■ 2023年10月07日 撮影

一瞬タンポ型の冬虫夏草かと思いました。近くに成菌もありましたのですぐ分かりましたけど。 本種は若い頃は傘の赤みが強くて、種小名にもある栗色の傘になる成菌とはかなり外見が異なります。 今度はちゃんと成菌も見てみたいものです。
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