■Nidula niveotomentosa (コチャダイゴケ)

■ 2023年09月24日 撮影

初発見は2008年なので15年前になりますね。中々良い被写体に出会えず写真差し替えが遅れました。 和名は「小茶台苔」。和名に「苔」とありますが、地衣化していない立派な腐生性のキノコです。 秋に林内の落枝上発生します。 チャダイゴケ系の代表格みたいなイメージですが、発生環境がやや変わっており地味にレア。 実際に本種に出会えたフィールドは数えるほどしか記憶にありません。 なお種小名は「niveo-(雪白色の)」と「tomentosa(密綿毛のある)」の意味です。

多くのチャダイゴケ系が低地で多く見られるのに対し、本種は冷涼な環境を好みます。 そのためハタケチャダイゴケやツネノチャダイゴケがヒトの生活圏内で多く見られるのに対し、 本種は亜高山帯などで良く目にします。 古い図鑑などではホコリタケなどと同じ「腹菌類」にカテゴライズされていました。


■ 2023年09月24日 撮影

子実体の形状を一言で表すなら「ティンパニ」です。 発生初期は白い毛の生えた塊ですが、成長すると深い椀形になります。 しかし先端の開口部にはが張られており、本当にティンパニのような構造です。 ただ学名の通り子実体の表面には白い毛がビッシリ!ちょっと小動物感がありますね。 そして成熟するとその膜が破れ、中に入っている胞子が露出します。


■ 2023年09月24日 撮影

カップの中に入ったマーブルチョコみたいな碁石形のものが小塊粒と呼ばれる胞子の塊。 これが雨粒の落下による衝撃で弾き飛ばされ遠くに飛散します。 一説ではこのタイプの小塊粒は周囲の草本に付着することで野生動物に食べられ、 分解されにくい小塊粒によるガードで消化さずに排出されて遠くに胞子を移動すると言われています。 実際小塊粒の表面はゼラチン質に覆われ、周囲に付着しやすくなっています。

どう考えても食不適です。大きさも5mm〜7mm程度の極小菌ですし、 子実体自体はかなり硬質です。愛でる専門みたいなキノコですね。

■ 2008年09月15日 撮影

自分でも良く気が付いたものだと思います。林内の落枝上で見付けたのが初対面でした。 私達が良く知る「キノコ」のイメージから随分とかけ離れた形状で驚いたのを覚えています。 ここもTOP写真と同じフィールド。ホント低地では見かけないんですよね・・・。

■ 2009年08月16日 撮影

コチラは幼菌です。最初はこのようにで覆われていて小塊粒は見えません。 ただもっとティンパニに似た種は同属菌に居るんですけどね。 この状態だと同じキノコには全く見えないのがまた興味深いですね。

■ 2009年08月16日 撮影

近くにあった古い個体です。もう内部の小塊粒がほとんど弾け飛んで無くなっています。 雨で胞子を拡散する本種にとって、本州最多雨地域はパラダイスですね・・・あっバレちゃったかな? ちなみに一番奥のボケてる子実体は開いたばかりのようで、ゼラチン質が良く見えますね。

■ 2014年10月04日 撮影

久々に見た気がする・・・今までの感じだと意外と高い山が好きなのかな? 葉っぱから出ているように見えますが、すぐ下に左上と同じ材が有ります。
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